第39話 改めて宣戦布告する恋敵達
☘安祐美side & 優side &美空side
「と、まぁ私の生涯で最初で最後だったかも知れない告白は君たちの知ってる通り・・あえなく玉砕だったよ」
『すいません・・美空先輩・・今の俺には彼女の・・愛の・・彼女の存在が大きすぎます・・美空先輩の気持ちには答えれません』
そう話てくれた美空先輩はどこか儚げで何処か嬉しそうだった
「あの時の、信一を支えたのは間違いなく瀬川 愛だけだったのだろう、あのあと二人の背中を見た私には、隙を見つける事なんて出来なかったよ」
安祐美さんの表情が曇る・・すでに3年近く前の話しで既に信ちゃんも許していると言ってるのに、この女性(ひと)は恐らく自分の事を許せないのだろう
「なぁ石川・・何時までお前は過去の信一への負い目を引きずるんだ?」
美空先輩の言葉に顔色を変えさっきまでの穏やかな表情から一変し泣きそうな顔をしながら美空先輩の襟を掴み上げる
「あんたに・・あんたなんかに・・判ってたまるかぁぁぁ!!」
そんな必死な安祐美を冷たく下目使いで見て居る美空先輩
「はぁ~おい愛の妹・・優だったな・・・良かったなこれで一人このレースから脱落だな」
「え?美空先輩・・どういう・・・てっ安祐美さんもやめて下さい!」
「なぁ石川・・・お前が信一を好きになったのは罪悪感からか?信一がお前の体を求めてきたらお前はその罪悪感から信一に体を許すのか?」
「うるさい、うるさい!!そんな訳ない!!私は信一君の優しさ・・思いやり・・気持ちの強さに心底惚れてるの!そんな安っぽい女だとか思わないでぇ!!」
そう怒鳴る安祐美の両手を軽く掴み小さく捻るとすっと締めていた襟が解放される、美空先輩は襟首を直して再び安祐美を見つめる
「なぁ石川・・信一がお前に交通費を渡したのは信一の選んだ選択だ、そしてお前はそれを受け取った・・それを彼の優しさ、思いやりだと言うのであれば後悔をするな!信一の決断にケチを付けるな!」
「!?」「!!」
あのいつも余裕な美空先輩がはじめて感情を爆発した様に安祐美先輩を怒鳴った
「私は信一が好きだ・・私の惚れた男は私の想像を超えこの私すら彼に縋りつきたくなるほどの度量の広さを持っていた、そんな私の惚れた男をこれ以上馬鹿にしないでもらおう!」
「・・・・・・」
「確かに・・確かに先輩の言う通りです・・私は彼に負い目を感じてると思い込む事で愛を裏切らない理由にして、そっと彼の幸せを見守るんだって自分自身の気持ちを偽って、この飢えた獣の様な愛情を抑え込んできました・・・」
「安祐美先輩・・・・」
「私はもう自分を偽らないって・・自分の心に正直に向き合うって決めたんです・・・だから・・私は貴方であっても信一君を譲りません」
「美空先輩・・・私も・・・私も信ちゃんを渡しません!!」
ベンチを背に3人の美女はお互いを見つめ・・・・・
「ふっ・・・ふふふふ」「あはははは」「ふふふふ」
ひとしきり笑い合い美空が手を差し出す、優と安祐美はその手に自分達の手を重ねると
「小娘共・・かかってこい・・・私はお前達を蹴散らして信一のすべてを私のモノにする」
「へぇぇ言うじゃない・・・先輩・・いえ雀さん・・さっきの話し訂正するね、私は信一君から求められる側じゃない求める側ね♪」
「わ、私も負けません、私は毎日、信ちゃんの・・大きくなった・・アレ・・と、とにかく負けません!!」
早朝の校庭隅での一幕・・大和高校の誇る美女3人が長年の想いを遂げる為に熱い想いを燃やす
〇時間は少し前に戻り学校への登校途中
♡愛side
今朝も優は信一の所に朝食を作りに行ったみたいだった・・・母さんと二人きりの食事に会話が続かない
「ねぇ母さん・・優って料理上手だったけ?」
「はぁ?あんた何言ってんの、あの子、毎日自分のお弁当は自分で作っていたよ、まぁ夕飯の残りも入れてたし2,3品くらいかしら・・」
地味にショックだ・・私は料理だけは苦手で中学の時に差し入れするのに頑張ってから揚げだけ覚えたけど、同じく料理素人の美空先輩はあっさりと私より美味しくから揚げを作っていた
『先輩のから揚げ凄く美味しいです!!』
ふん!信一も信一よ私のからげは褒めなかったのに、先輩の時はあんなに褒めて!!
はっと気づき首を振る・・(私はもう信一の彼女じゃない・・ヤキモチは筋が違う・・・ヤキモチ?・・まさか・・)
「行ってきまーす・・」
「あらもういいの?いってらっしゃーい!気を付けてね」
ここ最近色んな事が有りすぎて、混乱してる様だ・・自分達で決めた事なのに・・助けて~ノブ―
そんなつまらない事を考えながら歩いていた私が悪かったのだろう・・・
「あぶなぃぃぃ!!」私は急に背後から抱きしめられ・・足が宙に浮く・・視界がスローモーションだ・・目の前ギリギリを車が走り去る・・もしかしたらあの車に・・
「大丈夫か?愛君!?怪我とかは?」
声のする方へ顔を向けると・・・
「上杉先輩・・・・」
「あ、あの・・・そろそろ離してもらって良いですか・・・」
「あ、ああそうだ!?ゴメンね」「いえ・・その危ない所助けてもらって・・有難う御座います・・先輩こそお怪我は?」
上杉は自分の体を触って確認するが大丈夫な様だ
「ああ、問題ない・・・それよりどうした?愛君らしくないなボーっとしてるなんて」
「いえ・・大丈夫です最近少しバタバタしてて気疲れってのかも知れませんね・・先輩、先ほどは危ない所を助けて頂いて、どうも有難う御座います、部活応援してます頑張って下さい」
そう言い頭を下げてその場を去ろうとすると
「信一と別れたって聞いたぞ?」
先輩の言葉に足が止まる
「誰からお聞きになったんですか?」
少し冷たい目をしていたかもしれない・・この事をしってる人物の顔が頭に浮かぶ
「残念だが、誰から聞いたとかは言えないが君達は特別な恋人だった、その二人が別れたとなっては、皆に隠し通せる訳がない今日明日にでも学校の全員が周知の事になると思うぞ」
悔しいが今までの事を考えれば先輩の話しには信憑性を感じる・・・このままでは・・
「なぁ・・ここまで来たなら少し話をしながら一緒に登校しないか?」
愛は中学の時の告白の事もあり、上杉先輩とはあまり関わり合いになりたく無かったが、先ほど助けて貰った事もあり今は断りにくい
「・・・判りました・・お願いします」
「あはは、そんな構えないでよ、とって食ったりしないよ」
そう微笑む上杉、そんな上杉の少し後ろを歩く愛
「なぁ愛君、さっきのお礼って訳じゃないけど少し頼みが有るんだ・・」
「頼み・・ですか?・・内容にもよりますが・・」
すると笑顔の上杉はクルっと振り向き告げる
「今度の大会まで野球部のマネージャーを引き受けてくれないか?」
「・・・・・え?マネージャー・・・・」
愛の中学時代の辛い思い出が蘇る・・・
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