第3話 その世界は転移者対策済み

数分すると、城壁が見えてきた


城門は解放されているが、列ができていた


「城塞都市カラクムルだ、初めて来たものは左、2回目以降は右に並ぶように」


長銃に剣を携えた兵士らしき人が案内するのを聞きながら、左に並ぶ


20分くらいだろうか、門の脇にある部屋に案内される、部屋の中は天井からの光で明るかった


「この宝石を触ってほしい」


素直に宝石に触る


「色は青、問題なし」

「次に、こちらの石板に触ってほしい」


素直に石板に触ると、ステータスが現れた



名前:シンジロウ・タカハシ

種族:転移者

性別:男

職業:なし

年齢:24歳


Lv:7



あ、レベル上がってる


「ん!? 転移者か、転移者用の講習を受けるように」


お、講習ですと!?


「はぁ、わかりました」


別の兵士が近寄り


「こちらへ、私の後についてきてください」


城壁の中に入り、近くにあった石造3階建ての建物に入る

2階に上ったあと、階段近くの部屋に入るよう促される

こちらの部屋も天井からの光で明るかった


「講習の教師が参りますので、しばらく座ってお待ちください」


丁寧に案内されたまま、座って待つ


待っている間部屋を見る


入った瞬間、黒板に机、椅子とさながら学校を思わせる作り

というか、まんま学校でしょこれ

机の中には何があるのかな~とか思いながら見ると、中は空っぽ

天井の光は何なのかな~とか考えていたら

人が入ってきた


「おまたせしました~、転移者の方ですか」

「はい」


西部劇? いや少し手が入ってスチームパンクっぽいワンピースとベストを付けた女性が来た

ウエストは締まって、髪はアップでまとめて、帽子をつけて、ちょっと裕福そうな感じがする

ん~、まんま西部開拓時代じゃんこれ


「私はメアリーといいます~、これから1時間くらい、講習を担当します」

「よろしくお願いします」

「初めに紙に書いてある問いに答えてください~」


しゃべりはおっとりおねえさんだ

メアリーさんから紙と鉛筆が渡される、問いと回答は



1.あなたの住んでいた星の名前は?

→ 地球

2.あなたの住んでいた国名は?

→ 日本

3.あなたの住んでいた時代は西暦何年?

→ 2020年

4.あなたの住んでいた時代に銃はありますか?

→ ある

5.あなたに社会人経験はありますでしょうか?

ある場合経験年数も回答ください

→ ある、22年

6.直属の部下は最大何名いましたでしょうか?

→ 12名

7.以下の計算に答えてください

  100 + 250 =

→ 350

  154 - 69 =

→ 85

  154 - 200 =

→ -46

  990 × 12 =

→ 11880

  255 ÷ 5 =

→ 51


8.職業を斡旋するため、あなたのスキルを書いてください

→ 世界地図・アイテムボックス・鑑定LV3・調合LV1・鍛冶LV1・魔力変換LV1



……スキルはユニークスキルを除いて書いた

回答をメアリーさんに渡す


「ふむふむ、かなり進んだ時代からいらっしゃったんですね~、わかりました、これから説明しますのでいろいろと覚えてください~」


メアリーさんの講習がはじまる


「はじめにカラクムルと周辺国の説明を」



・カラクムルはユニオン公国ドルトン辺境伯領の領主街

・人口20万人程度

・城壁は2つ

・区画は東西南北中央とあり、中央に領主館と高級住宅街がある

・街のグレードは東西南は普通で北は低い

・近くのユニオン公国以外の国は4つ

 ・モルガン帝国

 ・ヤホブ聖国

 ・レミング商業国

 ・サバール魔王国

・ヤホブ聖国とサバール魔王国の組み合わせ以外は相互に停戦協定を結んでいる

・共通の敵は魔界の森から湧き出てくる魔物



「2つ目に犯罪の説明を」


・カラクムルの犯罪歴は魂に刻まれる

・犯罪を犯した人は街に入る際に宝石を触った際に引っかかる

・まさにお天道様はごまかせない


「3つ目にお金の説明を」


・貨幣は6種

 ・白金貨=金貨100枚

 ・金貨 =銀貨100枚

 ・大銀貨=銀貨10枚

 ・銀貨 =銅貨100枚

 ・大銅貨=銅貨10枚

 ・銅貨


銅貨一枚でパン1個買える、銅貨一枚100円とすると次の金額になる


・白金貨:1億円

・金貨 :100万円

・大銀貨:10万円

・銀貨 :1万円

・大銅貨:1000円

・銅貨 :100円


「4つ目に税制の説明を」


・税金は土地税と取引税

 ・土地税は目的別と面積に応じて税金がかかる

 ・取引税は取引に段階的な税金がかかる

・年1回、各ギルドにまとめて納める


土地税は農地・工業系だと安く、商店や住宅の建物は高めになるらしい

取引税は日本でいう消費税だな

土地税は商業ギルドへ、取引税はギルドとの取引の際は都度払いになるらしい



「最後に仕事の説明を」


・各ギルドに所属し仕事を行う

・カラクムルにあるギルドは4つ

 ・冒険者ギルド

 ・商業ギルド

 ・薬師ギルド

 ・鍛冶ギルド


冒険者ギルドは魔物討伐や賞金首の捜査・討伐、薬草採取などの仕事を

カラクルムで商品を売る場合、商業ギルドに加入しないといけない

露店も商業ギルドで管理されているので、勝手に販売してはダメだそうだ

ただ、薬品は薬師ギルド、鍛冶は鍛冶ギルドに加入しないと販売できない



「お名前は、タカハシさんとお呼びしたほうがよろしいでしょうか?」

「はい、タカハシでお願いします」

「ところで、タカハシさんはカラクムルを拠点とされますでしょうか~?」

「はい、しばらくカラクムルで過ごします」

「希望の職業とかありますでしょうか~?」

「おすすめな職業ってあります? できれば稼ぎやすいのを」

「シンジロウさんのスキルからすると、冒険者になって魔物退治、商業ギルドで事務、薬師ギルドでポーション作成、鍛冶ギルドで鍛冶職人すべてになれます~」

「安全そうなのは?」

「事務とポーション作成ですかね~」

「ならポーション作成で……」

「わかりました、まずはカラクムルの各ギルドへの地図をお渡しします。あと、薬師ギルドへ紹介状を書きますので、しばらくお待ちください~」



紹介状かこっちの世界も紹介がないとあまりよくない待遇なのだな……

日本ではあまり聞かないが、外国の企業は前職の上司からの紹介がないと転職できない場合がある。なので、会社を辞める場合も角が立たないようにしないと、お先真っ暗になってしまう。ましてや昨今流行りの退職代行などを頼んだ場合、次の職はあまりいい職は選べないと思ったほうが良い


そうこうしているうちに、メアリーさんは書き終わり、封筒に入った手紙を渡してくれた。



「あと、今日のお泊りはこちらの宿舎でお願いします~」

「へ?」


さすがに宿まで用意されていることは想定外だったので面食らった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る