田舎の空気、季節の描写力!

ひと息に読みました。自分は機械に疎く、飛行機にも興味のある読み手ではありません。しかしこの作品を面白いと感じたのは、偏に、主人公をはじめとした登場人物たちを取り巻く景色を、空気感を、「共有したい」と思ったからです。
夏の暑さ、爽やかさ。冬の寒さ、澄んだ空気。張り詰めた緊張感と、緩和のバランス。このキャラクターたちと同じところにいたい、同じ体験をしてみたい。そう思わせる描写の力を、この作品は持っています。
読み手をその作品の舞台へ連れてゆくこと、これが小説の力なのだとしたら、作者はそれを引き出す力をお持ちなのだと思います。
なにより、この作者は空が好きなのでしょう。そう思わせてくれる作品でした。

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