第7話 在庫管理は重要です

武器弾薬庫へ到着し、馬車から降りる

先に自分は降りて、メアリーさんの手を取りエスコートする


「視察お疲れ様です」


守衛の1人が挨拶した、もちろんメアリーさんに向かってだ


「ご苦労様です~、今日は弾薬の確認に来ました~」

「かしこまりました、ご案内いたします」


石造りの倉庫だった、この倉庫に銃と弾薬があるそうだ


中を見てみると、木箱に入った状態で1つ5000発入っているそうだ

その木箱が20箱置かれている


「では、一つアイテムボックスに入れますね」


アイテムボックスに収納してみた


木箱×1

スナイドル弾×4996


やっぱり5000より少ないや

後、軍の銃は後装式のスナイドル銃だったのね、まだボルトアクションには至ってないか……


収納した箱をアイテムボックスから出し、紙に数を書いて木箱の隙間に挟む


それと、最後に表にするために、もう一枚の紙に数を書く


これを繰り返し、5000発を超える箱もあったが、総じて159発不足していたことが発覚


「これは……」


メアリーさんも絶句のようだ……


おそらくの原因を確認するために木箱を開けてもらおうか


「この木箱開けられませんでしょうか?」

「いいですよ、少々お待ちください」


バールのようなもので守衛さんは開けてくれた


木箱の中は想定通り、弾が無造作に入っているだけだった

これでは適当に入れるだけなので数え間違いがおこる、さらに弾の側面に傷等が発生し良くない


現代では紙もしくはプラスチックの箱等に1発ずつ立てて入れられている


「1つ持ってもいいですか?」

「どうぞ」


弾もでかい、スナイドル銃だと、.577口径なので14.66mm、弾の直径は14.5 mmになる、弾の長さも62 mmなので1発がでかい

西部劇で有名なピースメーカーでさえ.44口径なので、それよりもでかい……

こりゃ数えなおしも一苦労だ、そこでアイテムボックスか……


「なるほど、これは数えにくいですね……」


原因はわかる、数えにくいのもわかる

でも、この世界で作れるのかな……



次の武器弾薬庫も同様にチェック、こちらは126発少なかった


チェックにかかる時間が思ったより短かったので3つ目の武器弾薬庫も回ることに

やはりこちらも97発ほど少なかった


少ない箱が出るたびに、メアリーさんの顔が……

うん、ランチの時にメアリーさんと相談するか……

終わったのは11時30分くらい


「このあたりで今日はおしまいですかね?」

「ですね~、このままランチでもいかがでしょう?」

「ありがとうございます、お言葉に甘えていきます」





馬車でお店に向かった先は、中心街のお店だった……

これ、絶対高いお店だよ……


「予約しておりました、メアリー=ドルトンです」


おっとりしていない声でポーターに伝えるメアリーさん

うん、気づかなかったことにしよう、できる大人は見ざる、言わざる、聞かざるだよね


「メアリー様、お待ちしておりました、こちらへ」


ポーターは応対し、案内する

あれ? 2階? これ個室なの? かなり高いやつだ


2階の白で統一されたロココ調な部屋に案内された、窓ガラス、シャンデリア、床は大理石……白なので室内は明るい

うん、庶民にはお呼びがかからない部屋だね……


ランチなので、酒精はなしでいただく


前菜は豆腐とオクラのサラダ

いきなりの先制パンチ、豆腐あるの?

レタスの上にスプーンですくった豆腐を乗せ、ゆでたオクラと揚げたニンニクチップがかかって、ドレッシングが


「あ、醤油だ」


メアリーさんはニコリと微笑む

……怖い……怖いっすよメアリーさん


醤油とオリーブオイル、癖がないのでエクストラバージンのオリーブオイルだなこれ……完成度高い


次にスープ、ヴィシソワーズだった

ジャガイモあったのか……、さらっとしているがほんの少しとろみの効いた冷たいスープで、上にパセリが乗っている

あ、パセリあるんだ


メインはフェトチーネのカルボナーラ

あ~生パスタあるのか……


「生パスタあるんですね」

「あ~、大半が保存の効く乾燥パスタで、生パスタはこういったお店でしか~」

「? 生パスタができない理由があると?」

「上質な小麦粉にするためにふるいにかけるのですがコストが高くなりますね~」

「コストですか?」

「製粉業者があり、機械化は進んでますが~、使われる大半は全粒粉です、強力粉はふるいにかける分、高くなります~」

「となると、昨日や朝に食べたパンは……」

「庶民では食べられませんね~」


月金貨1枚……こんなところにコストがかかるのか……

もっと工業化すればいいのでは?

そのあたり、ビジネスになりそうだな……


デザートはチョコとバニラのアイスクリームにエスプレッソコーヒー

アイス!? 作れるの?


「アイスクリームですか?」

「はい~」

「結構温度管理が厳しいと思うのですが……」

「それは、魔石を使った魔道具で管理してます~」

「料理用の魔道具があると?」

「魔道具店にあります、アイスクリームのような料理の場合は専用の魔道具が必要になりますが~、一般的なものだと店頭に置いてます~」

「一般的なものとは」

「ランタンや虫よけ、魔物除けですね~、コンロもありますが各家庭に備え付けなので~」

「なるほど、ぜひ見てみたいですね」

「でしたら~、この後いかがでしょう~?」


メアリーさんはにっこりとかわいく微笑む

かわいさの裏に隠れているものが怖いのだけど、間髪入れず答える


「是非! その前に」

「前に?」

「コーヒーのお代わりを、エスプレッソだと濃くて……」

「そうですね~」


あ、相談まったくできなかった、まぁいっか後で

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