第6話 生活魔法は便利です

朝7時、メイドさんのノックで起こされる


「おはようございます、タカハシ様」

「おはようございます、あ、お名前お伺いしていいですか?」

「はい? マリーといいます」

「おはようございます、マリーさん」

「タカハシ様、まずはクリーンの魔法を使わせていただきます」


マリーさんはクリーンの魔法を使った


「これは?」

「体や服などをきれいにする生活魔法です」

「自分でも覚えることができます?」

「はい、ただ」

「ただ?」

「まったく魔法も使えないという人もいますので、その場合はできないことになります」

「なるほど」

「教わることは?」

「普通は各家庭で教わるものなのですが……」

「あ~、そうなんですね、一度覚えれば教えることができます?」

「ですね」

「なら、マリーさんに教わることは可能ですかね?」

「可能です」

「じゃあ、開いてる日にお願いしたいのですが」

「かしこまりました、当日の朝に言っていただければ大丈夫です」

「だいたい、覚えるのにどれくらいの時間がかかります?」

「それなりにかかりますが、1時間ずつ日を分けてはいかがでしょうか?」

「あ、いいですね、それで行きましょう」


次に自分のファッションチェックを

仕事先が私服OKだったので、私服で出勤していたが違和感ないのだろうか


「あと、自分の来ている服に違和感あります?」

「? とくにないですね」


よかった、黒ジーンズに白いワイシャツ、灰色のジャケットだが違和感ないらしい


そうこう話しているうちに、机の上に洗面器が置かれ、なにやら水差しとタオルを持ったマリーさんが


「?」

「こちらのお湯でお顔を洗っていただきます」

「あ、そうなんですね」


用意された洗面器の中にお湯が注がれ、そのお湯で顔を洗う

うん、さっぱりする、あと目も覚める


「こちらのタオルを」

「ありがとうございます」


渡されたタオルで顔を拭く


「さて、今日のご予定ですが、8時から食堂で朝食、9時からメアリー様と武器弾薬庫の視察となっております」


マリーさん有能、この人秘書だ

多分いろいろやってくれるはず

なので午後からの予定を決めるためにいろいろ質問する


「午後から紹介状持って薬師ギルドへ行きたいと思うのだけど?」

「薬師ギルドですね、おそらく馬車で向かうといいでしょう、帰りは徒歩になると思います」

「この建物はギルドから近い?」

「少し遠いですね、6キロくらいでしょうか」

「歩いて迷わない?」

「それは大丈夫です、大通りから南門まで一直線ですから」

「薬師ギルドは大通り沿い?」

「少し脇に入りますが、大通りから近いですよ」

「なるほど、ありがとう」

「薬師ギルドで何をされますのでしょうか?」

「そうだね、ポーション作成の講習があれば受けようと思うけど」

「講習のために材料や錬成板を買いますけど?」

「銀貨10枚程度で足りるかな?」

「もう少しかかると思います、おそらく銀貨25~30枚くらいかと」

「ん~それなら大丈夫だ、何とかなりそう」

「では御者に伝えます」


あ、追加で確認が


「朝食後、時間あると思う?」

「ないと思います」

「なら、馬車に乗る際に筆記具を渡してほしい、紙と鉛筆」

「かしこまりました」

「時間かな?」

「ですね、食堂へ」


マリーさんの案内で食堂へ


朝食は


・バゲット

・サラダ

・ゆで卵 2個

・フルーツジュース

・コーヒー


ゆで卵2個?

ゆで卵はエッグスタンドに乗っていて、食器はナイフ、フォーク、スプーンが用意されていた、箸はない……

おっと、これアレかカリオ〇トロの伯爵みたいな食べ方?


ゆで卵の上にナイフで傷をつけ、殻ごとナイフで上3分の1くらいを切り取る

もったいないと思って食べてはいけない……、うんもったいない

この食べ方は黄身メインの食べ方なので、白身は捨てる感じで……、うんもったいない

エッグスタンドに乗ったまま卵に塩を一つまみ入れる、軽く持ってスプーンで黄身と白身を混ぜる、まぜまぜ

最後にスプーンですくいあげ、食べる


うん、うまい絶妙な半熟加減の固さになってる


次にバゲットにバターを塗って食べる

あ、バターは無塩バターになってる、牛乳を振って作るやつだ、手作りかな?


そのままバターのみで食べる、うんおいしい

次に、黄身と白身を混ぜた半熟卵をスプーンで乗せて食べる、

さらに、玉ねぎとレタスのサラダも載せてサンドして食べる

玉ねぎは水にさらしてるけど、少しだけ辛さが残って、これがアクセントになってる


口直しにコーヒーを飲んだ後、さらにサンドを食べる

うまい


そのまま、2個目の半熟卵も食べ、最後にフルーツジュースで〆


もう一杯コーヒーをいただきながら、ほっとしていると


「メアリー様がいらっしゃいました」

「では行きますか!」


マリーさんに案内され玄関に向かい、


「こちらを」

「ありがとう」


革製のショルダーを受け取る、開けるとお願いしていた、紙と鉛筆が入っていた

御者さんの案内で馬車に乗ると


「おはようございます~」


メアリーさんが乗っていた

恰好はズボン、シャツとベスト、髪アップとブーツで動き回りやすそうな恰好だった

ズボンでも、ウエストは締まっている

うん、かなりスタイルいい人だよな……いかんいかん


「おはようございます、メアリーさん、今日はズボンなんですね」

「そうです~、倉庫の中でスカートだといろいろ引っかかりそうで~」

「そうなんですね、あ~木箱だからか……」


メアリーさんは横の席にどうぞとジェスチャーしてくれたので、前向きに座る


それから街の案内もしてくれつつ、1時間くらいかけて一つ目の武器弾薬庫へ向かった

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