第十八話「暴君降臨」
謎の怪人が放ったロケットランチャーは戦車に直撃。
大爆発を起こした。
爆発の衝撃で視界が歪む。
「皆生きてるか!?」
横ローリングで咄嗟に戦車から離れたがそれでも吹き飛ばされた。
あの時将一を含めて全員が戦車の右側面にいた。
ロケットランチャーは戦車の一番頑丈な正面装甲に直撃して爆発炎上は逃れたが――
「私は何とか――」
瞬は無事なのは何となく分かっていた。将一と同じく咄嗟に飛び引いたらしい。
問題は女性陣二人だ。
「体痛いけど私も無事。メガネ、メガネと――」
「私も同じく――」
女性陣二人も無事だった。
梨子が真清を押し倒すようにして飛び離れたらしい。
「さてと、あの化け物とやり合いますか・・・・・・」
「グォオオオオオオオ!!」
アサルトライフルの銃弾を撃つ。
黒いコートに着弾するが効果無し。防弾仕様かも知れない。
代わりにガトリングガンが回転を始める。
「避けろ!!」
そして将一は右斜め、駐車場を目指すように走り始めた。
取り合えず注意を引ければいいと思って銃を発射する。
「ォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
ガトリングガンを乱射しながら怪人も走り始める。
☆
戦いの場所は駐車場になった。
(相手の火力を考えると危険地帯と変わらんなこれ)
車と言う障害物が多いが、同時に格納庫と違って危険地帯である。
銃の威力は拳銃レベルでも車体を貫通する。
下手に盾にすれば車と共にに蜂の巣になる。最悪車が爆発炎上し、一緒に木っ端微塵になるかもしれない。
だがそれは相手にも言えるし、それにどの道普通の追い駆けっことかになったら間違いなく死ぬ。
将一はそこまで計算したわけではないが少なくとも何も無い場所で追いかけっこするよりかはマシに考えた。
(ガトリングガンか!!)
咄嗟に地面に伏せる。
ガトリングガンを乱射してくる。
隠れていたに乗用車の車体上部が抉られるように伐採された。
突っ立っていたら死んでいただろう。
(恐いけど近づかないと勝負にならない――)
手持ちの火器で奴を倒すにはどうしても接近戦を挑む必要がある。
どう考えても自殺行為の様に思えるがそれでもやるしかない。
「3、2、1、スタート!!」
自分自信に命令する為にあえて徒競走の様なカウントを取って走り始めた。
するとロケットランチャーが飛んで来た。
先程まで盾にしていが乗用車が映画の爆発シーンの様に上空に吹き飛ぶ。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」
アサルトライフルを乱射する。相手との距離は50mもない。ある程度離れているようにも感じているが現代戦の基準では近距離戦だ。
ある程度当たるがやはり効果は無い。
ガトリングガンとロケットランチャーをばら巻きながら此方を近づけさせない。
乗用車の爆発と熱風が体に当たる。きっと後ろではアクション映画さながらの爆発シーンになっているだろう。
段々と南 静香や木下が慈善業者に感じて来た。
「グォオオオオオオオ大オオオオオオオオオオ!!」
弾が切れたのか、武器を放棄し、そして近くの乗用車を持ち上げてぶん投げて来た。
「こんな化け物が一体今迄何やってたんだ!?」
地面を転がりながら飛んで来た乗用車を回避した。
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」
「それしか言えないのかテメエは!?」
だがようやく反撃のチャンスだった。
アサルトライフルの弾を頭部目掛けて発射する。
しかし直ぐに弾が尽きた。将一も馬鹿みたいに乱射していたからだ。
慌ててマガジンを切り替える。
(て、飛んだ!?)
