第12話「お嬢様とアニメ(ガンダ●UC)鑑賞」
Side 木里 翔太郎
ある日の休日。
俺は今手毬と豊穣院さんと一緒にアニメ鑑賞するこの状況に困惑している。
ちなみに牛島さんとかは用があって来れないらしい。
「私、もっと知りたいです」
と言う豊穣院さんの言葉がキッカケで俺の部屋に女二人やって来たのだ。
あれ? 俺意外と人生充実したリア充じゃね?
「ともかく今日は泊まり込みで見てくから」
「泊まり込みでアニメ鑑賞なんて何だかワクワクします!」
「お前、人ん家を何だと思ってるんだ・・・・・・まあ許可を降ろす親も親だけどよ・・・・・・」
手毬はともかく豊穣院さんのテンションが高い。
清楚な長い黒髪大和撫子系の巨乳美少女がその外見に反するかの様にはしゃいでいる。
あんまり色目を使うと手毬に後々、刺されるよりも悲惨な目に遭いそうな気がするのであえて無視しているがとても可愛らしく思う。
間違っても口には出さないが。
ラノベなら絶対手毬から嫌味の一つや二つが出る流れだ。
「取り合えず見るタイトルは事前の打ち合わせ通り、ガンダ●UCで行くか」
「ガンダ●ですか?」
豊穣院さんは当然な疑問を口にする。
「作品の解説いるか?」
「いります」
そこから俺はなるべく分かり易くガンダ●の歴史を語った。
宇宙世紀からシャ●の反乱をPCの画像を参考に軽く語る感じだ。
「それでアクシ●の落下を阻止して数年後の世界がUCなんですね」
「まあそうだ」
そして作品を視聴する。
ガンダ●UCも含めて長きに渡って続いたガンダ●シリーズは、あらゆるロボットアニメのお約束を詰め込んだ作品であり、お手本の教材として挙げる人間は多い。
更に政治劇などを含めたスペースオペラとかになると銀英●などが金字塔になるのだが。
その辺りも一回牛島さんとかにも薦めてみようか。
ともかく物語は進んでいく。
作品に登場するロボット、モビルスー●の解説や、このキャラクターは何故、どうしてこんな行動を取るのかとか、なるべくネタバレを抑え、観賞の邪魔にならないように解説する。
「凄いですね・・・・・・スターウォー●の様な映画とかは見た事はありますけど、それとはまた違う意味で凄いです。宇宙での戦争をここまで説得力を持って描けるなんて・・・・・・」
と、豊穣院さんはガンダ●UCを評していた。
ガンダ●UCはただ映像が綺麗だとか迫力があるとかだけではなく、細かい描写に――それこそ人が死ぬような残酷描写も克明に描かれている。
モビルスー●と言うSFの産物が自然に溶け込んでいるのもスペースコロニー、宇宙戦艦やこれまで積み重ねて来た宇宙世紀のガンダ●シリーズの設定を上手く映像に取り入れているからだ。それを物語の中で語らずとも。
約束されたヒット作とはよく言った物である。
「ガンダ●ってロボットが戦う程度の認識しかありませんでしたが、想像以上に奥深い作品なんですね」
「私はZガンダ●のダカールの演説とか好きだけど・・・・・・よくもまあ子供向けであろう作品にここまでの政治劇を盛り込んだ物だわ」
豊穣院さんが手放しで評価する一方で手毬の奴結構シブイな。
「そうですよね。子供向けだけど大人向けな内容ですよね」
「宇宙世紀のガンダ●はその色合いが濃いわ。初代とZは特にそう感じるわね」
「初代とZ――木里さんが言っていたUC以前の時系列の作品ですね」
「そう。UCはその時間の流れの中の集大成的な作品よ」
「成る程――」
「まあ私としてはガン●ムWとかその劇場版も好きだけど」
手毬もまた面白いの持って来るな。
それにしてもガン●ムW、最近知ったけどよく監督変わりまくって上手く完結出来たなと不思議に思う。
「あ、それも見たいですね」
「先ずはUC見てからね」
「あ、はい」
そうして上映は進んでいく。
ガンダ●UC。
ガンダ●シリーズの中で傑作に当たるであろう本作。
探せばダメな点は幾分か出て来るだろうが、それでも俺は凄い作品だと思う。
そうして物語は進んでいき、終わりに辿り着いた時、彼女――豊穣院 ミホはガンダ●UCを見てこう評した。
「この作品はただ面白おかしくロボットの戦いを見せるだけでなく、戦争の非情さや悲しさ、それを知っていながらも戦わねばならない時があると言う現実を突き付けられました。今も続いている戦争、紛争もきっとそう言う側面があるのでしょう。オタクと言われている人達は一般の人達が考えている以上に、戦争や平和に対する考え方が深いのかも知れません」
などと、制作者が聞いたら喜びそうな感想を彼女は残すに至る。
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