第8話 赤井家大集結
「ん?パソコン?」
「ああ、俺の可愛い妻と娘達が蓮を見たいらしくてな。俺も可愛い娘と妻を見たいし」
「ああ、テレビ電話に使うのね……急にパソコンをリビングに置いたから仕事するのかと」
「家に帰ってきてまで仕事なんてするかよ。蓮がレヴェルに入る報告とスペインでの暮らしを聞かせないといけないしな……もしかしたら来週の開幕戦見に来るとか言うかもだし…」
「めちゃくちゃ言いそう……特に楓が…」
楓とは、赤井 楓【あかい かえで】。高校生になった俺の可愛い妹だ。前も言っていたとおりお兄ちゃん離れが出来ていない可愛すぎる妹で俺がスペインに行くと言ったときには私も付いていく!と母さんと父さんを困らせたのだ。俺がお兄ちゃんを困らせないでくれ、楓の将来を心配しているんだ。って言ったら分かった、日本に残るって言ってくれたんだけど……まぁ、その後拗ねちゃって蓮にぃって呼んでくれない……お兄ちゃんは悲しいです……。
「スペインリーグの第一節に出るって言ったら来るって言うよな……」
「ああ、でも見に来たいなら越させてもいいだろ、ダニエルから関係者席があるから一緒に見に行こうぜ!って誘われたし」
「マジか…そう言えば、ダニエルとは仲良くなったの?」
「ああ、ダニエルと父さんの趣味が一致してな……ダニエル、酒に強いしホントに昨日は楽しかった」
「帰ってきてから吐いたのには俺もびっくりしましたけどね?」
「その説はすいませんでした。」
昨日父さんは家に帰ってきてすぐに玄関で吐きやがったのだ……それも朝の5時に。
「俺がいつもどおりに起きてたから良かったけど寝てたら最悪だったよ?」
「ああ、マジでありがとう。よし、準備完了っと」
「おつかれ〜」
「あっちが準備できるまで少し時間かかるらしいし父さんはトイレ行ってくるわ」
「了解」
久しぶりに母さんと姉さん、楓と話すな……。こっちに来てからはメールのやり取りだけだったからなぁ…。
「おっ、蓮。あっちも準備できたらしいから繋げるぞ」
「了解です、お父さま!」
「急にどうした急に」
「なんか緊張しちゃって……」
「家族に緊張してどうするんだよ」
そんなことを話していると電話は繋がり、あっち側の声が聞こえてくる。
「お母様、準備完了であります」
「楓、落ち着きなさいよ…」
「だって久しぶりに蓮にぃと話すんだよ?」
「家族に緊張して……ありゃ拓海さんー蓮ー聞こえるー?」
「沙羅さんー聞こえてるよー」
「良かったわ。蓮隠れてないで顔を見せなさい、ほら、楓も」
「おーい、楓ー。蓮にぃだぞー」
お兄ちゃんが聞いていない所では蓮にぃって呼んでてくれたんだな……お兄ちゃん嬉しいよ。
「お母さん、さっきの聞かれてたの?」
「ああ、さっき俺のことを蓮にぃって言ってたのガッツリ聞こえてたぞ、楓」
「………蓮に聞いてないもん、お母さんに聞いたんだもん。蓮のバカ、スペインで風邪なんて引いてないんでしょうね」
皆さんわかりますか?これがツンデレですよ。罵倒しつつも身体の心配してくれる。俺の妹の楓可愛すぎるでしょ?
「ああ、引いてないよ。高校生になって楓はまた可愛くなったな。そっちは大丈夫か?」
「んーーーもう、蓮のバカ。こっちは何もないよ蓮」
「それは良かった。母さん、姉さんは?」
「今は……楓の顔を見て笑ってるわ」
「あー目に浮かぶわ……奈津ねぇは性格悪いから」
「性格悪くてごめんね、弟よ?」
「おっと、これはお怒りのようですね。奈津ねぇ」
今話したのは赤井奈津【あかい なつ】俺のお姉ちゃんだ。前に言ったように大学に通っている美人で性格が悪いお姉ちゃんだ。
「今度会ったら覚えといてね?弟くん」
「わー怖い……」
「こら、連も奈津も喧嘩はそこまでにしとけ。沙羅さん、蓮はレヴェルと契約しましたよ。」
「本当にレヴェルと……さすが私達の息子ね」
「ええ、奈津と楓が元気そうで良かった。蓮のデビュー戦は来週のスペインリーグ第一節なんだけど、見に来ない?」
「え?蓮にぃの試合?お母さん、絶対見に行きたい!」
「楓また、蓮にぃになってるww、お母さん、私も見に行きたい」
「そうね……。可愛い息子のデビュー戦見に行きましょうか」
「来ちゃうんだ……」
「そっちの家も見ておきたいしね。蓮、試合楽しみにしてるわよ」
「分かったよ、母さん。お金の話は父さんと2人でしてくれ。楓と奈津ねぇと久しぶりに話せて楽しかったよ。楓はスペイン行く前みたいに蓮にぃ、って呼んでくれてもいいんだからな?」
「絶対呼ばないもん、バカ蓮」
「楓も素直じゃないなぁ…蓮くん、今度会うの楽しみにしてるね!」
