第5話 Mädchen―少女―
ピオトルとの喧嘩の
「俺は、どうせ騎士として主君に奉公することもまともにできないはみ出し者なんだ。それに、立派な騎士になれと言われても、俺たちは新しい時代に取り残された古臭い貴族じゃねえか。帝国の経済を動かしているのはニュルンベルクみたいな帝国自由都市だし、ローマ王が戦場で
ナイトハルトになげやりにそう言ったのである。
騎士の時代はすでに終わりを迎えつつある。その認識をナイトハルトも薄々持っていたため、ゲッツの言葉に「うっ……」と
「やりたいように生きるというが、お前はただ
「俺には分からないんだよ、騎士とは何なのか。何を守り、何のために戦えばいいのかが分からないんだ」
ゲッツとナイトハルトがそう言い合っていると、居館の外の中庭で怒鳴り声や品のない笑い声がするのが聞こえてきた。かなりの人数が城の中庭で騒いでいるらしい。
「な、何だ? 何事だ?」
ナイトハルトが
「よう、兄貴。久し振りだな。おお、ゲッツもいるのか」
「ふ、ふ、ふ、フリッツ! お前、何をしに来た!」
自分の居館に荒くれ者どもが勝手に上がりこんで来たことに激怒したナイトハルトは、頭の血管が切れそうになるほど興奮して叫んだ。フリッツと呼ばれた傭兵たちの首領は、
「そうカッカするなよ、兄貴」
と、ヘラヘラと笑った。
このフリッツという男は、ゲッツのもう一人の母方の伯父である。昔からテュンゲン一族の
フリッツも、タラカーと同じように各地で
「兄貴。数日、ここを
「ば、馬鹿者! まだそのような違法行為をやっているのか! ゲッツもそうだが、お前もいい加減に
ナイトハルトの言う通りで、
ちなみに、その当時、ゲッツの父キリアンの
ただ、
「永久平和令なんて、糞くらえだぜ。おい、連れて来い!」
フリッツがそう怒鳴ると、後ろのほうにいた傭兵が「へい!」と返事をして、縄できつく縛られた少女をゲッツとナイトハルトの前に引っ張って来た。
少女は恐怖で体を震わせながらも、悔しそうに唇を噛み、激しい怒りと憎悪を込めた目でフリッツを
「明日、この娘の兄と
フリッツにそう言われ、ゲッツは「女を人質に取ったのかよ」と眉をしかめながら少女を真正面から見た。すると……。
ドクン、とゲッツの心臓が
太陽のきらめきのように輝く金髪、蒼く澄んだ美しい瞳、
世界中のどんな芸術品も、彼女がその横に並べば、
「この女……ぷるんぷるん……! ……おっぱいが、でっけえーーーっ!」
ということだった。ゲッツは、おっぱいが大好きだったのである。
ちなみに、本当に声に出してしまい、ゲッツは美少女に睨まれてしまった。
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