第33話「そして和泉先生の元へ」

 Side 木里 翔太郎


 まだ断定出来ないが盗作された側である和泉 ツカサの住所はスグに分かった。


 と言うのも編集部からの帰りで安藤 リュージから電話が掛かって来たのだ。


 それで事態の全容を把握した。

 把握してしまった。


『鑑 ほのかは昔はどうだったかは知らないが恨み抱えてる奴は沢山いる。かなりの悪女だな。情報仕入れるのは楽だったぜ』


「つかリュージ。どうしてまた電話を?」


『また厄介事に首を突っ込んでるんじゃないかと思ってな・・・・・・そしたら案の定だった。もうすっかり俺達の間でも噂になってるぜ』


「・・・・・・またそっちの世界が関わってるのか?」


 リュージまで関わってくるとなると、いよいよ俺達の予感が当たっていた事になっている。


『ああ。ある不良グループのリーダーが彼女を自慢しまくっててよ。そいつが・・・・・・』


「鑑 ほのか、か?」


 話の流れからその名前しか思い浮かばなかった。


『正解だ。それに鑑自身も相当なお嬢様だ。社会的にも、そしてこっち側にも後ろ盾はある。今回の盗作騒動の真相は俺には分からないが、不良グループのリーダーが何かしらの形で関わっているとみていいだろう』


「で? その不良グループって言うのは?」


『レッドスター。赤い星のバッジがシンバルマークだ。高校に上がりたての連中が作り上げたグループだよ。リーダーの名前は赤城 セイトだ』


 不良グループの名前なんてこんなもんである。

 実際、なんとかマッチョ軍団何て言うグループも実在しているぐらいだ。

 それと比べたらまだマシな方だろう。(*○○マッチョ軍団は本当に実在したグループの名前でニュースになりました)


「と言う事は年齢は俺達と一緒か?」


『ああ。恐らくだが中学時代から交流してた口だろう。そいつら動かしてその、和泉 ツカサ? って奴を何らかの形で口封じしたと見て間違いないだろうな』


「・・・・・・遅かれ早かれ、戦う運命だな」


『お前の友人、目ぇ付けられたみたいだしな。警察もこう言う時はアテにならねえから・・・・・・』


「だな」


 警察は事件が発生しないと動けない組織である。

 特撮ヒーローとかと一緒でもうこれはどうしようもない事だ。

 

「ともかく気をつけるよ」


『ああ。手毬にもよろしく言っといてくれ。俺はそのレッドスターを追って見る。どうもあいつらやばいシノギにも手を出してるみたいだからな』


「分かった。何か分かったら伝える」


 そして電話を切ってリュージから聞いた内容を手毬に伝えた。



 今度は和泉 ツカサの家に向かっていた。

 情報はリュージがくれた。

 日も落ちてきて夜になろうとしている。 


「とにかく、鑑 ほのかをどうにかしても、背後にいる連中も叩き潰さないとどうにもならないわね。対応を間違えれば無関係な誰かが巻き込まれるかもしれないし」


「結局厄介事に首を突っ込む結果になったな」


「そうね・・・・・・」


「レッドスターの人数は三十人前後だ。俺達なら何とかなる人数だが・・・・・・」


「はあ・・・・・・停学覚悟しないとね・・・・・・無理だと思うけど警察にも連絡しとくわ」


 そうこうしているウチに和泉 ツカサが住んでいる一軒家に辿り着いた。

 赤い星のバッジを付けている奴も三人ほどいる。

 三人とも住宅街だと目立つ容姿をしていた。


「監視しているなありゃ」


「ええ・・・・・・盗作だけでなく、恐喝容疑かしら」


「ともかく入るぞ。何かしたら警察に垂れ込めばいいだけだし」


「そうね」


 不良漫画なら腕っ節で解決するべきところだろうが、現実でそんな事するわけにもいかないし、そもそも自分達はグレーゾーンながらカタギだ。

 相手が何かやらかした場合は国家権力に頼るにかぎる。


 そう思いつつ和泉先生の家へと向かった。

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