ex.1 その後
沙織さんの悪事を暴き、櫻子さんを助け出してからのしばらくの間、それは大変な騒ぎとなった。
まず僕と雪乃さんが全裸の沙織さんに手錠をして放置した件で、檜山邸に駆けつけた警察官は、沙織さんを事件の被害者と勘違いし保護したが、捜査途中で僕や雪乃さんの証言や、自首した養護教諭の自白によって数々の証拠が白日の下となり、沙織さんは逮捕されることとなった。
しかし犯行が露見すると、生徒と職員が共謀して盗撮行為を行っていたことや、被害者の数が十数人にも昇ったことがマスメディアの耳目を集める結果となり、学校は大騒ぎだった。そうしてこの事件は日本中が知ることとなる。
また、誘拐された櫻子さんの救出に際しての暴力行為は、僕達の予想通り罪に問われた。
学校側は本来退学処分とするものだが、沙織さんの悪事を暴いた功績を認めてくれたために、僕は二週間の停学で済まされたが、司法はそういう訳にはいかなかった。
櫻子さんの生命を救うためとはいえ、男達の半数が瀕死の重傷を負っていた事実や、雪乃さんの銃刀法違反は明らかな過剰防衛であり、下手をすれば実刑判決の可能性すらあった。
しかし事情を知った文香ちゃんのお父様が複数の弁護士を用意してくれたおかげで、僕と雪乃さんは正当防衛権が認められ無罪となり、雪乃さんのテイザー銃も男達から奪ったものを使用したことになり、全て綺麗に収まってしまった。
噂によれば日本法曹界史上最強の弁護団が結成されていたそうだが、それに関しては真偽が恐ろしいので未だに聞けずにいる。
ともあれ、僕も雪乃さんも警察に捕まっていたのはたったの数日間であり、それ以降は裁判での証言を除いては何ら変わりなく暮らしている。
僕は無事に高校を卒業し、希望する大学にも進学することが出来た。
今はとても充実した毎日を過ごしているが、それは大学進学と同時に始めたバイトが影響しているのかも知れない。
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