第28話 商談(ジェームス製紙工場)その1


「おはようございます」


7日目の朝は机の上だった……

寝落ちしたか……


「おはようございます、マリーさん」


いつもどおり、マリーさんにクリーンの魔法を使ってもらう


「タカハシ様、机の上で寝られるのは……」

「あ、以後気を付けます」


朝食をとった後、メアリーさんの馬車でティアラを拾い一緒にジェームス製紙工場へと向かった




「ようこそおいでくださいました」

「おせわになります~」


ジェームスさんはメアリーさんと挨拶を交わす


「今日は、何やらタカハシ様からお話があると」


あ、メアリーさん前日にアポイントメントとってくれた? 優秀だなぁ……


「はい、今日はモーターと工場の改善提案に来ました」

「それは、ぜひともお伺いしたいですな、こちらで」


奥にある部屋に案内された

部屋の中は、背もたれのない椅子と簡易な机があるのみだった


ジェームスさんは入り口と反対側の席を進めてくれ、座るように促す


さて、商談開始だ


「今日は、これの紹介とこれを利用した工場の改善提案に来ました」


そういって、アイテムボックスから取り出した、モーターを見せる


「これは?」

「充填済みの魔石をつなぐと、動きます」


モーターを動かす


「おお!」

「これを使って抄紙機を動かすようにすれば、蒸気機関は必要ないと思いますが、いかがでしょう?」

「……」


ジェームスさんは渋い顔をする

あれ? 外した?


「タカハシさんに説明してなかったですな、いい機会ですので蒸気機関を導入するのにためらっていることについて説明しましょう」


あちゃー、多分根本的なところから間違ってたか?

これはきちんと聞かなくては!


「ジェームスさんすみません、お願いいたします。」

「結論から申し上げますと、蒸気機関を導入しても、紙の需要が少ないので投資額が回収できないのですよ」


あ、そっち!?

そうか、明治時代は計算とか繰り返し使うものは石板だった!


「需要が少ないとは思ってませんでした……、ちなみにここで生産された紙はどんなところに使われるのですか?」

「各種ギルドでの書類作成に使われます、あとは一部トイレットペーパーとして使います」

「あれ? それでは、結構な需要になるのでは?」

「いえ、蒸気機関を導入した場合生産量が現在の10倍になることになります」

「現在の生産量はどれくらいでしょう?」

「1メートル四方の紙を1日600枚程度作成してます、それが6000枚製造できたとしても」

「売り先がないと……」

「はい……」


……うわー! やっちまった、アテが外れるとはこのことだよ~

となると、今の機械で紙の品質を上げる方が喜ばれるのかな?


「……となると、紙が白くなったりする方が良いのかな……」


気づかないうちにぼぞっと口に出てた


「!!! そんな技術あるんですか?」


ジェームスさんが前のめりに迫ってきた

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