概要
・6月17日7:00~ 第二章「春霞の中で」
・6月18日7:00~ 第三章「天つ風を越えて」
・6月19日7:00~ 第四章「焦煙の向こう側」、エピローグ「櫛形山」
★☆KADOKAWA電撃の新文芸より10月17日刊行が決定しました!★☆
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☆書籍版は全編にわたり大幅な改稿を加えています。
★☆第3回カクヨムWEB小説コンテスト最終選考進出作★☆
★☆電撃《新文芸》スタートアップコンテスト最終選考進出作★☆
これは、緋色の翼と三姉妹が織
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!田舎の空気、季節の描写力!
ひと息に読みました。自分は機械に疎く、飛行機にも興味のある読み手ではありません。しかしこの作品を面白いと感じたのは、偏に、主人公をはじめとした登場人物たちを取り巻く景色を、空気感を、「共有したい」と思ったからです。
夏の暑さ、爽やかさ。冬の寒さ、澄んだ空気。張り詰めた緊張感と、緩和のバランス。このキャラクターたちと同じところにいたい、同じ体験をしてみたい。そう思わせる描写の力を、この作品は持っています。
読み手をその作品の舞台へ連れてゆくこと、これが小説の力なのだとしたら、作者はそれを引き出す力をお持ちなのだと思います。
なにより、この作者は空が好きなのでしょう。そう思わせてくれる作品でした。 - ★★★ Excellent!!!キャラだけじゃない、作者自身が調べて作り上げた空と風と人の物語
飛行機や舞台設定、世界は何故そうなっているのか、そう言った要素を世界観と表現しますよね。
フィクションには多くの要素を一本の糸として、撚り合わせて長く丈夫な縄になっています。
この縄が、多分世界観。
その辺の説明は他のレビュアー様や本編中を読み進めれば、たとえ最初は少し難しいと感じたとしても優しく理解できると思います。
ですので、ちょっと別角度から、ごく当たり前の事を書きたいと思いました。
主人公の女性は年齢相応の悩みを持っています。
「自分はどんな大人になりたいのか」
思春期の悩みを彼女はどう答えを出して行くのかが、本作の読みどころではないかと考えます。
作中に出てくる人物達は、人が誰…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一緒に!空へ!
こういった作品にしては珍しく、読んでいて非常に軽いです。何行も何段落も設定が書かれたかと思えば、堅苦しい会話が続いて、しかも選ばれる言葉はとりあえず難しいものでげんなり――。ということがないんです!
それは設定が浅いとか手抜きとか言葉を知らないとか、そう言うことでは断じてありません。書きたいことや伝えたいことをはっきりとさせ、楽しませることを考えて書かれていると思いました。
だからこそ、読んでいく中で自分も空へと上がっていくような。物語の加速にあわせて、自分の期待もどんどん加速していくような、そんな作品です。各章各話が短時間でも読みやすい量であり、またそれぞれの区切りで退屈させられないため…続きを読む - ★★★ Excellent!!!"もうひとつの戦後日本"の空をかける少女の成長物語
太平洋戦争の終戦が一ヶ月だけ遅くなった、私達の世界とはほんの少し異なる歴史を辿った日本。その僅か一ヶ月間の違いが、もう一つの戦後日本の民間航空産業の勃興を生む。航空機が遥かに身近な存在で、まるでトラックの個人運送業者、さしずめ映画のトラック野郎のように飛行機で日本各地を飛び回る。そんな設定で始まる、空への憧れと天才的操縦テクニックを持つ、少女の成長物語だ。
飛行機のコックピット内の操作、操縦中の判断、機体の性能や特性、そして飛行するための環境など、航空に関する知識をストーリー展開の中に自然に盛り込むことで、読む進んで行く内に作品世界のイメージがどんどんクリアになっていく。ストーリー自体…続きを読む - ★★★ Excellent!!!平易な言葉で紡がれる浮遊感
自らが操縦桿を握って空を舞うことのできる人はごく僅か。
それゆえに、パイロットを主人公とする物語に実感を伴って
没入できる人もまた、ごく僅かではないかと思います。
その乖離を埋めようとして、特に小説はなまじ細かく説明
できてしまうため、必要以上に専門用語を駆使して操縦動作
やパイロットの心理心情描写に行をさき、結果として中々
物語自体が進行せず、読みづらくなっていくことが多いのです
が、本作は異なります。
本作での描写は主に“飛行機に乗っている者から見える景色”
と“その飛行機を見つめる者”そのものに多くの行をさき、それ
により読者に“一緒にその飛行機に乗っている”浮遊感覚を与え
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神は細部とお話にも宿っている
「神は細部に宿る」と言うが、細部のディテールがしっかりしている割に、お話はうーん・・・という作品自体は結構多い。自分の知らないジャンルの専門用語を並べられた上、それが話の本筋に絡んでない作品は作者の自己満足なのではないかと思うことも多々ある。
飛行機が絡んでくるこの作品も、そんなヒコーキマニアの自己満足に陥っているのではないかと身構える人も多いかもしれない。だが、読み進めていくうちに、「これは違う・・・」と感触を得る。歴史的背景、地理的要因、飛行機の特性。これらが話に上手く絡み合って進み、主人公はそれらに翻弄されつつも乗り越えていく。
飛行機とその操縦のディテールもさることながら、舞台と…続きを読む