第20話 変わり行く環境 信一Side

♠信一side


「それじゃ行ってきますー」


「はいはい」


「お母さん行ってくるね~」


「はい行ってらっしゃい~」


「美野里さん行ってきます!」


「優ちゃん!気を付けてねぇ行ってらっしゃ~い」





「・・・・・・・・・・・」


「ん?どうしたの信ちゃん?」「おにぃ何、不機嫌な顔してんの?」


「いやいや可笑しいだろ?俺だけ送り出し方適当すぎだろ!?」


「・・・まぁ・・おにぃの場合は仕方ないんじゃない?」


「なんでだよ!!」


「まぁまぁ、信ちゃんは私がしっかり送り出すから安心してね♪」


「いやいや?何を安心するんだ?てか今、優も一緒に送り出されてるだろ?」


「これから先の未来のって意味だよ?」


「キャァァ、優ってば可愛いぃぃ」そんな優に抱き着く市江を白い目で見る・・市江がボーイッシュだからスカート履いて無かったらカップルだよな~


とか思いつつ、俺は今高校になって初めてとも言える賑やかな登校をしていた


「信ちゃん、ゴメンねぇ~私らの朝練の時間に合わせてもらって・・」


「はぁ~?いいよいいよそんなの」


「いや、何で市江が代わりに返事してんの?」


「でも、いいよいいよそんなの」


「プッッ本当に信ちゃんと市江ちゃん仲良くて面白い♪」


俺と市江のやりとりを見ながら優が小さく笑う


「・・・まぁ・・明日から優に迷惑かけないように?頑張って早く起きる様に・・・努力する・・」


「ちゃんと私が信ちゃんの朝の面倒は・・・っっ」


優は何かを思い出したのか顔を赤くして言葉に詰まっていた


「・・・!?いやいや、あれは思春期の男の子にはみんな起こる朝の生理現象だからぁぁ!」


「はぁ~優・・あんなん慣れないと・・私なんか見飽きて動じないよ?」


「おい!あんなんとか失礼だろ!?」


「う、うん頑張るね市江ちゃん!この先、あんなので動揺してたら困るもんね色々!」


「優まで・・あんなのって・・・」


そんな会話をしながらの登校はあっという間だった・・・途中で会話が途切れる事も無いし、本当に学校に着くまであっという間だったな・・


校門をくぐると何時もの元気イケメンが声をかけてくる


「よおぉ――――ス!信一、今日も・・・・って、ええええ?愛ちゃん髪の毛短くしたの!?」


「馬鹿!?よく見ろ、妹の優だ」


「武田先輩お早う御座います」「あの、私も居ますけど?、ウザい武田先輩お早うございます」


「い、いや・・市江ちゃんを無視してた訳じゃないよ?ホント・・てか信一、愛ちゃんはどうした?本当にフラれたか?ぎゃはっは【グエェ】」


俺は勝の喉にラリアットをかますとそのまま首を絞めたまま校舎裏に引きずって行く


「あ、二人とも俺こいつと昨日借りた漫画の事で話あっから、部活頑張れよぉぉ」


呆気にとられて俺達を見送る優と市江が見えなくなった校舎影で勝を開放を両肩をガシッと掴み顔を睨み付ける


「おい!優の前で余計な事を言うな」


急に俺が真剣な表情で怒り出し勝は驚く


「は、はは・・何ムキになってんだぁ?何時もの冗談だろ?」


「・・・冗談じゃない・・・」


「は?何なんて?」


「冗談なんかじゃない」


「へ?意味わかんねぇぞ?冗談じゃない?」


「ああ、愛とは昨日別れて恋人関係を解消して元の幼馴染に戻る事にした」


「は?・・・はぁぁぁぁぁ!?何で?どうして!?」


勝が逆に俺の肩に手を置き詰め寄る、俺は顔を背け


「俺達、恋人として過ごすより幼馴染として気軽に接する距離感のが合ってると思ったからだよ」


「愛ちゃんも納得したのか?」


「愛の方から話が有ったんだ、でも俺も丁度同じ事を思ってたから拗れるも無く円満に解消したよ、その日の帰りは何時もより楽しく話せたし結果良かったと思ってる」


「そ、それで・・愛ちゃんの妹に話が知られるのが困るからという訳か・・・」


「まぁそこは愛がキチンと家族に話をしてると思うけど確証が無いからな、万が一知らない優にいきなりこんな事言えないだろ?」


「・・・まぁそれは分かった・・俺も気を付けるが・・・信一お前は本当に愛ちゃんと別れて良かったのか?」


「今はこれで良かったと思ってる・・あのまま一緒に居てもお互いに幸せにはなって無かったと思う・・・」


「そっか・・・でも覚悟はしておけよ・・愛ちゃんはこの学校で一番の美女だお前と言う防波堤が無くなれば言い寄る男が後から後から湧いて来るぞ・・・」


「そうなのか?良く分からないな、俺も人の事言えないが愛が告白されたり、ラブレター貰ったりしてるの見た事も聞いた事も無いぞ?」


「はぁぁぁ・・お前らは自分達の影響力を軽く見過ぎだな・・これからお前の回りも愛ちゃんの回りも大きく変化するぞ?」


「大げさだな・・・」


「言ってろ・・・俺は忠告した・・・俺も俺で変化に対応する・・・お前は・・・」


そう言い残し勝は校舎裏から立ち去って行った



・・・・なんなんだ皆して・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る