力強く助走を付けて上空に飛んだ。
オリンピックの走り幅跳びを見た事があるが、アレが子供のお遊戯に見えてくる。
十m以上飛んで、そして此方に向かって降下してくる。
「うわああああああああああああああああ!!」
ドスンと言う着地。アスファルトの地面に窪みが出来る。
そして豪腕が振り落とされた。地面が砕け散る。
三mも離れていないすぐ側でだ。
スーパーマンとかと戦うチンピラの気持ちを将一は理解できた。
たぶん今の自分と同じ気持ちだろう。
「逃げても戦っても死ぬなら!! 戦って死ぬしかねえだろ!!」
と言うか外見がまんま国民的人気ゾンビゲームのアレなので、この場で殺さないと永遠と殺し合うんじゃないかと想像したからだ。
こんな化け物がいる中でよく呑気にセックスとかしてたもんだと今更ながら将一は思う。
マガジンを切り替えてフルオートに変更、とにかく弾丸を頭に向かって撃ちまくる。だがフルオートだと反動がキツイ、だけど手数が必要。なのでトリガーを引きっぱなしにしては離す、引きぱなしにしては離すを繰り返してとにかく大量に弾丸をばらまく。
弾丸が頭部を襲う。咄嗟に相手は腕でガードする。
そして片手で2mの身の桁以上のサイズの斧を持ちだし、縦に投げつけた。
「あぶな!?」
斧は将一の直ぐ側を通った。そのまま他の乗用車に深々と突き刺さる。
その隙を狙って怪人が飛び込んでくる。
そこから死の拳撃のラッシュだった。
大振りな為、ある程度拳筋は読めるのが救いだったが心臓にとても悪い。一撃でも喰らったら間違いなく死ぬ。腕でガードしたらガードした腕は吹き飛ぶだろう。
一撃、一撃をフェイントなどを警戒しながらステップ、ローリングなどで回避しつつ銃弾を浴びせる。だがダメージが通ってる気配がない。怯まず攻撃を仕掛けてくる。
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
一方的にやられる事にイライラしたのか、再び近くの自動車を持ち上げた。
その時、怪人の背中側から轟音が連続で鳴り響き、怪人の血飛沫が背中から舞い、自動車が爆発する。
そのままスクラップと化した自動車の下敷きになり、倒れ込んだ。
「すいません。遅れました」
「遅いぞ――今のは?」
瞬が慌てたように駆け寄ってくる。
勿論怪人への警戒は忘れない。
「梨子さんが戦車の機関銃で援護してくれたんです。最初のロケットランチャーで砲身は使用不可能でしたが銃座は生きていたようでして――」
そう言って視線を遠くにある戦車に目をやる。
成る程と思った。
そして再び燃え盛る車両の下敷きになっている化け物に目をやる。
流石の怪物も12.7mm弾の破壊力の前では無力だったらしい。爆発は重機関銃で車両のエンジンブロックを撃ち抜いたりしたせいだろうと思った。
「成る程ね――取り合えずグレネードなり、頭を完全に吹き飛ばして置くか」
「そうですね――」
この手の怪物は放置すると復活すると言うのがゾンビ業界のお約束だ。
例え肉片になっても細胞一欠片残さず焼却処分しておくのが賢明だと思った。
取り合えず頭を完全に粉砕して置こうと近寄る。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
しかし想像以上の速さで復活した、
車両を押しのけて立ち上がり、咆哮を上げる。
「クソ!! 案の定グロイ面構えしてやがる!!」
バケツの仮面の下はグロイ面構えだった。骸骨に薄暗い肌色の皮膚を付け、白目で歯茎は向き出し。
妙なチューブまで付いている。
完全に一時期国民的有名なゾンビゲームに出て来たアレだ。
露出したコートから大きな臓器が力強く脈打っている。あそこが弱点だろう。てかそうであって欲しい。
「下がってください、グレネードで吹っ飛ばします!!」
「おう!」
相手の心臓目掛けて乱射する。
やはり弱点なのか両腕でガードする。
そして足下をグレネードが転がっていく。
「伏せて!」
爆発した。
