第27話 愛2日ぶりのログイン

♡愛side



「愛ちゃん、君の事が好きだ・・・だから俺の彼女になってほしい」


私は今放課後の校庭の隅のベンチで、元彼で幼馴染でる信一の親友、武田 勝君から告白を受けた


差し出した手の先に見える武田君の表情は見た事無い程真剣だった


「・・・・武田君・・その・・気持ちは嬉しいんだけど・・・私は・・・」


武田君の顔は見えない、俯いたまま武田君の申し入れを断ろうとしてる私に


「愛ちゃん、俺は諦めないよ、信一だから・・・信一だったから君達の事、見守ろうと思った」


どんな表情で武田君が話してるのか確認するのが怖い、しかし私に差し出した手がそのままなのは地面に映る影で分かる


「君たちの間に入り込む隙が無かったから、親友と好きな女の子を悲しませたく無かったから」


「武田君・・・・」


「でも、今君たちは別々の道を歩み始めた、その道を一緒に歩む為に繋いでいた君たちの手は分かれ道で離れてしまった」


「・・・・・・・・」


「その手を握る為に、信一にも愛ちゃん君にも沢山の手が差し出されるはずだ、でも・・・必ず俺の手を取ってもらう」


「わたし・・・」


「今は、意識してくれるだけで良い、俺が君の横で歩くため・・君の事を好きだという事実を・・」


地面に映った武田君の影が動き差し出した手を引っ込めた事を確認すると、そっと顔を上げ恐る恐る武田君の顔を見る


「今日は帰る途中で呼び止めて悪かったね、気を付けて帰ってね愛ちゃん!!」


そう笑顔で笑う武田君をただ見つめるしか出来なかった


「じゃぁ」そう手を上げグラウンドに走り去る武田君にそっと手を振りその後ろ姿を見送る


久しぶりの一人の帰宅道、コンビニの横を通ってた時に自分が映るガラスに目を向ける


そこには何時も居た幼馴染の姿は無い、ふとガラスにさっきまで一緒に居た武田君の笑顔の姿を私の横に想像する・・・


(いやいやいや、私はノブ―の事が信一より好きになってしまったから別れたはず・・突然意識して無かった武田君に告白されたからって・・・)


『今は、意識してくれるだけで良い、俺が君の横で歩くため・・君の事を好きだという事実を・・』


しかし、現実的に直接真っ直ぐに気持ちを伝えてくれた、武田君の告白を意識するなと言う方が無理だ


(取り合えず、今日はノブ―と話しよう)


家に帰っても、当然誰も居ない優は部活で母は仕事、父は来週末まで帰って来ない


手洗い嗽をしてから、リビングで軽くコーヒーを淹れて飲む・・・でも一人でじっとしてると武田君の事ばかり頭を過る


「シャワーしてから勉強でもして気持ち切り替えよう」


一旦自分の部屋に戻り誰も見てないのでスカートを脱いでベッドに投げ下着のまま風呂場に向かった


少しさっぱりしてから自室に籠り勉強を始めるが・・・途中で鉛筆が止まる・・


『今は、意識してくれるだけで良い』


武田君の罠にきっちりハマってしまって、ふとした瞬間に意識してしまう・・・でも・・今の時点で武田君と恋人になりたいかと言われると、答えはNOだ


何故か?自分でも理由は分からないけど無意識に比べているのか?誰と?


【ピピッピピッ】


「あああ時間だ!」私は急ぎノートパソコンの準備をしてログインする


【ノブ―からパーティ申請がありました】


私は直ぐに了承してノブ―とパーティーを組む


『ラブ、二日ぶり』


『うん、ノブ―私も2日ぶりのログインなんだ♪』


『よ~し、それじゃデイリーの討伐と採取からしていこうか!!』


『りょうかーい♪』


本日はワイバーン5匹の討伐だ、でも今日のノブ―の連れてるNPCはリサさんでは無くライトさんだ


『うわぁ~ライトさん久しぶりに見た!!』


『うんうん、ライトさん魔法職にこだわってるしねこういう時頼りになるよね』


戦闘ではノブ―もレモンも殆どすることが無い、ライトさんが魔法で殲滅していくのを眺めるだけ


『私もハーフエルフにしたら髪の毛の色選択できたのになぁ~』


『はは、ハーフエルフは課金種族だしね敷居が高いよ』


『そうだけどぉ~リサさんのグラマーな猫獣人も課金でしょ?』


『そうそう、て、あれ豹だよ!?前にギルドの新人がリサさんに猫だって言ったら滅茶苦茶怒られてたんだから』


『えええ、猫可愛いじゃん・・・』


課金は確かに学生には敷居が高い・・・しかも見た目だけの為にお金を使う事に抵抗があるのは私がケチなんだろうか?


すこし雑談に夢中になりすぎて必要以上に倒していたみたいだ


『それじゃ、採取クエ受けにいこうか』『うん、りょうかい!!』


私達は帰還石を使って自宅に戻り採掘ギルドに向かう、受付からクエストを提示されたのでスクロールして確認していると、この間見つけた麻痺草のクエストがあった


『私この、麻痺草の生えてる場所しってる~これにしよう!!』『うん、わかったそれにしよう!』


私はパーティーリーダーを貰ってから受付から転送先をチョイスする(これ地味に便利なのよね♪)


『ここ、この木の間に結構生えてるんだよね』『へぇこんなピンポイントで?って、こここの間レッドミンク狩ってた場所か!!』


『正解ぃ♪』


実は前回のレアモン狩りの時に目ざとく見つけておいたのが此処で役に立った様だ、私達は手分けして既定数の麻痺草を採取する


必要数が揃った所でノブ―からチャットが届く


『ラブ・・家に戻ったらメッセージの事やその後の話し聞いて欲しいんだ・・・』


前にメッセージで送られてた内容だ・・・私もその後で色々と有った・・・


『うん・・・私もノブ―に相談したい事があるの』


自宅の庭でミンク達を放し飼い状態にしてから庭のテーブルに腰を掛ける



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