第7話:人間用の食料品
「おっ! いいもの見つけた!」
遺跡というには完璧に残っている建物の中をしばらく調査して回っていると、俺には嬉しい物が見つかった。
長期保存の研究に使われた食料品だ。
しかもかなり大量にいろいろなものがあるぞ。
「人間用の食べ物かしら?」
「そういえば、人間は色々なものを食べるらしいな」
猫たちも俺の後ろから覗き込む。
俺は説明しつつ、食料品の1つを手に取って状態を確認した。
カットして真空パックされていたのは、鍋物のレギュラーといえる「白菜」だ。
あ~、鍋物食いたい。
「その葉っぱみたいなの、食べられるの?」
「これは
「それ、美味しいの?」
猫って白菜食うのか?
そういや、人間の食べ物は猫に有害な物もあるんだっけ。
白菜を味見させて大丈夫か?
注意しておいた方が良さそうだ。
「あ、人間には栄養になっても、猫には毒になる物もあるよ」
「そういえば祖先が残した文献にそんなデータがあったな」
「味見する前にフォースで成分を調べておこう」
……フォースなんでもありだな。
モリオン博士が、俺の手にある白菜をじーっと見つめる。
フォースによって、白菜の成分が分かった。
栄養素 可食部100gあたりの含有量
カリウム 220mg
カルシウム 43mg
ビタミンC 19mg
葉酸 61μg
ビタミンK 59μg
食物繊維 1.3g
「ふむ、これは大量でなければ我々も食べられるようだ」
「そうなんだ。じゃあ、味見くらいは平気だね」
「後で味見してみよう」
「肉と一緒に煮て食べると美味しいよ。肉もあるかなぁ?」
あ~、水炊きが食べたくなってきた。
俺は肉と白菜たっぷりの鍋物が大好きだ。
コールドスリープから目覚めて、食ってる物はキャットフードばっかりだからな。
ここに保管されている食料品の数々が宝の山に見えてきたよ。
「お、肉だ!」
探してみたら、真空パックして凍結保存された肉も見つかった。
どうやら鶏肉のようだ。
「肉なら我々も食べるから、街で買えるよ」
「でも俺、お金を持ってないよ」
「私が買ってあげよう」
モリオン博士が神様のようだ。
猫に食べ物を買ってもらうとは、二千年前は思ってもみなかったけど。
「あとはポン酢醤油でもあれば……あるし!」
更に探したら、調味料も見つかった。
モリオン博士に調べてもらうまでもなく、猫に醤油が有害なのは知っている。
猫だけじゃなく、人間以外の動物には塩分過多になるから体に良くない。
人間でも過剰にとれば高血圧などのリスクがあるけどね。
とりあえず、ポン酢醤油はタレとして俺専用にしよう。
帰ったらこの肉と白菜で鍋パーティだ。
どっかに土鍋あるかな? って探していたら……
「見て見て~、いい物あるよ~!」
「ふふふ、ジャストフィットだぜ」
「ミノル~! 独り占めするなよぉ」
……背後で、猫鍋(大)が用意されていた。
※第7話の裏話
https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093084445590682
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