第19話 膨れ上がっていく想い
自分が提督である以上、対処できそうな物は順番に対処していきたいと思っている。まだ艦隊少女の戦力把握すらしっかりできていない状況で二つ、三つ、四つ……と複数の事を同時に対応する事は無理だと考えたからだ。
まずは泣いている赤城の頭をソッと撫でて安心させる。
それと同時にもう片方の手でステータス画面を確認する。
影 【提督:航空母艦】
提督固有スキル:【仲間の絆】(自動発動)
効果1:使用者を中心とした半径十メートル以内の味方の能力を五%上昇
効果2:使用者を中心とした半径十メートル以内の味方の総合値の三%を自身の能力に付加
効果3:効果2を付与した特別攻撃機の発艦5機 ※特別攻撃機は搭載機と同じ
提督:影 Lv.2
装備
搭載機 常用28機
零式艦上戦闘機:10機
九九式艦上爆撃機:5機
九七式艦上攻撃機:10機
彗星:3機
するとレベル1からレベル2にレベルアップしており、搭載機の彗星の数が2から3に増えていた。どうやらレベルアップをすると搭載機の数が増えていくらしい。搭載機はレベルが上がると増えると仮定した時、次に気になったのは提督スキルだった。赤城の話しを聞いている中では提督スキルもレベルアップをすると聞いていたのだが、見たところ何も変わっていない。もしかしたら艦隊少女は知らない何かがあるのかも知れないと影は考える。
そこである場所に行ってみる事にする。
「ねぇ、赤城。悪いんだけど、俺を書斎まで運んでくれないかな?」
「はい。では失礼します」
赤城はそう言うと、動くとまだ僅かに痛みが残る影の身体を優しく支えてくれる。
影は赤城に肩をかりて、ゆっくりと歩いて書斎に向かった。
3日ぶりに来た書斎。
やっぱりここの書斎何度も見ても大きいな、と心の中で感心していると、赤城が影を本を読むための椅子とテーブルがある所まで連れて行く。そのまま赤城が身体を支えながら優しく座るのを手伝ってくれる。
「私が必要な本を持ってきますので、提督はここにいてください」
「いいの? ありがとう。なら提督スキルについて書かれた本を持ってきてくれる」
「わかりました」
赤城は返事をして、すぐに本を探しにどこかに行ってしまう。
影はその間に、後他にも調べたい事がないかを考えてみる。
書斎に入れるのは赤城がいるときだけだと考えると、少しばかり不便だった。
かと言って本を執務室に持っていくのも気が引けるし、何より赤城から書斎の鍵を借りてもし無くしたらと思うとそれはそれで怖かった。
なので赤城とこうして一緒にいられるうちに、色々と調べたいのが山々ではあるが……いざ考えると中々何を調べれば良いのかがわからなかった。
そして腕を組み、色々と一人考えていると赤城が本を持ってきた。
「お待たせしました。これでいいですか?」
「うん。助かったよ」
そう言って影は赤城の持っていた本を受け取る。本のタイトルは『提督の心得とスキル』についてと超シンプルな物だった。影が本を読んでいる間、赤城は邪魔にならないように少し距離を置いて座り、真剣な表情で本を読む影をジッと見つめていた。
初めて誰かを見ていたという気持ちになった赤城は足をパタパタさせて不思議な気持ちになっていた。こんなにも心臓がドキドキして今も心配し、ゆっくりと休んで欲しいのに、真剣な表情の影を見ると何も言えない自分がいる。
本当は隣にいたい、だけど邪魔しちゃいけない。
そんなに一人頑張らなくていいから、もう少し私を頼って欲しい。
少しは私の事を見て欲しい。
と言った感情が赤城の胸の中を支配していく。
男性に何気ない行動をしただけでお礼を言われる、感謝されるそれがあまりにも新鮮過ぎてとても気持ち良かった。
あぁ~自分だけの提督にしたい、そんな感情を必死になって抑えながら影と接する赤城。
正直この気持ちに気付いて欲しい気持ちはあったが、それはそれで恥ずかしいのでこのままがいいかなと思う自分がいた。影が勉強している間、赤城は赤城で自分の気持ちを密かに整理することにした。
この想いがもし影にバレたら、どうなるのかな? と頭の中で妄想をしてみるとつい頬が緩んでしまいニヤニヤしてしまった。
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