第23話:ハチロウ博士のホームベーカリー
ハチロウの発明した農業機械が優秀で時間に余裕があるから、作物以外の生産にもチャレンジしよう。
あまり遺跡っぽくない古代遺跡OISTには、様々な書物も昔のまま残っている。
その中にパンの作り方が記載された本があり、焼き立てパンが食べたくなってしまった。
猫文明にパンは無い。
街へ行ってもパン屋は1軒も見つからない。
人類の文明なら世界中にあった様々なパンは、滅亡と共に失われたものの1つだった。
現在俺が食べているパンは、OISTに超長期保存された品だ。
カンパンや冷凍パンなどがたくさんある。
きっと災害時に学生たちが飢えないように備蓄していたんだと思う。
パンは、俺1人では一生かかっても食べきれない量が保管されている。
保存状態がいいから、凍ったまま加熱してやればフワフワになって美味しく食べられる。
でも、やっぱり小麦粉から作った出来たてには敵わない。
俺の実家では母がよくパンを作っていたから、その美味しさを知っている。
パンを作ろうか。
しかし、全部手作業でやると「捏ねる」作業が大変だ。
二千年前はホームベーカリーという便利な家電があったけど、パン食の習慣が無い猫文明にそんなもんは無い。
そこで俺は天才発明家ハチロウ博士におねだりして、ホームベーカリーを作ってもらうことにした。
「ふむふむ。これが人間の主食だったというパンなんだね」
「うん。二千年前はそれを簡単に作れる機械があったんだよ」
ホームベーカリーの基本的な機能は「材料を混ぜる・捏ねる」「発酵」「焼く」の3つだ。
パン作りの本にはその工程が書いてあるから説明しやすかった。
「材料を計量して入れるんだね。なら、自動で計量して投入する機能もつけておこう」
「いいかも!」
「各材料を保管するストッカーも作って接続しよう」
「おぉっ?!」
「使った後は器具を洗浄して清潔にする機能もつけよう」
「素晴らしい!」
毎度ながら、ハチロウ博士の発明は至れり尽くせりだ。
最終的に、ボタンを押すだけでパンが作れてしまう素敵仕様のホームベーカリーが完成した。
パンの種類も複数あり、食パン、バターロール、クロワッサン、フランスパン(バゲットやブールなど)、ブリオッシュ、フォカッチャの他に、スコーンやナンやベーグルも作れるという。
研究所の猫たちにはグルテンアレルギーはいないので、パンはみんなで分け合って食べられる。
食べ過ぎると塩分や油分過多になるので、ほどほどに。
特に人気なのは、バターロールやブリオッシュのようなバター多めの柔らかいパンだった。
オリーブオイルを使ったフォカッチャも好まれるみたいだ。
ちなみに、俺の好みはパリパリに焼けたクロワッサン。
あ~、コーヒー飲みたい!
次はコーヒーの木を栽培してみようかな?
※23話の裏話と画像
https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093085407266502
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