錬金詐欺師と最後の魔女 ~その賢者の石、燃えます~

作者 雪車町地蔵(そりまち じぞう)

101

36人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

主人公の名前が“ヘルメス・サギシトリマス”。ああ、こういうセンスを笑える人向けの作品ということか。すまない、僕には必要ない。

そう思う君の判断は悪くない。現に私だって同じ考えだった。
だが読み始めてみると、奇跡から科学が切り離されつつある世界を背景に、散りばめられた魅力的な登場人物各々の因果が、進むにつれ絡み合い、過去を掘り起こし未来を形作ってゆく。そんな非常に繊細で丁寧な物語を十全に堪能することができた。

内に真理を秘めるが故に詐欺師を自認する男の、飄々としつつ痛快な、颯爽とした韜晦の冒険譚を。君も騙されたと思って読んでみるのも良いんじゃないか?

★★★ Excellent!!!

本作は「安心して読める良作」だ。何しろ人が死なない! 厄介なトラブルも厳しい試練も、主人公たちは時に力ずくで、時に機転で乗り越える。最後は必ずクスリとし、ニヤリとし、笑顔で旅が続いていく。これは正真正銘、愛と希望の物語なのだ。

「徹底的にストレスフリーを目指した」とは作者の言。その言葉通り、本作は楽しみながらスラスラと読める。一人称の語り口は軽妙で、難解な言い回しがほとんどない。シンプルな描写はするりと頭に入るし、会話もテンポが良く飽きさせない。


本作の最大の魅力は、何と言ってもキャラクターたちの人間臭さだろう。詐欺師ヘルメスと魔女っ子ステラの口喧嘩は見ているだけで微笑ましく、彼らの喜怒哀楽にはすんなりと感情移入できるはずだ。各章に登場するサブキャラたちも、賭博好きな吸血鬼、直情的な貴族令嬢、妖艶な女魔術師、マゾヒストの自動人形など、一筋縄ではいかないクセモノ揃い。それでいて誰もが血の通った(?)愛すべき連中であり、一人ひとりの過去と未来が気になってしまう。

センスの良い言葉遊びも健在だ。呪文詠唱のルビ振りは順当に格好良いし、賭博シーンの「存分に祈り、存分に遊べ<Pray & Play>」、「倍掛け<レイズ>! 倍掛け<スプリット>! そして倍掛け<ダブルダウン>だ!」なども勢いがある。ひねりの効いたジョークもさらっと出てくる。神をロクデナシと評する理由として、「God」と「Good」を比べるなど実に洒落が効いている。

ストーリー構成も上手い。次から次へと起こるトラブルを解決し、オチがついたと思ったらすかさず次章への「引き」が来る。次へ、次へと読み進むうちにヘルメスの素性が明かされていき、気付けば最後の試練へと収束する構造は「お見事」と言わざるを得ない。


なお、本作は同作者の「失楽園のネクロアリス ‐Garten der Rebellion‐」と合わせて読む…続きを読む

★★★ Excellent!!!

稀代の錬金術師であり、詐欺師でもあるヘルメスと、まだ若いながらも奇跡の力を使いこなす魔女ステラ。

ふたりの旅と、その結末までが美しく綴られた作品です。
読後にじんわりと心に残る爽やかさとほんの少しの物悲しさ。

彼らはきっと今もどこかで、今を生きる我々を苦笑いしながら眺めているのだろうな、と。
そう思わせてくれる作品でした。

第三回ノベルゼロコン参加作品の中でも屈指の名作です。
読んで決して損はしません、ぜひご一読を。

★★★ Excellent!!!

神秘が科学に塗り替えられていく異世界。

天才錬金術師として生きていたヘルメスは、人をだます、いわゆる『詐欺』で金を稼いでいた。
『金になるのか』そうでないか、彼の行動原理はそこにあると言ってもいい。
そんな彼の物語は、最後の魔女である少女との出会いで動き出す――


博打ヴァンパイアに、恋する絶壁乙女に、ボッタクリ自動人形に、真面目な錬金術師の青年に……
個性豊かな変人どもに巻き込まれながらも、二人の『魔女の楽園』への旅路はある時をもって終わりを迎える。

『魔女の楽園』とは、『最後の魔女』とは……
真実に触れた時、少女は何を選択するのか。彼は何を受け入れるか――


豊富な語彙から紡がれる読みやすい文章に、張り巡らされた伏線、ハイテンポな展開は、読者のハートをがっちり掴む。

ご一読あれ。きっと物語の世界にどっぷりと浸かれます。

★★★ Excellent!!!

