第23話 鍛冶屋ゴードン その1

ティアラ魔道具店を出てメアリーさんの馬車に乗り、30分くらい東に歩くと工場街に来た

その中の1店に入る


「ゴードン来たよ!」

「なんだティアラか……おっとメアリー様!?」

「お久しぶりですゴードンさん」


メアリーさんに知り合い? と目くばせするとそうですとのこと


「はじめまして、タカハシと申します、5日前にカラクルムに来た転移者です」

「あーお前さんか! 最近転移者寮に人が増えたと噂になっとる、俺はゴードンだここで鍛冶屋をやっとる」

「鍛冶屋ですか! 剣とか楯とかを作る?」

「それもやっとるが、最近はこいつのランタンを作ったり、料理の道具とか作ったりしとるよ」

「へぇ、それは?」

「剣と楯の時代ではなく銃に変わってるからな……」


ああ、こっちも世知辛い……


「銃は?」

「作ることはできるが、魔力がないものは好かん」


そういうことか……

なら、ということでティアラと目くばせし、話を進めてもらう


「ゴードン、今日はそこのタカハシと作っている魔道具について相談に来た」

「おお! そういうことなら、相談に乗ろう」


まずは魔石の方を見てもらう


「なんだ? これは?」

「目的は持ち運べる魔石を作りたい」

「なぜだ?」

「持ち運べるようにすると、充填済みのものをどこでも販売できるようになる、魔道具と一緒にこれを売って、使う人間で管理してもらおうということだ」

「ほう? 魔石の魔力がなくなったら、使っている人が交換して次のを使えということか」

「そうそう、でここまで作ってみたんだが?」


魔力充填してもらって、肩の上から落とす、魔石はポンと音を立てて、光を失う


「おお、これじゃいかんのか?」

「肩ぐらいの高さから落として充填しなおしでは、普通の人に渡すとすぐ魔力がなくなると思う、馬車で持ち運んだりするかもしれないからな」

「ああ、そうじゃな」

「なので、これを金属で包んで、魔石を海綿みたいな柔らかいもので包んではどうだろう?」

「海綿か……」

「ん? 他にいいものあるのなら、ゴードンやティアラの考えたものでいい」

「わかった、最終的な形はどういうのを想像してるのかのう?」


タブレットから、単一電池の設計図を出す


「ほう? なるほど、筒状の鉄で包もうと?」

「そうそう」

「鉄だと錆びるのでは?」

「ああ、そこは、ぶりきかステンレスを使えない?」

「ぶりき? スズでコーティングしたやつか? ステンレスはクロムとの合金か?」

「合ってる」

「なら、ぶりきのほうが安い」

「じゃそっちで」


次にゴードンはふたを指さす


ふたはどうする?」

ふたの形状は一緒で、たぶん指の位置から間のガスケットを言ってると思うけど、ゴムとかファチクスってある?」

「ファチクスならあるぞい?」

「ゴムは? 熱い地域のとある木からとれる樹液を熱すると固まるんだけど?」

「あるが……」

「あるが?」

「高い」

「そうか……、ならファチクスで、色は黒、白どっち?」


ファチクスは、植物油に硫黄を加えて加熱したものが起源で、硫黄の代わりに塩化硫黄を加えたものがあり、日本ではそれぞれ黒サブ、白サブと呼ばれている


「どっちでもできるぞ?」

「じゃ、お任せで」


さて、最後の海綿で包む件だが


「海綿で包むのはアリかな?」

「わからん、中の棒にどれくらいの振動を与えて魔力がなくなるかだな」

「じゃ、素材から試してくれるの?」

「いいだろう」


オッケーこれで、魔石は目途が立った

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