第32話:メープルシロップとヨーグルト

 猫文明生活は、人間と暮らしていた猫がその生活を再現したものが多いので、俺にも暮らしやすい環境だ。

 あえて不便なところを言うとしたら、調味料関係だったけど。


『調味料ならイオンOIST店にいっぱい保管されているわよ』


 学生としてOISTで生活していたケイト情報で、俺1人では使いきれないほど大量の調味料があることが判明!

 味噌とか醤油とか日本の調味料だけでなく、世界各国の調味料がある。

 イオンOIST店は、海外から来た学生たちのために、海外の食料品や日用品を取り揃えていたらしい。


『甘い物は好き? これ、私の実家から届いた物なの』


 と、ケイトがオススメしてくれたのはメープルシロップ。

 カナダでは、メープルシロップを色ごとに分けた4つのグレードがあるのだと教えてくれた。

 採取が早いものほど色が透明になり、後のものほど濃厚で色の濃いものになるそうで、色が薄い順にゴールデン、アンバー、ダーク、ベリーダーク。

 最も流通しているメープルシロップはアンバーで、俺が見慣れたものはそれだ。

 ケイトの実家から届いた物は、メープルヌーヴォーと呼ばれ、昔はメープル農家だけが味わえたものらしい。



 メープルヌーヴォー

 収穫初日に採取された貴重な樹液を40分の1になるまでじっくりと大釜で煮詰め、再熱処理せず5~6時間で手際良く直接瓶詰めしたもの。

 純粋なカエデ樹液だけで作られた透き通るような甘さ、エグ味のないスッキリとまろやかで上品な味、メイプル農家でしか味わえなかった極上のメープルシロップ。

 生産量が少なくカナダでも市場に出ない究極の逸品。

 栄養成分:100gあたり、炭水化物66.9g、蛋白質0.1g、カリウム224.8mg、カルシウム108.9mg、マンガン2.3mg、ビタミンB2 1.3mg



『ヨーグルトにかけてみてね』


 と言われるままに、高級メープルシロップをヨーグルトにかけてみる。

 ヨーグルトはカップに入ったノンシュガータイプを選んだ。

 ケイトの実家産高級メープルシロップをかけてみると、ヨーグルトに優しい甘さとメープル風味が加わった。


「ヨーグルトの酸味がまろやかになって、俺好みだな」

『砂糖を混ぜるよりも私はこちらの方が好きだったわ』

「砂糖よりも栄養があるんだね」

『ビタミンやミネラルを含んでいるから、体にいいのよ』


 ヨーグルトにメープルシロップ、マイブームになりそう。

 ちなみに、ヨーグルトは猫たちも食べられるし、メープルシロップもごく少量で食べ過ぎなければ害は無い。

 サトウカエデの木は今も残っていそうだ。

 猫文明には牛乳を生産する農家は無いから、ヨーグルトが在庫限りで終了なのが残念だ。


 ……まてよ?


 大豆は栽培しているから、豆乳は作れるな。

 昔、豆乳ヨーグルトっていうのがあったような?


※32話画像

https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093086351757104

 

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