第44話「焼き肉屋でホルモン焼き」
Side 木里 翔太郎
近所の焼き肉屋。
よく手毬と密会する場所だ。
そこで辛い時があったらホルモン焼きを食べる。
それが俺と手毬のルールだ。
龍が○くの影響だ。
「平穏な高校生活はどこへやら・・・・・・どんどん遠退いている気がするわね」
などと手毬は十分に焦がしたホルモン焼きと一緒にご飯を食べる。
デートとして見た場合、色々と終わっているが俺達はこれでいいのだ。
「そうだな・・・・・・本当に色々あったな」
「ええ。未だに少年院入ってないのが不思議なぐらいだわ」
まったくだ。
どうしてこんなことに。
ただ平穏に生きたいだけなのにトラブルの方からやってきやがる。
「でもまあ・・・・・・悪いことばかりでもなかったわね」
「ああ・・・・・・」
手毬の言う通りだ。
悪いことばかりではなかった。
決してハッピーエンドだらけと言うわけでもなかったが、様々な人と仲を深めることもできた。
それだけでも十分だ。
「――はあ。思い出話するにはお互いまだまだ若すぎるわね」
「毎度言ってるよなそれ」
「そうね」
などと言い合いながら俺達はホルモン焼きを食べる。
ホルモンは肉では上等な部位ではない。
まるでそれは俺達のように。
しっかり焦がして、油を落としきるまで熱で焼いて、はじめて一人前になれる。
言うのは簡単だが困難な道程だ。
だけど目指す価値はある。
だから俺達二人はホルモン焼きを食べるのだ。
あのゲームで学んだことのように。
☆
=翌日 学校への登校途中=
だが人生そうは上手くいかないものだ。
「なあ手毬」
「うん。人生って奴はそうそう上手くいかないものね」
俺達はまたしてもトラブルに巻き込まれて手柄をあげてしまった。
また通学途中にあるコンビニ(第4話参照)で強盗を撃退してしまったのだ。
嬉しさとか怖さよりも「俺達呪われてるんじゃないか?」と思ってしまう。
「・・・・・・真剣に厄払い考えましょうか」
「ああそうだな手毬。ちょっと御利益がありそうな神社とか探しとくよ」
俺達は倒れ伏している強盗を眼前にしてハァと溜息をついた。
警察から表彰されたが「また君達か」と苦笑混じりに言われた。
そうなんです。
なんかごめんなさい。
これでも本当に真面目に生きようとしてるんですよ。
でも本当にトラブルが近寄ってくるんです。
信じてください。
と言っても信じてくれないだろうなと思いつつ、せめてもの償いとして優等生的なキャラを演じて少しでも学校のイメージアップに貢献することにした。
手毬も同じ考えだったらしい。
どうして俺達だけ普通に生きるのが難しくなってるんだ・・・・・・(泣)
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