第19話 愛の親友 石川 安祐美
♡愛side
「お母さんお早う」
「おはよう愛」
昨日家族に信一と別れた事を伝えたが私が思ってた以上に普通だ・・私が構え過ぎたのかもしれない
「あれ?優は?未だ寝てるの?」
「・・・・・・・・・・・」
「ん?どうかした?優体調でも悪くしてんの?」
台所に居たお母さんは手を拭きエプロンを脱ぐとテーブルに座った、私も疑問に首を傾げながら席に着く
「隠しても何れ解る事だから愛に言っとくわね、実は昨日、織田さんの所のお母さんと夜に此処で話をしたの」
「え?織田の小母さんと?・・・信一と私の事ね・・うん・・それで?」
「あちらで信ちゃんが家族に話した内容もアンタが昨日私らに話した内容も大体同じ様な内容だったみたい・・・」
「そう・・・・なんだ・・・それは解ったけど、それと優が何の関係があんの?」
「実は昨日の夜、織田のお母さん・・美野里と話してる時に優がリビングに入って来てね・・・」
「優が?それで昨日の夜ゴソゴソと部屋で物音がしてたのね・・・お母さん達の話しを聞いて余計にショックを受けて、私と顔を合わせ辛いって事なのね・・」
優に対し申訳ない気持ちから少し俯くと、母の目が少し鋭くなった
「愛・・優をいつまでも子供だと勘違いしてるんじゃない?優は強い子よ」
「どういう・・・・」
「あの子は言った、「本気で信ちゃんの事・・大好きで昔から変わらずに信ちゃんの事だけ想ってます、だから私にチャンスを下さい!」て」
私は優の気持ちを察しては居たが、どこかで優は自分の気持ちに蓋をして我慢をする子だと思い込んでいた、だから母から聞いた優の強い意志に驚いた
「愛・・・アンタ後悔するかも知れないわよ・・私も親馬鹿でアンタ以上に信ちゃんの事理解出来ていて信ちゃんから信頼される女の子なんか居ないと思ってた」
「・・・・・・・」
「昨日のアンタの話し聞いても、熟年夫婦の軽い喧嘩程度に思っていて直ぐに元鞘に収まると思っていたけど、まさかこんな身近にアンタと同じくらい信ちゃんの事を理解して大事に想ってる子が居たなんてね」
「それで優は・・・・?」
「あの子なりに信ちゃんへアタックする為に、これから毎日、信ちゃんの朝ご飯を作りに行くって織田さんに家に行ってる」
「そう・・・優は本気なんだね・・・」
「私ら両家の親も、それに多分、市江ちゃんも皆で優の恋を応援するって話になったから、もしアンタの気持ちが再燃しても今の優相手では、かなり分が悪いかもね」
「・・再燃って・・・・でも、信一とは恋人って関係とは違うって感じて別れたんだし・・私も優の事応援するよ・・」
「そう・・・アンタがそれで良いなら構わないけど・・今の話しは聞かなかった事にしとく」
母はそう言うと、席を立って台所の方へ戻ろうとした
「聞かなかった事って?どういう事?」
私の後ろを通りエプロンを付け直しながら台所に向かう母に尋ねる
「そうね・・これは母親というより年上の女の感だけど、今の話、アンタが優にしたら絶対に後で愛・・アンタが苦しむと思ったの」
「何それ・・意味分かんない・・・」
「今は解らなくてもいいし、お母さんの思い過ごしかもしれないけど・・・いざその時が来たら正々堂々と優に向き合う為にも、アンタだけは応援するとか言わない方がいい」
「・・・・・・・・・・私には・・もう関係無いから・・」
その日の朝は優とお父さんの居ない食卓で無言のまま母と食事し、食べ終わると逃げる様に学校へ向かった
『ノブ―昨日は返事できなくてゴメンね、実は私も彼氏と別れたのそれで色々大変だった・・』
『私も今日ログインしたら話するね~』
登校途中でノブーにゲームチャットアプリからメッセージを送る、直ぐに既読にはならないが夜にログインして今日お互いの近況を報告出来ればいいと思ってる
朝お母さんと話していて、学校に行くのが少し遅くなった、家を出る時信一と鉢合わせたら少し気まずいと思っていたがそんな事にはならかった
「あら、愛珍しく遅いじゃない?」
「おはよう、安祐美、朝少しお母さんと話してて、遅くなっちゃった」
「相変わらず、愛の所の家族仲良いよね」
彼女は石川 安祐美(あゆみ)私の中学からの友達で一緒の高校に入り2年になってようやく一緒のクラスになった、そして席も私と前後だ家族と織田家以外の人で気さくに話が出来る数少ない親友だ
安祐美はテニス部に所属していて、曾お爺さんがロシア人らしく、鮮やかなセミロングの銀髪に透き通る青い瞳の美女だ、運動神経抜群で私は運動で安祐美に勝てた事がない
スタイル抜群で北欧人らしく足はモデル並みに長く胸も優には及ばないが普通の高校2年生以上にあるので、テニスの練習を下心丸出しの男子生徒が安祐美の弾む胸を見る為コートに押し掛ける物だからテニス部員からの苦情でコートフェンスが貼り直され外から見えない措置が取られたと聞いた
当然、凄く男子生徒からモテる、たぶん2年の女子で一番モテる、1年の時は1日で15人から告白されたと前に聞いた事がある、でも本人は片思いの男の子が忘れられないからと全部断っているらしい
「まぁね・・・」
「ん?どしたん?何かあった?」
私は周囲に人があまり居ないのを確認すると手招きで安祐美を近くに呼び耳元でそっと信一と別れた事を伝えた
「ええええええええええええええ!?別れたぁぁっぁぁ!?」突然席を立ち大きな声で驚く安祐美
「安祐美!声!!」
自分の声量に気付き慌てて周囲をキョロキョロして口元を両手で覆うと、安祐美はゆっくりと自分の席に座った
『ちょっちょっちょっ、朝から何の冗談な訳ぇ?笑えないよ?』
『こんな事冗談で言う訳無いでしょ?』
『はぁぁ~なんで?なんで?なんでぇ?アンタらお似合い過ぎて引くほどだったじゃない!!』
『話せば長くなるけど・・・恋人で居るより幼馴染で居た方が、お互い付き合い易いっていうか・・楽だって気付いたのよね・・』
『あんたそれ本気で言ってんの!?・・・て・・本気でそう思ってるから信一君と別れたんだもんね・・』
『まぁ別れても幼馴染として此れからも付き合って行くし、恋人じゃ無くなっただけで何も変わらないよ?』
安祐美は呆れた様に首を振ると
『変わるよ・・愛・・アンタらが常に同じ道を歩いて居たから皆が避けてアンタらに道を譲った・・・でも、もうアンタらに譲る事は無くなる・・遠慮する必要もない・・』
『え?何急に安祐美?私は別に道を譲ってなんて思った事無いよ?』
『・・・・まぁそう思うならそれで良いよ・・いずれ解るこの変化がどういう影響を及ぼすのか・・愛も信一君も・・そして私も・・』
それだけ言うと安祐美は前を向いてしまい、それ以上声を掛けづらい雰囲気だった
お昼でも一緒にと思っていたけど、休憩になるとお弁当も食べずに教室から出て行った
私は声を掛けてくれた他の女子たちと昼食を食べる事にした・・・
(安祐美ったら何処行ったのよ~)
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