第25話 信一2日ぶりのログイン

♠信一side



「ただいまぁ~」


と声はかけたが誰も居ない、市江は部活だし母さんと父さんは仕事だ、俺は浴室に向かうと着ていた服を脱ぐとシャワーで体を洗い流しながら先ほど美空先輩に撫でられた手の甲を見つめる


「美空先輩とは出来るだけ接触しない様にしてたのに・・・愛と別れたこのタイミングで出会うとか・・・」


『信一君、君の事がどうしようもなく好きだ、私・・美空 雀には、この世で唯一君だけが必要だ、君に私のすべてを捧げるから私の彼氏になって欲しい』


(何思い出してんだ・・・もう昔の事だ・・今でも同じ気持ちでいるなんて虫の良い事考えるなよ・・・愛や俺の様に人の気持ちは変化する物だ・・・)


美空先輩が卒業を迎える少し前の一幕が頭を過ったが、シャンプーで泡立てた髪の毛を無心で洗いシャワーで洗い流す事で頭に浮かんだあの時の美空先輩の顔を振り払った


体を拭いて、部屋着に着替えるとリビングで今朝母が作っておいてくれた、焼きそばと中華スープを温め一人、夕食を食べる


(なんだろ?・・・何時もの食事なのに・・味気ない様な・・・?)


自分の感じた感触が理解出来ないまま、食べ終えた食器を洗い食洗器に入れてる間にコーヒーを淹れる


「未だラブの来る時間まで余裕があるな・・・少し勉強するか・・」


スマホのアラームをラブのログインする時間の19時にセットして机の参考書に向かう


【ピピッピピッ】



気が付けばスマホのアラームが鳴っていた、慣れた操作でスマホのアラームを解除すると「うぅ~ん」大きく背伸びをしてぬるくなったコーヒーを口に運ぶ


「今日はいつも通り集中出来たな・・・」


パソコンディスクに移動しエターナル キングダムを起動する


「2日ぶりのログインか・・・」


【ラブさんがログインしました】


「時間ぴったりだなラブ」おれは素早く仲間申請をおくると一瞬でラブがパーティーに加わる


『ラブ、二日ぶり』


『うん、ノブ―私も2日ぶりのログインなんだ♪』


『よ~し、それじゃデイリーの討伐と採取からしていこうか!!』


『りょうかーい♪』


俺達はハンターギルドに向かい、受付で本日のデイリー討伐のリストを確認していた


『ノブ―いつもみたいに賞金多いやつにする?』


俺は悩みながら画面をスクロールしていくと、ある討伐リストに目が向く


『あ、このワイバーン5匹討伐ってやつ、お供の餌上が追加報酬であるよ?』


『本当だぁ!、上て言えばお供の信頼度を20も上げれるだよね?』


『そうそう、せっかくだしライチ用にこれを受けないか?』


『うんうん♪大賛成ぇぇ』


※お供として連れて行くには、信頼度を100にする必要がある地道に餌やりや交流して上げる必要があり、それまでは家や預かり所から連れ出せない


ワイバーンは強さ的に大した事は無いが、回復職のラブと物理攻撃型のノブ―と同じく接近戦型のミントでは苦戦は必至なので、いつものリサさんでは無く別のNPCを借りていた


『うわぁ~ライトさん久しぶりに見た!!』


『うんうん、ライトさん魔法職にこだわってるしねこういう時頼りになるよね』


ライトさんと言うのは俺の所属するリサさんのリサギルドの副リーダーで、リサさんと同じでゲーム開始初期からしてる古参プレイヤーだ


見た目は青い髪を長めにしていて、目は細身だがその顔立ちは女生徒見間違えそうな程の美丈夫、耳はラブと同じように尖っていて長い、ラブと同じエルフだがラブはハイエルフでライトさんはハーフエルフだ


『私もハーフエルフにしたら髪の毛の色選択できたのになぁ~』


『はは、ハーフエルフは課金種族だしね敷居が高いよ』


『そうだけどぉ~リサさんのグラマーな猫獣人も課金でしょ?』


『そうそう、て、あれ豹だよ!?前にギルドの新人がリサさんに猫だって言ったら滅茶苦茶怒られてたんだから』


『えええ、猫可愛いじゃん・・・』


そんな話をしていてもNPCのライトさんは勝手にワイバーンを蹴散らして行く


『はぁ~いつ見てもフェニックスフレアって魔法は派手でかっこいいな』


『え~ラブ派手なのあんま好きじゃないよ?』


『フフ、派手でカッコいい魔法は男のロマンだねw』


『ハイハイ・・・ってもう6匹目狩ってるよ?』


俺達は雑談に夢中になっててクエストをクリアしてる事に気付かなかったみたいだ、ライトさんには無駄に働かせて申し訳ない・・・


『それじゃ、採取クエ受けにいこうか』『うん、りょうかい!!』


俺達は帰還石を使い自宅前に戻り、採取ギルドに足を運ぶ


『私この、麻痺草の生えてる場所しってる~これにしよう!!』『うん、わかったそれにしよう!』


採取ギルドは登録者が少ないのもあって、結構優遇されてる仕様だクエストを受注したらその近くの転移ポイントまでパーティーメンバー全員を飛ばしてくれる


『ここ、この木の間に結構生えてるんだよね』『へぇこんなピンポイントで?って、ここってこの間レッドミンク狩ってた場所か!!』


『正解ぃ♪』


俺達は手分けして既定数の麻痺草を採取する


『ラブ・・家に戻ったらメッセージの事やその後の話し聞いて欲しいんだ・・・』


『うん・・・私もノブ―に相談したい事があるの』


取り合えず、ラブの採取クエの報告を済ませ家に戻り庭のテーブルにお互い座り話を始める

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