第15話 初めての感覚
影が敵攻撃機をさてどうするかを具体的に考えていると、赤城、加賀、蒼龍の三人が影のすぐ後ろに来て並走する。
「加賀、蒼龍、詳しい話しは後でしますが先にこれだけは伝えておきます。影提督は諸事情により戦闘経験が殆どありません。ですから撃退に余裕があれば影提督の攻撃機の援護をして経験を積ませてあげてください。後提督から十メートル以上離れないようにしてください」
「わかりました」
加賀が頷く。
「はい。でもどのように援護をすれば?」
蒼龍が赤城に質問をする。
三人が話し合いをしている間に影は情報収集の為に偵察機を飛ばす。
「敵の攻撃を引き付けて、提督機に攻撃が集中しない程度で構いません」
「わかりました」
そして三人の意見が交換が終わると赤城が影に話しかけてくる。
「それで提督。どうしますか?」
やはり実戦経験を通してじゃないと明確な答えが出てこなかったので、影は正面から戦って見る事にする。この戦いを通して、どれだけ自分が実力不足なのかの確認と、赤城、加賀、蒼龍ならどこまで敵に通用するのかを見極めるにはちょうど良いと考えた。今後影が考えている作戦にはどうしても三人の情報、もっと言えば三人以外の艦隊少女の力を見ておきたかったが欲は出さず、まずは三人の実力を見極める事にする。
「三人共、攻撃隊を出して」
影が後ろに顔を向けて、指示を出す。
「「「かしこまりました!」」」
三人は影の指示に頷く。
「第一次攻撃隊発艦!」
影が腰にある矢の一本を手に取り、水上で前進しながら弓を構え放つ。
矢はそのまま直進して二機の零式艦上戦闘機へと姿を変える。
それを二回行い、合計四機の零式艦上戦闘機を発艦させる。
「第一次攻撃隊、全機発艦! そのまま提督機の護衛について」
「第一次攻撃隊、全機発艦! 赤城と同じく提督機の護衛をお願い」
「第一次攻撃隊、発艦してください! 皆さんの援護をお願いします」
赤城、加賀、蒼龍がそれぞれ第一次攻撃隊を発艦させて、提督機を護るようにして大空で合流する。そのまま攻撃隊は影の指示の元、敵機迎撃の為に先行する。
「あれ?」
ここで蒼龍が違和感を覚えたのか、声をだす。
「どうしたの?」
「あっ、いえ。いつもと搭載機の皆さんの様子が違った気がしましたので」
「それなら気にしなくていいわ。まぁ多分戦闘が始まったらすぐにわかるわよ。私も前回提督と出撃した時はそうだったし」
「はい。赤城さんがそう言われるのでしたら」
影は後ろにいる赤城と蒼龍の話しを聞いて、提督スキルって本人達にわかるぐらいに影響を与えているのかと思ってしまった。
簡単に言うとその実感が全然なかったのだ。
息をするようにその場にいるだけで、スキルを発動しているためである。
『伝令。敵攻撃隊発見。数、三十四。提督どうしますか?』
『そうだね。奇襲できそう?』
『可能です』
『ならお願い』
『了解』
そのまま四人が周囲を警戒しながら進んでいく。
そして、影の彗星による奇襲が開始される。
彗星による奇襲により、敵機がばらけるものの、はや二機を撃墜する事に成功する。
そのまま敵機をかく乱しながら彗星が大空を飛び回る。
その様子は影の目にも見えており、初めてマジかで見る戦闘機の戦いに驚いていた。
やはりテレビやゲームで見るより、迫力があり、その場でしか味わえない高揚感や緊張感が身体を支配してきた。
そして影の彗星二機が合計五機の敵機を撃墜した所で撃墜される。
その時、影の頭の中でさっきまで通信していた彗星と連絡が取れなくなったと言う感覚に頭が支配された。
「大丈夫ですか?」
頭を抑える影。
それに気付いた赤城が隣に来て、影の身体を支える。
「あっ、うん。今ちょっと何か頭にノイズが走ったような感覚に襲われて」
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