第20話:にゃんこネットワーク
北国の村猫たちを健康にしたり、温泉を堪能したりして帰った後。
古代文明研究所へ、病気の治療依頼がくるようになった。
「タマ先生、お願いします」
「ここなら治せるかもって聞いて来たんです」
俺はいつから「先生」になったんだ?
ここはいつから病院になったんだろうか?
とりあえず、力の出し惜しみはせずに片っ端から治してるけど。
「どうやら、にゃんこネットワークでタマのことが広まったようだね」
「にゃんこネットワークって何?!」
「世界各地の猫たちが接続する情報網だよ」
「猫界のインターネットか……」
「古代用語で言うと、タマは今『バズッている』らしいよ」
「どうしてそうなった……」
「まあ、絶滅した筈の人類が生きていたっていうだけでも既に有名だけど」
どうやら俺は、発見された時点で有名人になっていたようだ。
「で、どこで治療しようか?」
「医務室を一般開放するから、そこで治療してあげればいいよ」
モリオン博士は、研究所の医務室に外来治療許可を出してくれた。
その医務室では、研究所が開発した新薬の治験も行われている。
古代遺跡から発掘した医薬品を元に、現代の猫たちに使える薬の開発をしている研究員はハチロウだ。
俺の中ではハチロウは家庭菜園仲間なんだけど、実は優秀な研究者だったりする。
「助けて下さい。うちの子が、お腹が痛いと言って水も食べ物も口にしなくなったんです」
「ちょっと視ますよ。……やっぱり。FIPですね。それならこの薬で治ります」
「ありがとうございます!」
治療には俺のフォースだけでなく、ハチロウが作った薬も使われた。
FIPの治療薬は、二千年前にもあった物だ。
人間の文明では何十万もする高額な薬だったけれど。
ハチロウは患者から必要最低限の材料費しかとらない。
もしも彼が二千年前に生まれていたら、高額な薬を諦めた飼い主の猫たちも助かったかもしれないね。
※FIP治療薬画像
https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093085277662294
feline infectious peritonitis; FIP
猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)を原因とする猫の症状。
FIPVは猫の80%が感染していると言われているFeCVの変異型。
なお、発症した猫からほかの猫へFIPウイルスが感染することはない。
感染初期に、発熱、食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少などの症状が出て、何もせず進展すると滲出型(ウェットタイプ)または非滲出型(ドライタイプ)の症状が出る。
滲出型では、進行性の腹部膨満、胸膜滲出による呼吸困難など。
非滲出型では、眼病変、黄疸、化膿性肉芽腫形成による腎腫大、発作や四肢の麻痺などの神経症状、腸間膜リンパ節炎など。
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