“鉄腕ゲッツ”、ドイツの混乱の内にてかく戦えり!

16世紀のドイツでその名を馳せたゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン――
大砲にぶっ飛ばされた右腕を鉄の義手に換えて生涯を戦い抜いた“鉄腕ゲッツ”の波瀾万丈を描いた作品がこれ!

まず驚くのはこの人が実在の騎士ってこと(ちなみにその義手も残されてます)。
フェーデ(私闘。主に決闘のこと)をこよなく愛し、宗教改革と宗教戦争に明け暮れる中世ドイツで大暴れしたゲッツさん。実際かなり問題ある人だったみたいですけど、著者さんは歴史の重厚さを醸し出しつつ、スカっと気持ちいいゲッツさんの姿を書き切ってくれてます。
この筆の思い切りのよさが、ゲッツさんの破天荒さを実に痛快な主人公として成立させて、延いては無比なる歴史エンタメへと高めてるんですよ。

読み終わると「こんな男がいたのか!」と思うことうけあい、さらには彼を取り巻く歴史まで知りたくなることまちがいなしの一作です。

(スタイリッシュにフルスイング!尖ってるドラマ4選/文=髙橋 剛)

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