第47話:特産品のお肉
ピカリャー王国の女王様と王女様を治療した俺は、ご当地グルメを御馳走してもらえることになった。
西表島のグルメって何だろう?
肉食獣のみなさんが御馳走してくれるのだから、肉系だろうな。
雉肉かな?
魚も食べるそうだけど、魚嫌いのクーラ姫の完治祝いも兼ねているから、間違いなく肉の予感がする。
俺は肉も魚も好きだから、どちらでも美味しくいただけるけどね。
「肉屋です~、ご注文の品をお持ちしました~」
って。
ピカリャー王国の肉屋が納品した物は、雉とか鳥類じゃなかった。
「おぉ、なかなか良さそうな肉だな。早速調理しよう」
王宮の解体場で、調理補助係たちがフォースを使って解体するそれは、獲れたて新鮮なリュウキュウイノシシ。
俺の故郷の首里では「ヤマシシ」、西表島では「カマイ」と呼ばれる生き物だ。
リュウキュウイノシシ(琉球猪、学名:Sus scrofa riukiuanus)
南西諸島の一部に分布するイノシシの固有亜種。
本州にいるニホンイノシシよりも小柄で、体重は20~50kg程度。
食性は雑食性。
シイの実やタケノコ、柑橘類、サツマイモ、サトウキビ等の農作物、昆虫、ミミズ、カタツムリ、ネズミ、ヘビ等の小動物を食物とする。
奄美群島や八重山列島では、本種によるウミガメの卵の食害が問題になっている。
リュウキュウイノシシは地方によって以下のように呼ばれる。
シシ : 奄美
ヤマンシー: 沖縄北部(今帰仁)
ヤマシシ: 首里・那覇
ウムザ : 石垣島
カマイ : 西表島方言
肉は鍋物(シシ汁)、焼肉、刺身、チャンプルー等で人間に食べられていた。
西表島でも古くから食用になっているが、観光客や人口増加で肉の需要が増えて、生息数の減少が懸念されていた。
※現在は人類滅亡の恩恵を受けて、西表島のイノシシの数は増えている。
「ヤママヤー族の肉屋さんは、イノシシを狩るの?」
「肉屋は、肉になるものなら何でも狩るよ」
「フォースを使えば、体格の差は問題ないからね」
さり気なく調理メンバーに加わった俺は、ピカリャー王国の肉屋について聞いてみた。
今回納品されたのは、体重50キロ近い、リュウキュウイノシシとしては大物だ。
それを狩った肉屋は体重5キロくらいかな。
10倍もデカイ獲物を仕留められるのは、フォースあればこそだろうな。
「我々は刺身で食べることが多いのですが、今日はタマ様から教わったバーベQにしましょうね」
料理長の指示で、お城の中庭に石組みでバーベQコンロが作られた。
調理スタッフはみんな火のフォースの扱いが上手く、薪の火加減が絶妙だ。
イノシシ肉は俺の分だけ香草を揉み込み、この島の遺跡から発見されたという塩と
西表島のイノシシは美味しい。
二千年前、誰かがそう言っていたな。
ジュウジュウ音を立ててこんがり焼けたイノシシ肉は、獣臭さはほとんど無く美味しかった。
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