その時、闇の使徒は? その2


 私は何を考えたのか外を彷徨っている。


 まだ人類のダメージは少ない。


 その内にある程度この状況に馴れて置こうと言う考えと言うのが一つの建前。



 もう一つは言えの周囲からゾンビがいなくなったのが一つの理由だ。


 自衛隊や警察などと交戦したのだろう。銃弾の音が響いてゾンビ達はそちらに引き寄せられたのも大きい。



 死体を見て吐きかけたが取り合えず安全は確保されている状態だ。


 家の中で鈍器を探ったがバットやゴルフクラブすら無かった。


 変わりに傘を持って行く。



 傘は少々頼りないが開けばゾンビを押し退ける防御壁ぐらいにはなるだろうと考えた。


 後他にも袋とかも持って行った。


 袋も不意を付いてゾンビに被せれば少なくともそのゾンビから噛まれる心配はなくなる。


 この二つはゾンビゲーで得たアイディアだ。


 

 問題は私自身の身体能力と体力である。


 正直最低水準だ。


 まだ小学生や幼稚園の頃の方が良かったぐらいだと思っている。


 長時間の行動は無理だ。



(外に出たのはいいけどこれからどうするか……)


 避難所になりそうな場所は全滅してるんじゃないかと言うのが私の考えだ。

 理由は簡単に状況が分からない段階で噛まれた人間が紛れ込み、そこからゾンビ化していき避難民がゾンビ化して行くと言うのが私の考えである。

 自衛隊や警察なども同じ様な理由になっているだろう。


(ところどころで車が障害物になってる――)


 道は車が障害物になって倒れていて行く手を遮っている。最初の一日目の騒動で事故ったのだろう。

 逆を言えばゾンビの行動を制限できるだろう。自分もよじ登るなりなんなりしないといけないのが難点だが。


(自転車を置いて行動は出来ないし、避けるべきね――)


 ちなみに今私は自転車に乗っている。

 何時も使っている電動自転車を使いたかったが、今の状況下だと何時電力が尽きるか分からないので早めに馴れて置こうと考えたからだ。


「あったあったホームセンター」


 比良坂町は地方都市で基本何でもある。

 その一つであるホームセンターに到着する。

 ホームセンターは最高だ。

 ゾンビサバイバルの為に必要な物は何でも揃っている。

 食料から武器に、要塞化に必要な土嚢代わりに出来る肥料の袋までもある。


 同じ事を考えていたのか既に要塞化が進められており、土嚢が積み上げられていて周りには撲殺されたと思しきゾンビが倒れ伏している。

 生存者がいるのか? と思い中に入ろうと思ったがどこから入っていいか分からなかった。


(とにかく回り込んで中を――)


 私は中の様子を知りたかった。


 ふと鉄製の柵が見える。


 隙間が見える。


 そこから中を覗き込めるんで覗き込んだ。


 そして後悔した。



 あの後、私は逃げるようにホームセンターから立ち去った。


 バリケードが築かれている筈のホームセンターの中でゾンビが闊歩していた。


 恐らく、要塞化を進めていく段階で噛まれた人間が入り込み、そしてああなったに違いないと感じた。


 貧弱な自分の体では一体のゾンビでもアウトだ。

 何体いて何処に潜んでいるのか分からない場所に潜り込むのは自殺行為だ。


 それよりも遠目から見えるあの比良坂学園はどうなっているのだろうか。

 小高い丘に建築された学園は周囲を黒い壁に囲まれている。


 外より安全地帯なのだろうか?


 だが時折、爆発音や銃撃音が学校の方から響いて来てビクッとなる。


 一体何が起きているのか不安になる。


(とにかく今は自分の身をどうにかしないと――)


 まだサバイバルは二日目。


 家の中でも色々とやる事は沢山あるのだ。 

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