第26話「相川タツヤとラノベ」
Side 木里 翔太郎
学校に登校してみると早速、教室で待ち構えていた相川 タツヤに話し掛けられた。
用件はまあ一つしか無い。
「で、読んでみたと?」
「はい。言われた通りに二、三冊ほど」
相川は早速読んだらしい。
ラノベを一日で二、三冊、放課後のプライベートの時間でと言うのは、タイトルにもよるが早いペースではあるが珍しい話ではない。
相川の場合、小学生の頃から大人でも読まなさそうな分厚い小説とか読んでそうだし、特にまあ驚く事ではないだろうと思った。
「ええ。やはりと言うか普通の小説と勝手が違いますね」
「ところで何を読んだんだ?」
「I○を・・・・・・」
「俺が悪かった・・・・・・」
よりにもよってそのタイトルかよと思った。
I○、インフィニット・ストラト○は様々な作品のテンプレート教材にもなった作品であり、メカ+美少女物の先駆けとなった作品だ。
こう描くと偉大な作品に聞こえるが、実際は悪い噂が多くあり、ネットでの評判は悪い。
正直言うと薦めた記憶が無い。
「沈痛な表情してますね」
「アレは色々と曰く付きの作品だからな・・・・・・つか俺薦めた記憶無いんだけど」
「大丈夫です。ちゃんとネットの前評判を見て、漫画喫茶で読み込みましたから」
「あ、それならまだ良かった・・・・・・」
少しホッとした。
「悪い点が本当に多くありましたね。木里さんが薦めなかった理由が分かります。ラノベ作家を目指す人間の気持ちが少し分かった様な気がします」
「うん・・・・・・エグイ評価だなおい」
作者が聞いたら血反吐吐きそうな簡潔な評価だ。
「そういや他にも読んだとか言ってたな?」
「はい。デュララ○とかゼ○の使い魔ですね」
おお、俺が薦めた奴だ。
「二作とも薦めた理由が分かりますね。I○と比べると雲泥の評価になりますよ」
「あ、うん。そこはノーコメントで」
この二作とあの作品を比べたらまあ納得する部分があるが、深く議論すると何故だかヤバイ気がした。
それにしてもデュララ○はクセがある作品だから受け容れられるとは思ってなかった。
「ゼ○の使い魔はともかくデュララ○が受け居られるとは思わなかった」
「仰るとおりデュララ○は物語の展開にクセがありましたね。だけど自然と読み込ませられる事が出来てアレだけアニメ化する程の大ヒットをしたのは作者の実力でしょう」
「やけに詳しいな。調べた?」
「ええ」
との事だ。
この分なら「とある魔術の~」とか読んでも大丈夫そうだが・・・・・・やはり不安だ。
それに漫画でも言える事だが、周囲の評価が高くても、どうしても面白く無い、自分には合わないと感じる事はある。
自分が薦めるのなら面白いと思って欲しい。
そう思うのが人情である。
だけどI○に関しては責任外だ。俺は悪くない。
「そう言えば手毬さんからお聞きした事があるんですが、よく友人招いていてアニメの鑑賞会をしていると聞いているんですが」
「うん? まさか――」
「そのまさかです。今度参加させて貰ってもいいでしょうか?」
こうしてタツヤのアニメの鑑賞会参加が決まったのであった。
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