シーズン2
第23話「図書室での一時」
Side 木里 翔太郎
高校入学してちょっと経った頃。
俺はオタク系の部活に入ろうとした事があった。
だがそれは手毬に全力で止められた。
「どうして止められたんですか?」
と、図書室の片隅で牛島 ミクさんの小説を推敲しながらその時の事を俺は話していた。
ちなみに手毬は少し席を空けている。
「さあな。だけど本当に必死だったよ手毬の奴。もう暴言のオンパレードでオタク系の部活とかディッスってさ。最後辺り、「そんなに趣味が共有できる人が欲しいなら私がなってあげる」なんて言ってさ・・・・・・」
本当に色恋沙汰になると分かり易い性格をしていると思う。
「何と言うかもう惚れちゃってますよねそれ。控えめに見ても」
「だな」
「それよりも私としては何で木里さんがオタクになったのかが分からないんですけど」
そう言われると頭を捻らざるおえない。
「まあその辺りは色々と理由があると思う。手毬の奴はピュアリアシリーズが大好きだしな。それに付き合うウチに俺もオタクになっていったんだと思う」
「成る程~」
実のところ、理由は俺も知らん。
恐らく色んな理由が混ざり合ってオタクになったんだと思う。
「あ~あ、木里さんみたいに強くて格好よくてオタクの趣味に理解がある人いないかな~?」
「あれ? 俺褒められてるの?」
「知らないんですか? 格好いいって思ってる女子って結構いるんですよ」
「そ、そうなの?」
意外な話だなおい。
何処に俺にモテ要素があると言うのだ。
まあどちらにしろこの話題は手毬には禁止だな。暴力の変わりに心に突き刺さる毒舌の矢が飛んでくる。
「まあその話は置いといて・・・・・・オタク系の部活に入らなくて正直良かったと思ってるんだ」
「どうしてですか?」
「何度かコッソリと覗いた事があるんだけど、何かこう理想とは違っててな。ほら、漫画とかアニメだと部活動は華やかなイメージがあるだろ?」
「あ、それ分かります」
「だけど現実は違っててさ・・・・・・もし入ってたらショック抱え込んだままダラダラと部室に出入りしてそのまま幽霊部員にでもなったんじゃないかと思うんだ」
「そんなに活気無いんですか?」
「まだ図書部の方が活気あるな」
チラッと図書部の方を見る。
和気藹々としながらイラストを描いたりしていた。
「なんつーかショックだったよ。普通の学校ってこんなんなんだなとか思ってさ」
「私の周りにもそう言う子いますよ。学園生活って部活とか青春の華じゃないですか。けど――お二人は違いますよね」
「うん?」
唐突に牛島さんは俺と手毬の事について話題を移した。
何故か笑みを浮かべている。
「お二人ってまるで漫画のキャラクターみたいで、学校生活をイキイキと楽しんでますよね」
「そ、そうか?」
まさか牛島さんからそんな評価を貰えるとは思わなかった。
何だか照れくさいなおい。
「うん。豊穣院さんの時も、危機を察知したら阿吽の呼吸で駆け付けに行って・・・・・・本当に少年漫画の主人公みたいでした」
「あ~本来そう言う事態はあっちゃいけないんだけどな」
こうまで褒め殺しにされると、本当に恥ずかしい。
手毬の奴は何をやってるんだか。早く来てくれないかな?
ともかく小説の推敲作業に集中して気を紛らわせよう。
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