人助け編
第11話 異世界でもビジネスモデルは通用する
大通りを歩き転移者寮へ向かう
歩いてみるとわかるのだが、馬車の速度は徒歩の速度と変わらない
ただ、馬車は歩行者のことを考えてないので、ぶつからないように注意する必要がある
馬車同士のすれ違いは……、紋章を見て決めているみたい
40分くらいで転移者寮に戻ると、マリーさんが出迎えてくれた
「おかえりなさいませ、メアリー様がお待ちです」
ピンと来た、ティアラのことかな
マリーさんに連れられて、3階にある自分の部屋に向かう
「お待たせしました、少し時間がかかったようで」
「いえいえ~、まだ紅茶もあたたかいままなので、お気になさらず~」
「では、自分も同じものを飲みながら、お話といきましょうか」
「ええ~」
マリーさんに紅茶とメアリーさんのお代わりをお願いする
「さて、お待ちいただいていたということですが?」
「はい、実は~ティアラとミイのことで……」
相談内容をまとめるとこうだ
・ティアラとミイのこと
・売り上げが落ちている
・魔道具店のビジネスモデル
1.原価ギリギリで魔道具を販売
2.魔道具の普及率を上げる
3.普及率が上がったことにより、魔力充填の回数が増える
・魔力充填をほかの人に取られているので、想定する売り上げが無い
・ランタンが売れなくなったことで、キャッシュが底をついたため、止めとなっている
「ランタンを買い取ればいいということではありませんよね?」
「そうです」
「ビジネスモデルからなんとかしたいと?」
「はい、そうです、私が支援したとしても、このビジネスモデルだと回収が厳しく」
「あれ? ティアラの魔道具って魔石以外すべて作ってるのでは?」
「いえ、魔法陣と魔石を埋め込む場所のみです」
あ~ランタンのガワは外注か~
なるほど? ランタンのガワに結構払っていると……
「もしかして、支払いとは……」
「はい、ランタンのガワの支払いを待ってもらっているそうです」
やっちゃった~、後払いで発生するお金が回収できなくなる問題
「ところで、領主館の魔力充填はいくら払ってます?」
「銀貨5枚です」
「どれくらいの期間で充填が必要になります?」
「月1回ですね」
ランタンは1つ銀貨10枚と言ってたな、2か月でやっと回収か……
全部で5個なので、10か月……あ、詰んでる
なので、冒険者か……
うん、転移者寮に泊まっている分の恩は返しましょう
さぁ、これからはビジネスの時間だ
「さて、メアリーさんに相談です、自分の頭の中に解決する案はあります」
「それなら!」
「ですが、新しい商品を開発しないといけません」
「……」
「新しい商品の開発にティアラとミイの力を借りることができますかね?」
「それ、いいですね!」
メアリーさんは満面の笑みで応えた
この後は詳細についてメアリーさんと相談し、お互いに納得する形にできたところで
「そろそろ、夕食でございます」
「はい、熱中してました……行きます、メアリーさん後は食後で」
マリーさんに怒られながら、食堂に向かうのだった
食堂には、アントニオさんだけではなく、奥さんと娘さんも来ていた
「今日は、全員こちらで夕食をとることにしました」
「ではご挨拶を、はじめましてタカハシと申します、昨日カラクルムに来たばかりです」
奥様が近づいてきた
服装は広がりすぎないスカートをはいていて上着はかなり胸が強調されるシャツだ
これはHカップはあるな……
「はじめまして、アントニオの妻のエリザベス=ドルトンと申します」
「タカハシと申します、こんな若くてきれいな奥様をお持ちで、アントニオさんは夫冥利に尽きますね」
「いえいえ~、タカハシさん、お世辞がお上手でー」
次はメアリーさんのお姉さんかな?
服装は少しフリルが入ったスカートをはいていてこちらの上着はかなり胸が強調されないシャツだけど、大きく目立つ
Gカップはある
「はじめまして~、長女のクロエ=ドルトンと申します~」
「タカハシと申します、以後お見知りおきを」
次はメアリーさんの妹さんかな?
こっちはズボンと白シャツだ、胸はDカップかな
「はじめまして、三女のエイミー=ドルトンと申します」
「タカハシと申します、以後お見知りおきを」
結婚されてない人との挨拶は怖いので、手短にしておいた
「では、いただきましょうか」
アントニオさんの合図で夕食がはじまった
今日の席順は、誕生日席はなしで、
アントニオさん、エリザベスさん、アオキさん、クロエさんが横に並び、
その向かい側にメアリーさん、自分、エイミーさんとなっている
夕食がマリーさん達によって運ばれる
「これは!」
「今日は、和食にしました」
出てきたのは、ごはん、みそ汁、とんかつだった
まずは、お味噌汁から……具は玉ねぎとワカメ
ダシは、煮干し、味噌は米味噌かな? 香りが麦っぽくないので
「味噌と煮干しは作ってるのですか?」
「はい、うちの領は少しだけ海に面してまして、材料はすべて取れるので、アオキさんに教えていただきつつ、再現してみました」
「煮干しはできるのはわかるのですが、味噌は……麹菌って大変だったのでは?」
「それが一番大変だったのですよ」
「自分は知ってますけど、椿の灰ですよね」
「ご存知でしたか!」
椿の灰をご飯の上に振りかけて放置すると、空気中の麹菌がご飯を緑色に変える
灰が無いご飯だと、赤色になったりする
これは、灰をご飯に振りかけることで、ご飯がアルカリ性になり、アルカリでも生きられる麹菌のみが生き残る
室町時代からあった麹菌の取り方だ
「でも、味噌って熟成に時間がかかるのでは?」
「時空間魔法で熟成を促進させました」
「お~、便利ですね~」
次はごはんを一口、うん、ふっくらと炊けたお米は美味しい
その流れで、とんかつを食べる、昨日のゲートボアをとんかつに
このソースは? ウスターソースだ
「ソースも作ってるんですか?」
「はい、作ってます」
「香辛料もとれるんですか?」
「残念ながら、唐辛子とかの一部だけです」
「すごい、唐辛子がとれるんですね」
やっぱり香辛料は輸入か……
周りを見ると、アオキさんはクロエさんと談笑している
というか、クロエさんが話して、アオキさんは反応するだけ
クロエさんだいぶアオキさんに近づいてる
そろそろ、他の方ともお話できるネタを振ろうか……
「ところで、アントニオさんはどうやってエリザベスさんみたいな方と結婚できたのですか? 自分は成人して結構経ちますので、そろそろと考えているのですが、一向に女性の影もなく……」
「それ聞きたい~」
「私も~」
メアリーさんとエイミーさん
「いやはや、お恥ずかしいお話なのですが……」
こうして、夕食の時間は過ぎていくのであった
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