概要
舞台は、16世紀初め――宗教改革の嵐が吹き荒れる前夜のドイツ。
慈悲も救いも一切ない、暴力と迫害の闇が世界を覆った乱世である。
主人公のゲッツは、誇り高き帝国騎士の子として生まれたが、その喧嘩っ早い性格が災いして主君の元を去り、盗賊騎士タラカーの一味とつるんで諸侯や騎士相手に私闘<フェーデ>に明け暮れる日々を過ごしていた。
そんなある日、ゲッツは、私闘<フェーデ>に巻き込まれていたドロテーアという少女にひと目惚れして、彼女を助ける。その出会いが、おのれの誇りと愛をかけたゲッツの戦いの始ま
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!気性が荒く破天荒な主人公の、再生ストーリー
16世紀のドイツ――その歴史を知っている人も、まったく知らない人も、繰り広げられる死闘の世界に入り込める作品!
ちなみに、私は後者でした。
日本の歴史だけでも苦手なのに、海外の歴史ものになんて、手が伸びることはありません。
そんな私がどっぷりとはまった作品です。
私にとっては、ファンタジー小説を読んでいるような感覚で、とても楽しく読みました。
一部オリジナルの設定もあるということですが、まるで史実を見ていたのかと思うほど。
戦いのシーンは息を呑み、仲間たちとのやりとりでは思わず笑い、そして、じんわり瞳が熱くなることも。
物語りは戦いばかりだというのに、暗い話だとなぜか感じないのは、魅力…続きを読む - ★★★ Excellent!!!“鉄腕ゲッツ”、ドイツの混乱の内にてかく戦えり!
16世紀のドイツでその名を馳せたゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン――
大砲にぶっ飛ばされた右腕を鉄の義手に換えて生涯を戦い抜いた“鉄腕ゲッツ”の波瀾万丈を描いた作品がこれ!
まず驚くのはこの人が実在の騎士ってこと(ちなみにその義手も残されてます)。
フェーデ(私闘。主に決闘のこと)をこよなく愛し、宗教改革と宗教戦争に明け暮れる中世ドイツで大暴れしたゲッツさん。実際かなり問題ある人だったみたいですけど、著者さんは歴史の重厚さを醸し出しつつ、スカっと気持ちいいゲッツさんの姿を書き切ってくれてます。
この筆の思い切りのよさが、ゲッツさんの破天荒さを実に痛快な主人公として成立させて、延いては無比なる…続きを読む - ★★ Very Good!!暗黒時代の中世を生き抜く、本当の強さを持つ男
中世ヨーロッパは暗黒時代とも言われていて、略奪や強盗、紛争の絶えない殺伐とした時代でした。
正直、こんな時代に生まれなくて良かったと心底思うんですが、だからこそ、この時代を駆け抜けた人間は本当に強い。力も、心も、胆力が比べ物にならないほど、強い。
ゲッツもそんな豪傑の一人と言えるでしょう。
世間のはみ出し者、荒くれ者、人に私闘を吹っかけて金品を巻き上げることしか能のない、盗賊騎士。まともな稼ぎと言えば傭兵稼業。
何と因果な生業か…前半部では破天荒なゲッツの喧嘩三昧を通して、当時の時代背景をこれでもかと読者に叩き込みます。
そして訪れる中盤の転機。
ゲッツの右腕が戦争により失われ、鋼鉄の…続きを読む