第29話 ギルド長 リサ & 副長 ライト

♠信一side



俺はエターナルキングダム内で所属するハンターギルドのリーダーであるリサさんにとんでも無い事を言われてる


『ノブ―単刀直入に言う!今度運営が出す課金アイテム・・・離縁の書・・つまりエターナルブライダルを解除するアイテムなんだけど・・・それを使ってラブと別れて私と夫婦になってくれないか!!』


ええええええええええええええええええ


『いやいや、リサさん冗談が過ぎますよ!』


『そっか・・・やっぱりノブ―とラブは未だに仲が良いって事か・・でも!!私はノブ―が好きなんだ!!』


『ええ?好き??!ええ!?』


『ああ、私は回りくどいのは嫌いだからハッキリ言う、私はノブーが好きで好きで仕方ないだから私のモノになって欲しい!!』


『リサさん本当に気持ちは嬉しいですが・・前も言いましたけど、ラブと別れるつもりは無いです・・・本当にすいません』


『リアルの彼女とは別れられたのに、ノブ―・・・人の心は変わるもんだよ何時もでも同じ状態では居られない』


『それは・・・まぁ実感しましたけど・・』


『無理強いはしない約束でしょ?リサさん、ノブ―も急にこんな話してすまないね』


『いえ・・・』


『それでも私はノブ―を諦めないぞ、アタシの夫になってくれるなら、リアルでも彼女になっていいぞ?』


『ええええ』


『ほらほら、リサさん、ノブ―も寝る時間だしそろそろ解放してあげましょう』


『うううう、仕方ない今日の所は引き上げよう・・』


『え、えと・・リサさんライトさん失礼します・・・』


そうチャットを送りゲームからログアウトする、スマホを確認するとゲームアプリのチャットにラブから返信が届いていた


『ギルドのお付き合いも大変だけど、あまり遅くならない様にしてね♪』


『おやすみなさい~』


時計を見るともう23時を過ぎていた・・・俺返信は明日にして急ぎシャワーだけ済ますと直ぐに寝床についた



♦リサside & ライトside



『リサ、言っただろ?こんな急にアタックしても絶対上手く行かないって』


『だってぇ~』


『はぁ~ちょっと通話で話すか・・・・』


【テゥルルル】


「もしもし・・・光伸・・・何で私の誠心誠意気持ちの籠った告白が届かないのかな・・・」


「はぁ~お前は急すぎなんだよ・・・なぁそもそもアリサなんでノブー、いや・・・信一の事が好きなんだ?、アリサはラビィグループの令嬢だろ?リアルでも付き合うとか言って、お前の親もファミリーでもある俺達親戚の家も絶対に反対するぞ?」


「光伸・・理由は・・言えない・・・私、どうしてもノブ―の・・信一の一番になりたいの・・出来れば本当の一番に・・ずるいかもしれないけど彼女と別れた今がチャンスだと思うの・・」


「分かった・・・俺も危ない橋を渡る事になるがアリサには昔助けてもらった恩があるしな、確か織田 信一だっけ?」


「うん・・信一さん・・私の命の恩人で、私のせいで・・大事な夢を諦めた人・・・」


「アリサ・・何とかして日本に来る様にしろ・・そして大和高等学校に転入するんだ・・俺の方で今から手続きなんかを進めてやる・・兎に角早く行動に移せよ・・他の女にだしぬかれるぞ・・」


「え?!そんな状況なの!?信一さんって・・・」


「ああ、俺も最近写真で実物を見たが・・・エタキン(※エターナルキングダムの略称)のキャラデザまんまだな・・」


「それは・・・判った、光伸わたしは早急にお父さんお母さんを騙し・・説得して日本に行くから、そっちの準備はお願いね!」


「・・・・ああ、任せろ・・」



♡愛side



久しぶりのノブ―との会話に昼間の不安や戸惑いが嘘の様に消えて落ち着いていた


「あ、お姉ちゃん・・・」


「優・・・って、なんか朝から信一の事お世話しに行ってるって聞いたけど」


優は場ご飯を並べながらも目線を外し頬を赤らめる


「え?・・・何?その反応・・・」


驚いた私はテーブルを拭く手が止まる


「愛・・・さっさと拭かないと料理並べられないでしょ・・」


「あ、あ、うん・・ゴメンなさい」


主張中の父さん以外、瀬川家の女性3人で食卓を囲む


「ねぇ・・優、さっきの話し朝の信一のお世話はどうなの?」


「どうとは?」


優の様子はさっきまでと違い落ち着いた様子で返事を返してくる


「まぁ信一は寝起きが悪いから苦労してるとか、味付けは薄味が好みとか、ああみえて癖あるしね・・」


「ちょっと!愛!!いい加減に・・」


【バンッ!!】


目の前で優が両手でテーブルと叩く


「ねぇお姉ちゃん・・・何時まで信ちゃんの一番の理解者でいるつもりなの?そういうの良いよもう・・・」


「ゆ、優・・私そんなつもりで・・」


しかしようやく此方を見た優の目線には冷たい光が宿っていた


「私は私のやり方で、信ちゃんからお姉ちゃんの事全部追い出して私で埋め尽くすから、心も体も・・」


「ちょ、優、お母さんも居る所で・・その・・・体とか・・」


しかし母さんは反応しない・・もくもくと晩御飯を食べてる


「お姉ちゃんに気にして貰わなくても、私もうお母さんには、信ちゃんとそういう関係になる事は理解してもらって了解してもらってる」


「避妊はしてね」母は澄ました顔で咀嚼している


「ちょっと・・・母さんまで・・」


「好きな人に抱かれたい・・・愛されたい・・・心も体も・・それは健全な思考でしょ?」


優の目には力が宿っていた、つい最近まで柔らかい光を宿して私と信一をひた向きに応援してくれた妹では無い、好きな男の子に振り向いて貰う為に必死な恋する女の気迫に気圧される


「お姉ちゃん・・・お姉ちゃんこそ本当は信ちゃん以外に好きな人でも出来たんじゃないの?」


「!?」


私の頭にはノブ―の事と・・・武田君の笑顔が一瞬過る


「・・・・まだ・・分からない・・・」


そう俯き答えるしかない私に、優は溜息交じりに小さく呟く


「・・否定は・・しないんだ・・・」


「でも、お姉の心が今何処に有っても構わない、私は私の気持ちに対し正直に突き進むだけ、もしもお姉ちゃんが相手でも絶対に負けないから」


そう言い残し、自分の部屋に戻っていく優を目線で見送るしか無かった・・・

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