概要
「それ、金になるの?」
超抜級の錬金術師 ヘルメス・サギシトリマス。
彼は天才的な錬金術師でありながら、ほとんど詐欺まがいの商売で日銭を稼いでいた。
ある街の領主をカモにかけ、調子に乗るヘルメスだったが、その背後に忍び寄る影が──!
これは、世界が錬金術から蒸気へ。
神秘から科学へと移ろいゆく黄昏の時代に語られる、錬金詐欺師と最後の魔女の物語である。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!君はこの物語を読んでもいい。読まなくてもいい。
主人公の名前が“ヘルメス・サギシトリマス”。ああ、こういうセンスを笑える人向けの作品ということか。すまない、僕には必要ない。
そう思う君の判断は悪くない。現に私だって同じ考えだった。
だが読み始めてみると、奇跡から科学が切り離されつつある世界を背景に、散りばめられた魅力的な登場人物各々の因果が、進むにつれ絡み合い、過去を掘り起こし未来を形作ってゆく。そんな非常に繊細で丁寧な物語を十全に堪能することができた。
内に真理を秘めるが故に詐欺師を自認する男の、飄々としつつ痛快な、颯爽とした韜晦の冒険譚を。君も騙されたと思って読んでみるのも良いんじゃないか? - ★★★ Excellent!!!安心してほしい。ここにあるのは愛と希望と詐欺だけだ。
本作は「安心して読める良作」だ。何しろ人が死なない! 厄介なトラブルも厳しい試練も、主人公たちは時に力ずくで、時に機転で乗り越える。最後は必ずクスリとし、ニヤリとし、笑顔で旅が続いていく。これは正真正銘、愛と希望の物語なのだ。
「徹底的にストレスフリーを目指した」とは作者の言。その言葉通り、本作は楽しみながらスラスラと読める。一人称の語り口は軽妙で、難解な言い回しがほとんどない。シンプルな描写はするりと頭に入るし、会話もテンポが良く飽きさせない。
本作の最大の魅力は、何と言ってもキャラクターたちの人間臭さだろう。詐欺師ヘルメスと魔女っ子ステラの口喧嘩は見ているだけで微笑ましく、彼らの喜…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神秘と科学に揺れ動き、激動する異世界。おっさん詐欺師とポンコツ少女の話
神秘が科学に塗り替えられていく異世界。
天才錬金術師として生きていたヘルメスは、人をだます、いわゆる『詐欺』で金を稼いでいた。
『金になるのか』そうでないか、彼の行動原理はそこにあると言ってもいい。
そんな彼の物語は、最後の魔女である少女との出会いで動き出す――
博打ヴァンパイアに、恋する絶壁乙女に、ボッタクリ自動人形に、真面目な錬金術師の青年に……
個性豊かな変人どもに巻き込まれながらも、二人の『魔女の楽園』への旅路はある時をもって終わりを迎える。
『魔女の楽園』とは、『最後の魔女』とは……
真実に触れた時、少女は何を選択するのか。彼は何を受け入れるか――
豊富な語彙から紡がれ…続きを読む