「わー奈津ねぇが楽しそうに言う時は大体俺に悪いことが起こるんだけどなぁ……」
「弟くん?」
「俺も美人のお姉ちゃんと美少女の妹に会うの楽しみにしてます!」
「もう、楓はまた照れちゃってー」
「奈津ねぇほど照れてないもん…」
「私は照れてないわよ、ほら、お姉ちゃんと旅行の準備するよ。蓮の試合見に行くんでしょ」
「分かった、蓮ばいばい」
「蓮くんばいばい!」
「うん、楽しみに待ってるわ」
最後楽しそうに言わないでよ…奈津ねぇ……会うのが怖すぎるよ……
「蓮は大人気ね」
「母さんを落とした父さんほどじゃないよ。スペインでも可愛い同僚に……」
「蓮くん、父さんと話そうじゃないか」
「蓮、続けなさい」
「スペイン支社の可愛い同僚とこの前飲みに」
「蓮くん、父さんの目を見よう。さぁこっちを見てもう一度言ってごらん」
「拓海さんは黙ってて、蓮。拓海さんがどうしたの?」
「朝5時に朝帰りしてきました。危ねぇっ」
「蓮くん、それは」
「た、く、み、さ、ん?」
「い、いや、沙羅さん。俺は可愛い同僚なんかとは飲みに行ってないんだよ……ダニエルっていう蓮のエージェントの人と飲みに行っただけなんだ」
「キャバクラに」
「コラ、蓮」
「た、く、み、さ、ん?」
「い、いや、た、ただね。ダニエルがスペイン来たならキャバクラぐらい行かないかって……」
「拓海さん、会うの楽しみにしてるわね、蓮はしっかりと拓海さんを見張ってなさい」
「了解であります。お母様」
「ぼ、僕も沙羅さんと会うのを楽しみにしているよ…」
「本当に?」
「ほ、本当だよ。空港に沙羅達がつく3時間ぐらい前から待ってるぐらいには楽しみだよ……」
「まぁ、いいわ。夜も遅いし今日はこのぐらいにしておきましょう」
「それもそうだね……」
「蓮もあんまり夜更かししちゃだめよ?」
「了解、母さん」
「拓海さんは蓮のお金のこともあるし後でたっぷり話しましょうね」
「はい…沙羅さん……」
「じゃあ、母さんまたね〜」
「ばいばい〜」
通話が終わる
「なぁ、蓮……俺はどうしたらいいと思う」
「息子にスーツのポケットの中に入った名刺を見られたことを呪え」
そう、父さんが今日の朝「ジャケットが汚れちゃうから息子に渡してねー」と言ってハンガーにかけようと思ったのだが……赤い口紅が付いた名刺を見つけてしまったのだ。
「俺は、俺は断ったんだよ……」
「自白はどうぞ、母さんとの電話で」
「はぁ、蓮。お前の給料消えても文句言うなよ…」
「俺は関係ないですー親特権で息子の給料奪うのは犯罪ですー」
「まぁ、しないけどな。あーなんて言うかなー」
「ずっと愛でも囁いとけ」
「お前ホントに凄いこと言うな……やっぱり高1のとき〇〇の入ったチョコレートを貰うだけあるわ」
「ぐっ、その記憶だけは……」
「あれには父さんもびっくりしたよ。本当にそんなことする子が居るんだってね」
「可愛い同僚と飲みに行ったの否定しなかったよね?そ、それは違うんだよって否定じゃないよね?まだ何か隠してるんだよね?」
「蓮くん話そうじゃないか。父さんが今のは悪かった」
「このメールを母さんに送ったら〜」
「今度良いスパイク買ってやる」
「なんかレヴェルが用意してくれるってさ。このメールを〜」
「後でお小遣い上げるから」
「何円?」
「1000円でどうでしょうか?」
「このメールを〜」
「2000円、いや、3000円」
「じゃあ、それで。俺、明日入団会見出し寝るわ、おやすみ」
「はぁ、現金な息子だな。おやすみ〜ガチで沙羅さん許してくれるかなぁ……」
赤井沙羅【あかい さら】我が赤井家の最高権力者だ。この父さんの様子からわかる通り、母さんはすごく怖い。そしてなによりも暴力とかではなく精神的にいたぶってくるのだ。俺も1度母さんと喧嘩したときは精神的にくるものが多々あった。まぁ、本当のことしか言わないからこそくるものがあるんですけどね。
俺は自分の部屋に入って友人に明日の会見について連絡する。
「まだ内緒にしていようか……了解、まだ話さないっと。ガチでレヴェルに俺、入っちゃうのか……あいつと別れてから時間たったけどもうすぐ会えそうだな……どんぐらい背伸びてんだろ……俺が191だから同じぐらいだと思うんだけどなぁ……」
……………………………………………………………
意外と早めの投稿。いつもの夜中じゃなくてすいません。少し用事がありまして早めの投稿です。作者の言いたい事、こんな姉と妹がほしかった……。次回はなんだろな〜入団会見かな〜お楽しみに!
ではまた
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