雪車町先生にしては柔らかめの文章で、しかしその描写力は健在です。何よりその柔らかめの文章がダイレクトに内容を伝え、物語自体を加速させています。これは一種の賭けだと思うんですよね。物語が面白くなければ、この方法はとれないと思います。

また各章、起承転結がきっちり定められており、読者を不安にさせる要素がありません。
食わず嫌いをしている方は、一度読んでみてください。きっとエピローグまで完走してしまうでしょう。

訳あり詐欺師(錬金術師)と最後の魔女の、奇妙な冒険譚。
彼等と一緒にする旅は、それはそれは楽しいものでした。

雪車町先生、素晴らしい作品をどうもありがとうございます!

★★ Very Good!!

 真理にたどり着いた超弩級の錬金術師と最後の魔女の旅は、科学の足音が聞こえているとは思えないほど、ドタバタしてます。
 魅力的(かつ残念)なキャラクターたちに出会いながら、目指す魔女の楽園。

 その旅路とその先まで、まずは読んで見届けてください。

★★★ Excellent!!!

個性溢れるキャラクターと、骨太で確かな世界観!
それを武器に、王道の展開を絡めつつグイグイと読めるコメディーテイストの超抜級の錬金ファンタジー!

まずは、ヘルメス・サギシトリマス!
彼の魅力は、チャーミングな台詞回しと何よりも、詐欺の腕前! 前半は彼の衝撃と笑劇の詐欺の連発劇に、大いに楽しませられた。
しかし、後半。彼の肉体の秘密や、錬金術本来の等価交換を超えた奇跡の数々に、読者は息を飲む。
彼は――、そう、本物の、始祖錬金術師だったのだ。

そして、最後の魔女ステラ・ベネディクトス!
我が儘だが正義感が強く、世間知らずだがどこか聡明。彼女がヘルメスと絡む事で、事態はドンドン加速する!
そして、後半。彼女がその勇気と叡智を試される時、魔女の楽園に辿り着いた時、彼女は何を選ぶのだろうか――。

二人のほかにも、罵倒に胸キュン?! 人形娼女ジーナや、魔術師アニー、吸血鬼やドラゴンなど、魅力的なキャラクターがたくさん!

間違いのない、疾走感溢れる物語! 完結した今、すぐにでも堪能したい、骨太なドタバタ王道ファンタジーだ!

★★★ Excellent!!!

貨幣経済とは、人間が生み出した最古の類に入る魔術にして呪い。
神秘から科学へと変遷する時代でも、それは変わらず。

錬金術師にして詐欺師のおっさんと、魔女っ子が出会い物語が始まる。

主人公達の行く末に幸あれ!!

★★★ Excellent!!!

 奇跡の終わる時代。
 この世界を包むルールが原始科学たる錬金術から近代科学へと移り変わる時代。
 終焉を謳歌する錬金術師と終焉から取り残された魔女は、世界中を旅しながら奇跡と科学の交点で起きる様々な事件を解決する。

 魔女を狙う胡乱な輩や、錬金術師の謎めいた背景、魔女に憑く狐、様々な厄介ごとのタネを抱えながらも彼らは魔女の楽園を目指す。
 果たしてそこに安息は有るのか。
 果たしてそれが本当に楽園なのか。
 答えは全ての道行きの先にある。

★★★ Excellent!!!

錬金詐欺師のヘルメスの言動がついついにやけてしまう。
とりあえず二話まで読んでみてほしい、きっとあなたにもこのワクワク感が伝わるだろう。
次はどんな詐欺を見せつけてくれるのか。毎日が楽しみになります。

★★★ Excellent!!!

 錬金術士の要所でキメるボンクラ男とポンコツ天才魔女娘が彼方目指して大冒険……これだけでご飯三杯はイケますよね。
 ストーリーもさる事ながら、主人公二人組の掛け合いが気持ちいい。
 愉快痛快おっさんファンタジーでございます。
 賢者の石すらも科学の波に呑まれてしまうのか、ステラさんはかの地に辿り着けるのか。
 更新を楽しみにお待ちしております。

★★★ Excellent!!!

 時は18世紀末か?場所は欧州のどこかだろう。産業革命の足音が近づきつつある中、誰もが迷信やまじないを忘れてゆく。代わって台頭するのは、科学と合理の今へ続く価値観だ。
 そんな中で、イカサマ錬金術師と最後の純血魔女がコンビを結成!?
 錬金術(アルケミー)から生まれた言葉が、化学反応(ケミストリ)だと言われています。さあ、この凸凹コンビが起こすケミストリが、どんな術式で何を生み出すのか!?オススメです!