第12話 異世界から来たんですが
「――この世界、現状はどうなってるの?」
影は赤城の方に身体を向けて、質問する。
「簡単にご説明すれば、精霊連合艦隊に海の殆どが奪われています。ざっと7割と言った所でしょうか。多くの陸地は敵航空戦力により火の海となり、人類が生存できる範囲は残り僅かそれでも何とか限られた資源を使い生き残っていると言う状況です」
「なるほどね。なら別の質問。提督は俺以外にもどれくらいいるの?」
「……正直わかりません。人類の艦隊全てを統括している連合本部に問い合わせても私達では教えていただけませんから。多分鎮守府の数からしても十人はいると思います」
他の提督に助けを求めようと思ったが、どうやらその案は中々難しいように思える。
そもそも赤城の顔色の変化から何処も自分達の事で手一杯でそもそも連携を取ろうとしてないようにも思えた。
それにしても情報が曖昧だった。
「提督? 提督は本当に連合本部から来たんですか?」
まぁそうなるだろう。
本来であれば知っているはずの知識が欠如しているのであるから。
それに今の質問と演説の内容を照らし合わせた時、とても記憶喪失では突き通せる物ではなかった。ましてや戦い方すら知らない提督等、影以外にいるはずもなく。
「やっぱりそうなるよね。正直に言うと、こことは別の世界から連れて来られたんだ。だけど元の世界への戻り方も知らない。唯一の手掛かりはセシル提督。とは言っても俺をこの世界に連れてきたセシル提督はどうやらもういないみたいだけどね」
「それは本当ですか?」
「うん。まぁ信じられないだろうけど……」
まぁ、信じてくれと言う方が無理な話しだろう。
いきなり自分達の提督となった者が本当は異世界人だと受け入れてくれるはずもない事は百も承知。
「それならそうと言ってくださればよかったのに。別にそこに対しては特別驚く事はないです」
なんだそんな事かと言いたげにサラッと流す赤城。
逆に影が驚いてしまった。
「え? うそ? 信じてくれるの?」
影の開いた口がふさがらなくなる。
「うそ? と言われましても。前提督のセシル提督がそうだったからとしか言いようがありません。それはセシル提督だけでなく、噂では他の提督にもそのような方がいると昔から聞いてますので別に驚く内容ではないかと言う事です。大体そう言った提督に限って提督スキルが強力です。当然影提督のスキルも使い方によってはかなり強力ですし」
――そして、前提督は死に、影が異世界に呼ばれた。
――つまり、このフェルト島を救う為にセシルの変わりに呼ばれたと言うわけだと。
「……なんでもありだな、この世界。そりゃ……世界を救う為なら異世界から人を呼ぶのもファンタジー世界じゃ当然有りだよな……はぁ」
大きく肩透かしを食らって、ため息をこぼす。
まさか自分がゲームの主人公になる日が来るとは……。
「なら俺以外にも異世界人はいて、連合本部とか言う所に掛け合えば何かわかるかもしれない……か。だけどセシル提督って人ですら死んだとなると成果を残さないと話し合いには応じてくれないだろうし……」
影が腕を組んで考える。
大体こういった展開では実績や名誉が必要になる事が多い。
と影は考えている。
そこでまずは実績を作る事を目標にする。
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