しかし少し蹌踉めいただけで再び走ってくる。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオ」
「避けてください!」
「言われなくても!」
瞬と将一はそれぞれ別の方向に飛び避けた。
そして銃弾を浴びせる。
瞬が的確に頭を狙い、怯んだ。
そこを将一が胸元の肥大化した心臓を狙い撃つ。
血は出ているダメージは与えているらしい。
「グォオオオオオオオオオオオオオ!!」
空高く跳躍。
そして自分が投げて乗用車に突き刺さった斧を手に取る。
襲い掛かってくる。狂戦士と言う言葉がお似合いな姿だ。
「どうやら、とことんやり合いたいみたいだぞ」
「そうですね――」
(あんだけ激しく動き回られたら梨子の援護は期待出来ないか――)
重機関銃は反動も凄まじく、正確に目標を狙う事には向いてない。
そして今現在は殆ど近接格闘戦になっている為、誤射で味方を巻き込みかねない。
「グルオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
斧で足下をえぐり取る様に薙ぎ払う。銃弾を撃ち込む。
そしてまた斧で薙ぎ払う。
とにかくその繰り返しだがとても神経を使う。
将一達はゲームのキャラでは無いのだ。薬草やスプレーで回復なんか出来ない。一撃で死んでしまう。
「弾が切れた!」
「こちらも心許ないですね――」
将一はアサルトライフルとグレネードを使い切った。
残りはショットガン、拳銃とナイフぐらいしかない。
相手が普通のゾンビなら十分だが相手は何発も生身の部分に銃弾を喰らっても爆発に巻き込まれてもピンピンしている化け物だ。
正直心許ない。
瞬も弾薬が心許なくなっていると言う。
危機的状況だ。
「グォオオオオオオオオオオオオオ!!」
手は無いわけではないが梨子達を危険に晒す事になる。
だが生き延びるにはそれしかない。
その選択肢が頭を過ぎった。
その時だった。
まるで雷が落ちたかの様な大音量の銃声が鳴り響いた。
「今の銃声どこから!?」
「屋上からです!?」
「――屋上・・・・・・」
結構距離があるが、誰かが狙撃してくれたのだろう。
相手の左肩が大きく抉れ、血を吹き出し、よろめいた。
(勝負を付けるか――)「梨子の元まで走れ!」
「何か勝算でも!?」
「無くてもやるしかねえ!!」
怪人の横側を通り抜けて梨子がいる戦車の元まで走る。
ちゃっかり瞬はグレネードを置き土産に置いていった。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
更に轟音。
狙撃が当たるが斧で防いだ。頑丈な斧で破壊には至ってない。
しかし瞬のグレネードが起爆する。
再び大爆発となった。
しかしそんなダメージを負っても敵は追い掛けてくる。
凄まじい生命力だ。ここまで来ると褒めるしか無い。
「梨子おおおおおおおおおおおおおおおお!! 撃てえええええええええええええええええええええ!!」
「分かった!!」
戦車の銃座にいた梨子の重機関銃が大音量の銃声と共に発射される。
咄嗟に怪人は斧でガードした。だが斧はドンドン削られていき、やがて破壊された。
行ける
そう思った時だった。
「ごめん! 弾が切れたみたい!」
「クソ、もう一押し!!」
自らを奮い立たせる様に将一は叫ぶ。
「私に任せて」
「真清!?」
どうやら戦車の近くにいたらしい。
真清がグレネードを下手投げで投げ込んだ。
そして銃を打ち込む。だが相手も学習して来たのか投げ込んだグレネードを逆に掴んで投げ返そうとする。
「嘘でしょ!?」
「いや、ナイスだ!!」
ショットガンを発射。
散弾が相手が掴んだグレネードに直撃し、右腕の中で起爆した。
焼け込むだけで済む辺り、とんでもない頑丈さだがそれでも十分だ。
「真清、グレネード残りあるか?」
「あるけど、何をする気?」
「アイツにトドメを刺す」
「えっ? トドメを刺すって――」
「早く!!」
更に屋上から何かが射出され、怪人の背後で爆発が起きる。
