想いを募らし抑えた想いを解放する者
第16話 瀬川 優の恋心
☘優side & 市江side
『優・・・少し話出来ない?相談が有るんだけど・・・』
市江は無二の親友にメッセージで相談を持ちかける
『市江ちゃん、私も相談があるの』
同じく優の方も無二の親友に相談したい事があった
『電話で話しようか・・・』
『うん私もそれで良いよ』
【ピロロロン・ピロロロン】
直ぐにアプリの通話が鳴り響く
「もしもし、優・・・今日愛姉から何か聞いた?」
二人の間に隠し事なんか必要無い、市江は単刀直入に訪ねる
「うん・・市江ちゃんも信ちゃんから聞いたって事よね?」
優からの返事は肯定の返事であり、市江のもしかしたら愛姉は別れを納得してないのでは?という淡い期待は砕かれた
「うん・・・おにぃ・・今日愛姉と別れたって聞いた・・・」
「うん、私もお姉ちゃんから信ちゃんと別れたって聞いた」
「ねぇ優!私達で何とか出来ないかな!」
親友で同じ想いの優なら、優と一緒なら何とか二人の関係を修復出来るかもと藁にも縋る
「なんとか?」
「うん、その・・十何年も一緒に居た二人が急に別れるとか、絶対一時の気の迷いだと思うの!」
「そうかな?」
親友と思いが共有出来て無い事に市江は少しイライラが募る
「絶対にそう!きっと二人とも後悔すると思う、私おにぃと愛姉が辛い顔してるのを見たくないの」
「そうだね・・私も信ちゃんが辛い思いするのは嫌だな・・」
ここでようやく、親友と思いが繋がった
「でしょ!だから、私達二人でなんとか間を取り持って関係を修復できないかな?」
・・・と、思ったが親友からは意外な返事が帰ってきた
「・・・・市江ちゃん・・悪いけどそれは協力出来ない」
「え?なんでぇ?さっき優も・・」
「ええ、信ちゃんは私が幸せにする、悲しい思いもさせない」
「ちょっと!何言ってんの!?まさか!優っ」
いつもの、大人しくて優しい親友ではない、強い意思と大きな覚悟を決めた、大人の女性の様に感じた
「だから、市江ちゃんこそ私に協力して、私が信ちゃんの中からお姉ちゃんの事を全部追い出すから」
「優・・・・あんた本気なの?」
「市江ちゃん、昔、子供の頃に言った気持ち「私将来信ちゃんのお嫁さんになる」って言葉、私今でも変わってないから」
「・・・・・」
親友なのに市江は瀬川 優と言う女の子を見誤っていた、大人しく優しい雰囲気の下に、おにぃへの熱い恋心を押し込んで、今まで家族や私らと接してきたのだ、その精神力と忍耐力は半端ない
「お姉ちゃんは心変わりして信ちゃんへの気持ちが冷めた様だけど、だとしたら今でも強く信ちゃんの事を想い続けてる私の方が信ちゃんを幸せにするのに相応しい、そう思わない?」
「でも、それじゃ愛姉は・・・」
「市江ちゃん・・・これは私の想像で確証が無いから他言無用だけど、お姉ちゃんには信ちゃん以外に好きな人が出来たんだと思う」
「!?、うそっ!」
「何も証拠も無いし、信ちゃん以外の男の子と一緒に居る様子も無い・・けど私には判る・・同じ女だから・・」
「そんな軽く心変わりする様な姉に、信ちゃんは相応しくない・・・私なら絶対に信ちゃんを想い続けるって自信がある」
「・・・気持ちは・・・固いのね・・・判った・・・親友で無二の幼馴染の恋・・私も全力で応援する!」
「ありがと!!市江ちゃん!私絶対に信ちゃんの彼女になるから!」
「うん、まずは学校とか周囲に、二人が別れたった話が広まる前に行動を移さないとだね」
「確かに・・・お姉ちゃんも信ちゃんも間違いなく学校で一番の美男美女だしね」
「そうだね・・兄弟の色眼鏡を外して見ても、おにぃには、これから言い寄って来る人が増えるのは間違いないよ」
「皮肉の様だけど、あの二人だったから皆諦めてた所あるし・・・」
「でも、私負けないから!私には市江ちゃんも付いてるし!」
「フフフそうだよ、ぽっと出の女なんかに負けないでよ?優」
信一も愛もお互いがお互いを無自覚に守って周囲を牽制してた事にこの時は未だ気付いて無かった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます