ごはん
ごはん。誰しも毎日一度くらいは食べますよね。食べ方は人それぞれ。だからこそ、その人が一番好きな食べ方だってあるのではないでしょうか。ここでは私が聞いたお話をあなたにこっそりと紹介していきます。だからあなたも秘密にして下さいね。
あ、やっぱり秘密にしなくてもいいです。「美味しい」を隠してはいけませんよね。確かに、自分だけが知っている美味しいお店などは隠したくなるものです。お店が繁盛するのも、自分が美味しいと感じるものを他の人が共感してくれるのも嬉しいですけれど。それ以上に、人気店になると自分が通いにくくなるのではないだろうか、予約が取れなくなってしまうかも、静かに食事をすることが出来ないのは嫌などと色々な心配が頭を過ります。そんなこと、考える必要ありません。ここでは誰かのごはんの食べ方をお話するだけ。誰でも簡単に。家でも、一人でも試すことの出来ることですから。安心して話して下さい。
「ねえ、一番好きなごはんの食べ方って何?」
これを読んだ後、あなた自身が誰かに聞いているかもしれませんね。
私が質問するのはこの五つ。年齢、性別問わずに聞いて行きましょう。
1. ごはんに一番合うと思うお供ってなんですか
2. (1で答えた)それを、どのようにして食べますか?
(おすすめの食べ方を教えてください)
3. ごはんの一番美味しい状態を教えてください
4. 冷たいごはん、どのようにして食べますか?
5. パン派?ごはん派?
【 Aさん 十九歳 】
いくつか質問していってもいいですか。私の問いかけにスマホをいじりながらも快く頷いてくれた彼女。
「んー…お肉かな」
彼女のごはんのお供は牛肉だという。普段、あまり牛肉を食べているイメージがなく意外だと思えば「鶏も豚も牛も個々の良さがあるから迷うんだけど」とお肉大好き!な雰囲気がとても伝わってくる。「牛丼、美味しいじゃん」と真剣な顔。溶きほぐした生卵をかけて食べるのが好きだそうだ。「あつあつかどうかは気にしないかな」牛丼の時にそう答えていた彼女だが、冷ごはんもそのまま食べるらしい。レンジで温めないのかと尋ねれば面倒だからと一言。
ごはんの一番美味しい食べ方を尋ねると独特な答えが返ってきた。
「ごはんはね、かたい方が好き。ほら、芯の残ってるというか…パスタでいうアルデンテみたいな」
ふむ。
ごはん、アルデンテで。
内心くすっと笑ったところで、一番好きなのはおにぎりだと話してくれた。お昼に食べるはずだったものを残して置き、仕事帰りの車の中で食べるのが楽しみなのだという。ひとつ多めに持って行った方がよさそうだとも思ったが、時間がないときに食べられなかったものなどを食べるのがいいのだとか。
「毎日じゃなくて、たまにね」
最後にどちら派か尋ねると「仕事ではパン作ってますが、ごはん派。大好きです」と良い笑顔を見せてくれた。
【 Kさん 七五歳 】
Aさんに話を聞いていると、「何してるの」とKさん。良ければお話聞かせてください。私が言うとにっこり笑顔で承諾して下さいました。
ごはんに合うと思うものを尋ねてみます。
「カレーとかハンバーグかな」
あら、可愛い。「外食の話ね、家で作ろうとすると時間も手間もかかちゃって。それに一人分って作るの面倒でしょ」と言いながら、それを気にせずに食べられる外食っていいねと私がメモをとっているのが気になるのか、手元を見ながら答えてくれます。時折、そんなことまで書いてるの?なんて言いながら。カレーやハンバーグはベーシックなものが好きなご様子。チーズや何かを入れるのは好きじゃないと顔の前で手を振る仕草。
「そのままがいいよ」
冷たいごはんってどうします?
「おかゆかチャーハンかな。ざーっと冷蔵庫の中を見ておかずになりそうなものがない時なんかはおかゆに卵落とすんだけどね」
それを聞いて、卵を落としたおかゆを想像し優しい気持ちになった私。
手荷物をまとめ始めて袋の口を縛り、立ち上がるKさん。「そろそろ行くね」あ、最後に!「なんだい」ごはん派ですか、パン派ですか?「ごはんだよ。またね」ありがとうございました、気を付けて帰ってくださいね。
【Dさん 十四歳 】
今、こんなことしているのだけれど。ごはんについて色々な人に聞いていると伝えると、にやり。答えてくれるんですね、いきますよ。
ごはんのお供って何ですか。
「豚の生姜焼き。やっぱりこれでしょ。もうね、生姜焼きバカだから」
嬉しそうに答えてくれました。さすが、食べ盛りの男の子は違います。「温かいごはんで焼きたてがいいよね。ロース肉、あれは本当にうまい」聞いておいて何ですが、飯テロされている気分です。「のり巻くみたいにさ、肉でごはんを巻いて食べるのが最高」一人あたり何枚、なんて気にせずに食べたいと食欲旺盛です。
じゃあ、ごはんが一番美味しいのってどんな時ですかね。「運動して腹が減ってる状態で納豆と一緒に食べる、これだね」空腹は最高の調味料なんて言いますもんね。
冷たいごはんってどう食べます?
「あー…なんだろうな。ごはんはそのままで温かいものを乗せるかな。緩和させるというか」
あえてごはん自体は温めないそうです。その発想は無かった。「あつあつのカレーと冷たいごはんね」なるほど、火傷防止なのかしら。
あ、そうそう。ごはんとパン、どちら派で「ごはん派です」食い気味に答えてくれました。夕飯もたくさん食べてください。
さて、と。そろそろ終わりにしようかと思うのですが、人にばかり聞いて自分のことを話さないというのはずるいと言われそうです。私のことも少し話しておかなければフェアではありませんね。
私のごはんのお供は「納豆」。パックのまま混ぜるのも良いのですが、少し大きめのどんぶりに移しかえて、ねぎ、鰹節、細かく刻んだたくあん、しらす干し、付属の醤油を少し入れます。よくかき混ぜてごはんにどーん。入れた物に味がついているので醤油は全部入れずとも十分です。たくあんの食感がたまりません。これがあれば他におかずなんていらない、ってなるくらい。子供の頃からよく食べていました。
やっぱりごはんは炊き立てが一番ですよね。それも土鍋ごはんが一番たと思います。真っ白ごはんもいいけれど、私は土鍋の炊き込みご飯がいいな。今の季節ならきのこたっぷり、にんじんと油揚げも入れて。勿論、おこげ付きでね。
冷たいごはんはええと、そうですね。稲荷寿司にしてしまうことが多いです。冷たくても気にならないし、味の良く染み込んだ油揚げがたまらなくて。
パン作りもしますが、やっぱりごはんは安心します。ごはん派です。
なんだか話していたらお腹が空いて来ました。あなたもですか、奇遇ですね。何をお供に食べましょうか。どうせならあなたのお気に入り教えて下さい。
冷蔵庫の中を見てみましょう。何かあるかな。
ええ、そうです。我慢することはありませんよ。ごはん、食べちゃいましょう。そろそろ炊き上がった頃だと思いますし。
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