第16話「情報収集」

 Side 木里 翔太郎


 密会を終えた後、手毬と俺は自分の部屋で顔を合わせた。

 そこで情報共有や今後の事で話合った。

 こうした事は中学時代はよくやっていたが最近ではあまりしなくなった。


「取り合えず厄介なのは取り巻き連中ね。顔と名前リストアップしておいたわ」


「仕事早いな」


「スマフォの設定弄くって盗撮してきた」


 そう言って顔写真をスマフォに送信してくる。

 画像には名前と注意描きなどが描いてあった。


「取り巻き連中は十人前後だけど、校外にどれだけ人数いるかは分からないから油断は禁物ね。最悪私達に因縁ある連中を引っ張り出してくる可能性もあるわね」


「因縁かぁ・・・・・・」

 

 重みのある言葉だ。

 来るとしたら一体誰が来るのやらと考えてしまう。


「ヤバそうなのが二人ね」

 

「二人ね」


 こう言う手毬の直感はよく当たる。

 素直に聞く耳を立てておく。


「早瀬 ミナトは逆に放置しておいた方が良いわ。潰すと残党化して動きが掴み辛くなるし、早瀬 ミナトと一緒に纏めて監視できる態勢を整えておいた方がいいわね」

 

「だな」


 こう言う因縁は大概、卒業までお付き合いする事になるので手毬の言う通り多少のリスクは覚悟して、ある程度相手の組織規模を維持させておいた方が結果的に被害は少なくなる。


 理想としては内ゲバ引き起こして可能な限り組織を弱体化させて潰すのが最善だが。


「それと教師にも一応相談しておいたわ。それとICレコーダーも持ち歩いていくように」


「ICレコーダーはともかく教師にも相談って・・・・・・そういや俺達高校生だったな」


「中学時代の教師は偽善者だらけでクソの役にも立たなかったけど、高校の教師は中学とは比べ物にならない権力を持ってるわ。それを利用しない手はないわよ」


 手毬の言う通り利用できるもんは何でも利用するべきだろう。


「話を戻して二人をリストアップするわね」


 そう言ってまず一人目の顔写真を出す。

 オールバックでチャラそうな男の顔を出す。

 肌も適度に焼けている。

 こう言うのが普通の女子に受けるのだろうか?

 体格もそこそこ良い。

 一目見て遊んでばっかそうな顔をしている。


「見覚えのある面だな」


「実質取り巻き連中を仕切ってる奴よ。名前は新島 ハルヤ。実質グループのトップね」


「早瀬を利用して甘い汁啜ってるって感じの認識でいいのか?」


「その認識で間違いないわ。次行くわよ」


 そして次の顔写真を映し出された。


「女か?」


 今度は化粧している女性徒の写真が映し出された。

 ツインテールとセミロングの髪の毛を組み合わせたツーサイドアップのヘアースタイル。オタクにはエヴァのアスカみたいな髪の毛と言った方が分かり易いだろう。

 今風の遊んでいる女の子と言う感じだ。

 

「グループの女性陣営の纏め役よ。名前は藤沢 クルミね。昔は格闘技やってたらしいけど今は遊びに夢中で早瀬にホの字よ」


「何処でそんな情報掴んでくるんだよ。お前将来探偵か何かやったらどうだ?」


「基本は聞き込みよ。たぶんアイツらの耳にも入ってるから明日にでも何かしらの形で仕掛けてくるわ」

 

 その辺りも計算に入れてんのかこいつ。

 敵に回さなくて本当に良かったと思うぜ。


「・・・・・・何度も言うけど本当にもう戦闘モード入ってるなお前・・・・・・」


「そうね。だけど出来る限り此方は仕掛けないわ。取り越し苦労で終わればそれで済む話だけど、先に挙げた二人は必ず何かしらのアクションを仕掛けてくる可能性が高いわ」


「抗争は避けられないか」


「こう言う問題はね。被害を覚悟しないで解決なんて甘ったれもいいところよ。最悪刑務所覚悟してでも潰すわ」


「先走るなよ。そう言うリスクを負わずに事態収拾を図るためにこうして相談してるんだろう」


「そうね・・・・・・後はまあ中学の時と段取りは一緒よ」


「分かった」


 それでこの話題は終了となった。

 

 後は出たとこ勝負と言ったところか。

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