真清は慌ててグレネードを取り出し、それを強引に奪い取る。
そして将一はショットガンを乱射しながら飛び込んだ。銃口は相手の胴体で脈打つ心臓に向けてとにかく乱射する。
「グォオオオオオオオ!!」
相手はもがき苦しみ、そして膝をつく。
丁度良い高さになった。
弾切れになったショットガンを放り捨ててグレネードのピンを抜く。
そして屋上からの狙撃で抉れた左肩に押し込んだ。嫌な感触がしたがそこは我慢。慌てて離れる。
何度目かになる爆発が起きた。
「グォオオオオオオオオオオオオ――」
「まだ生きてるのか――」
胴体の左半身を大きく抉られても戦闘活動を辞めようとしない。
大量に血が流れている。
歩みはゆったりだ。
だがやがて動きはどんどん鈍くなる。
「これでトドメだ」
そして四人による一斉射撃が加えられる。
これで正真正銘のトドメとなり、怪人は動かなくなった。
☆
その後の事を語ろう。
あの怪人は細胞一つ残らず燃やす事にした。
戦車はゾンビを轢き飛ばしすぎたせいで行動不可能になったらしく、キャタピラに詰まった肉片とかを取り出してメンテナンスしないとダメだそうである。実質放置が決定した。銃座も弾も銃本体もかなり酷使したので同じく放置。ただの障害物になってしまった。
その変わり、校舎の周りに居たゾンビなどは戦車である程度掃討出来たらしい。
将一は学生寮に逆戻りになってシャワーを浴びた後如月 霞から学生服ではなく、黒い特殊部隊が着そう衣装を受け取り、それに着替える。
武装もある程度変えるつもりでいる。とにかく火力不足だ。木下の様に思い切ってロケットランチャーを持ち歩かないといけないかも知れない。
そして、あの時駐車場での戦いで校舎の屋上から対物ライフルで怪人を狙撃して助けてくれたのは意外な人物だった。
「まさかあの時助けてくれたのはアンナだったとはな――」
着替えた将一は玄関前のエントランスホールで同じ文芸部員の制服姿のアンナと合流した。
アンチマテリアルライフルやロケットランチャーを背負っていて手にはサプレッサー付きのアサルトライフルを持っている。
彼女なら校舎の外に出て単独行動出来ると感じるのは何故だろうか――
屋上を援護してくれたのはアンナだったのである。てっきり将一は真田先生辺りかと思っていたのだが、なぜか違和感を感じなかった。
「あれだけ派手に騒げば誰だって気付きます。今学園は大騒ぎです。真田先生などの各教員は対応に追われています」
との事だった。
「そうか――しかしいきなりなんなんだあの化け物は?」
「如月先生や真田先生が言うには隔離エリアに放り込まれていたミーミルの生態兵器では無いかと?」
「生態兵器――あのトカゲの怪物や植物もそうか――」
「はい。一日目の頃に余り姿を見せなかったのは特別校舎に引き寄せられていたからか、ミーミルの施設から出るのに手間取っていたのでは無いかと思われます」
「にしても突然過ぎるだろう? 特にあのバイオに出て来そうな斧持った怪物とか一日目の頃に現れても――」
「二人はこうも言ってました。何者かが差し向けた可能性があると」
そう言われてハッとなった。
「その可能性があるな・・・・・・」
南 静香の例もある。
理由はどうあれその可能性は決してゼロでは無い。
心堂 昴も考えたが、ならどうして一緒に襲わなかったのかと言う疑問符が残る。自分達を殺したかったらその手が確実の筈だ。
では一体誰が? と考え込むがさっぱり分からない。
「ともかく一旦休んでください。学園の方も生徒達が武装してそれぞれの持ち場で守りに付いています。私は部長の方に挨拶して来ます」
「分かった」
そう言ってアンナは立ち去った。
「ふう・・・・・・ヘビーな戦いが続くな――」
そうして夜が完全に明けた。
爆発まで残り三十時間を切っている。
将一は武装の構成を考えながら体を休めた。
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