第45話 漫画・ドラマ・映画原作としての小説は?

 気が付けば一カ月ぶりの更新になりました。

 各地で冷たい雪になりましたが、予想して備えていた御蔭で思い通りの時間を過ごせました。


 読む読む修行で20日に志賀直哉の書写を一段落させた後は、隙間時間を見つけては、ずっと『のだめカンタービレ♪』のドラマと映画DVDを視聴していました。

 師匠から、芝居のセリフを意識すると小説の会話文や流れを作る力を育てられると伺った記憶が元です。それ以来、できるだけ映画やお芝居、ミュージカルの鑑賞を試みていますが、頻繁には難しいので、今回は手元にあるものを活用した次第です。

 また昨今は人気漫画のドラマ化・映画化も多く、小説に限らず脚本の書き方も勉強してみたいと思っています。


 素人なのでドラマ化・映画化の脚本は入手不可ですが、手元に漫画原作が全巻あるので、それと照らしながら以下の二点を念頭に見続けました。


 1.漫画原作をドラマ化・映画化する際の構成(組み立て)のポイント

 2.漫画原作の決め台詞や萌え場面が、ドラマ・映画化で描かれてる時のポイントと違い

 3.もしドラマや映画をノベライズするとしたら、自分はどこをどう書くか? 言葉を思い浮かべてみる


 こうなるともう完全に視聴者としては楽しめなくなってしまっている気もしますが、『のだめ♪』なら音楽を味わうことが出来るのでは、と選んだのは正解でした。


 ドラマ化されたのは、原作の最初からのだめがパリ留学して挫折しながらもなんとか自分なりに道を切り開くところまでで、そしてその後から最後までが映画化された部分になります。桃が丘音大を卒業してから留学後の最初の挫折までは年末特別ドラマ化(前後編)で放映されています。


 通して観て気付いたのは、「漫画チックな描き方」の度合いがドラマ化では非常に強く出ているのに対して、映画ではかなりなりを潜めている点です。

 昨今は漫画を原作とした映画が多数製作されています。その中で観た数は限られますが、観客へのアピールや動員を考えて、漫画ファン以外もしっかりと引き付けるドラマチックな展開や分かり易さを優先している印象を持っています。


 また、原作での見せ場や決め台詞を出来る限り踏襲して脚本が書かれており、原作ファンへの配慮を多分に感じました。

 しかし、やはり漫画という比較的小さいサイズの画面で観ているときと、映画館の大スクリーンで展開されたものを観ているときでは、「見え方」が全然違ってくるので、受け取り方も変わってしまいます。

 漫画でのあの名場面が映画ではこんなにも描きにくいものになってしまうのか、と溜息を吐いてしまう場面は、残念ながらいくつかありました。

 けれども、それなら自分が監督や脚本家になったら上手くできるのかと問われたら答えはノーです。プロの苦心の末の結果があれなのだろうと思います。

 つまり、それだけ漫画原作を映像化することは難しく、それをまたノベライズや文章化することも難しいということなのでしょう。


 拙連載の港町シリーズは、ドラマを念頭に書いており、特に最新の『青空と潮風と』はラジオドラマを想定しています。

 書くときは脳内に場面の映像を思い浮かべ、それを文字に落とす作業になりますが、小説としての展開とドラマ映像ではスピード感が異なることも、今回気付いた点の一つでした。


 カクヨムではゲーム原作のコンテストもあり、今後カクヨム発で書籍化された小説のドラマ化・映画化の可能性も充分にあると考えられます。多角的な視点で作品を観ることで、作品を仕上げる力をまた養うことができたらと思います。

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