第22話 新しい動力も作ろう その2

「モーター?」


そう返されることがわかっていたので、タブレットからブックマークしていたページを見せる


「まずは、蒸気機関から、今イグアスで作られている石炭を使った蒸気機関はこれ」


次に、内燃機関のページを見せる


「次に、内燃機関、別名エンジンともいわれるものがこれ」


最後に、直流電気モーターのページを見せる


「最後にモーターがこれ」

「似てるところが、回転するということだな」

「うん、合ってる、この回転するところだけ魔法でできないかと考えてた」

「考えてた?」

「ああ、一昨日から考えてたよ。考えてた結果1つ試したい案ができた。その前に、この世界ってゴーレムの魔法ってあるの?」

「ある」

「ありますよ~」


メアリーさんも入ってきた


「じゃあこの回転するところだけ、ゴーレムで再現して、魔石の魔力で動かせないかな?」

「なぜ魔石?」

「工場のいたるところに配備されるので、魔法使いが足りなくなるから、自分の予想だと1つの工場で多いところでは100台以上配置すると思うし、さらにうまくいけば1家に1台配備されるはず」

「すごいな」


工場の動力はそうだが、ご家庭にもモーターが使われる時代が来るはずだ、

高度経済成長期だと、扇風機や冷蔵庫、洗濯機などがそれだよね


「ゴーレムの魔法って珍しい?」

「珍しい、結構なMPが必要だ」

「それって、人型だからなのでは? 人の関節同様に稼働させるから、可動部分が多くてMPが必要ってことはない?」

「……かもしれない、とりあえず作ってみる」


ティアラは、土を使って、1メートルくらいの大きさで軸の長いコマとそれを支える台を2本作った


「これに、ゴーレムの魔法を付けて」


回った


「回った!」

「でも、魔石で動かすようにするところがわからん」

「とありあえず魔法陣書いて、魔石と銅線使ってつないでみたほうが良くない?」

「そうだね」


コマの平たい部分に魔法陣を書き、先ほどためした安全な魔石をつないでみる


「動かないね」

「ティアラ、これ小さくできない?」

「やってみる」


出来上がったのは、2センチサイズ、魔法陣も書いた


銅線で魔石を魔法陣につなぐと


「動いた!」


ゆっくりだけど、動いた! 大きい方はなぜ?


「なんで大きい方が動かない?」

「うーん、魔力が足りない?」


ティアラはそう言って奥に入った、戻ってきたときには大きな魔石を持ってきた


「これは、わたした魔石より10倍サイズの魔石だ」


これに魔力充填して、銅線をつなぐ…


「動いた」


ゆっくりだけど、1メートルのコマも動いた……


「なるほど、魔力量?」

「そうなるね」

「あと、この銅線をどうにかしたい、銅線が回転するところに当たると、銅線が削れる、削れるのを調整できるかもしれないけど、その場合でも数年は持つようにしたい」

「なぜだい?」

「おそらくこのモーターがカラクルムではない都市でも使われるからだ、例えばだけど、王都のモーターを修理するのにティアラが出張することになったら?」

「ああ、それは嫌だね」

「だから、銅線の部分をどうにかして10年くらい修理しなくていいようにしたい」

「なるほどね」

「こっちも見てほしい」


見せた動画は直流ブラシありモーターミニ四駆のモーター分解洗浄の動画だ

モーターのブラシと金属が削れて回らなくなっているのを

削れた金属を除去して、ブラシを交換し、接点の銅を磨くという単純な作業

動くところまでを見た後で


「モーターが発明されて200年たったら、知ってる人ならだれでもこれができるようになる」

「え!?」


ティアラは面食らった顔をする

そうだろうなぁ、モーターができて発電機ができて、海底ケーブルとモールス信号で情報をやり取りする時代が来るなんて誰が予見できてただろう

さらに、真空管、半導体、コンピュータ、インターネットとたった200年で様変わりするのだが


「そう、知ってる人ならだれでもできる」

「あ、知ってる人というのがポイント?」

「あってる、これを作った企業は修理用の本を配って、これを読むことができるひとなら修理できる」

「なるほど……、イグアスだと難しそうだね」

「ああ、そこは売上た後で考えるよ、最初はティアラが5人ずつに教えていってもいい」

「大変そうだな」

「だからだ、長持ちするようにしておくんだよ」

「わかった、そういうことだったら、さっきの魔石で行こうと思っていた工場に詳しいやつがいるから行った方がいいな」

「オッケー行こう」


ティアラ魔道具店を出た

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