第45話 紙の漂白 その1

カラクルムへ戻ってきた、夕食も食べ、転移者寮の自室にいる


これから、明日から行う紙の漂白についてネットで調べた内容をまとめる




紙の漂白に必要なものは水酸化ナトリウムと過酸化水素水、これを使って木材パルプ、わらパルプの色素であるリグニンを分離する


必要な分量はパルプの重量に対し、水酸化ナトリウムは3%、過酸化水素は0.5%~3%必要といわれている、今回漂白できなかったらまずいので過酸化水素は上限の3%にする


過酸化水素水は過酸化水素が水に溶けたもので濃度であらわされる


例えばパルプ重量1キログラムに対し、漂白に必要な濃度30%の過酸化水素水の計算式は1000g×0.03÷0.3=100g、すなわち0.1リットルとなる


ではジェームス製紙工場1日に必要な過酸化水素水はどれくらいになるか


ジェームス製紙工場1日のパルプ量だが、1メートル四方で1枚20gの紙を作っていると仮定して、1日600枚生産なので、12キロとなる


12キロのパルプを漂白するために必要な濃度30%の過酸化水素水は1.2リットル


以上のことより、実験に必要な過酸化水素水は1.2リットル必要、余分に2リットルもっていけば足りるだろう





さて、肝心の過酸化水素水はどのように作るのか、過酸化水素を水に溶かすことでできる


過酸化水素は工業的にはアントラキノン法が用いられるが有機溶媒が必要なので、今回は採用しない


過酸化水素の元素はH2O2で水素と酸素から作れる、水素と酸素を取り出す方法は? そう水の電気分解なのである


昨今、過酸化水素水は消毒液や殺菌剤としても使えるので発展途上国でも利用されるが、精製プラントがない発展途上国でも作れるよう、太陽光発電で作られた電気を用い水の電気分解を行い生成する装置も存在する


イグアスにはそういった機械がないので、水の電気分解装置を作り水素と酸素を同じ量結合させることで生成することにする


水の電気分解では生成される水素と酸素の比率が2対1なので、水の電気分解装置を2個用意し、電気分解装置1つの水素と2つ分の酸素を反応させる


ただこの場合、爆発の危険があるので安全な空間での作業が必要なのだが……その点はティアラに相談することにしよう




このあたりで夜も遅くなってきた、水の電気分解装置ができていることを願いベッドに入った

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