第26話 特許申請

3人で商業ギルドに来た


商業ギルドは、中心の大通りに面した場所にあった

外側は石で作られていて、大きな金属の扉を開け中に入ると、商店だった


「いらっしゃいませ」

「今日は2階に用があるから」


ティアラがそう話す


「かしこまりました~、そちらの奥の階段からお上がりください」

「ありがとう」


階段指定するの? なんで?


「タカハシ、どうした?」


不思議に思っていたのが気になったのかティアラが聞く


「いや、階段が4か所あるのに、なぜ上る場所を指定するのかと思ってね」

「それは、ほかの人とすれ違わないようにするためだな」

「ほう、でも何ですれ違わないといいんだ?」

「頻繁に商業ギルドに来る店は、何かしら問題を抱えていると勘繰られるからだ、むしろ商業ギルドから尋ねられる店が儲かっている店ということだ」


なるほど、現代で言う銀行だ、銀行員がお金を借りてくださいと頭を下げに行く企業こそ優良企業ってことだよね


2階に上がる、見た感じ薬師ギルドと同様、役所の出張所、受付は薬師ギルドとは違って5つ

ティアラはその中の開いているところに向かう


「いらっしゃいませ、あらティアラさん」

「よう、今日は特許申請に来た」

「でしたらこちらへ」


受付のお姉さんは席を立ち、こちらに出てきた、そして3階に向かう


なんで? と考えていると、ティアラが説明してくれる


「3階に特許申請の祭壇があるんだ」

「なるほど」


3階に上り、複数ある部屋の1つに案内される


「中に担当者がおりますので、そちらにお話しください」


受付のお姉さんがドアを開け、中に入るように促す


中には30歳くらいの若い男性がいた


「よっティアラ、申請だって?」

「変わらないねローエン、申請なのだが、今日は自分のだけではない、このタカハシの分も入っている」

「タカハシさん?」


ローエンさんがこちらを向く


「はじめまして、ローエンさん、タカハシと申します」

「はじめまして、タカハシさん、ギルド長のローエンです」

「ギルド長!」

「ええ」


若いのにギルド長っ! 薬師ギルドのジョンさんとはだいぶ歳が違うぞ!


「いや、お若いのにすごく優秀なんですね」

「まぁ、いろいろありましたので……、で、申請は?」

「こちらになります」


用意していた次の申請書類を渡す


・ベアリング

・モーター

・モーターを動力源とする抄紙機しょうしき

・魔石を魔法陣で包んだもの

・馬車にベアリングを付ける申請

・紙箱

・段ボール紙

・段ボール箱


馬車にベアリングを付ける申請は急遽作成したものだ


「しめて8枚ですね、少々お待ちください」


ローエンさんは祭壇の前に申請書類を置き、祭壇の前に立つ

少し光った感じがした後、こちらに向きなおす


「申請終わりました、1枚だけ却下されてますね、どれどれ、『類似品あり』とのことです」


書類を見ると、『魔石を魔法陣で包んだもの』が却下されていた


さらにローエンさんから


「これ、大きな魔石のある重要拠点で暴発防止のために使われてますね」

「あ、そっか! 魔法陣が一緒だったか」


とティアラ、ちょっと残念がってる


「なので7つの特許維持料、銀貨35枚いただきます」


自分は銀貨35枚を渡す、残金が銀貨84枚になった……

大丈夫、すぐ取り戻せるハズだから!


「ではローエン、今日はこれだけだから」


ティアラはそっけなく対応する

でもローエンさんは変わらないまま、部屋の入り口まで見送ってくれた


「またのお越しをお待ちしております」


受付の女性は、1階まで丁寧に送ってくれ、3人は商業ギルドを後にした

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