第24話 親友からの宣戦布告

♡愛side



昼休みの間、結局 安祐美は教室に戻って来なかった


そしてそのまま会話の切っ掛けも無いまま授業は終わりホームルームも終えて、周囲のクラスメートも随時部活や帰宅していく

私は目の前の安祐美に声を掛ける


「ねぇ安祐美?昼休みずっと何処にいっていたの?」


私が話かけると振り返り満面の笑みで答える


「えええ♪なぁ~いしょ☆」


私は呆れた顔をしながら安祐美の耳元に顔を寄せて


「ねぇいずれ、バレるとは思うけどまだ信一との事内緒にしといてよね・・」


「はいはい、市江ちゃんだっけ?1年の、信一君の妹が事情を知らないかも知れないからだったよね?」


「まぁそれもあるけど・・なんて言うか・・皆に知られるのが不安で・・・」


「あは、愛は意外と可愛い所あるよね♪・・でも・・遅いよ?」


「え?てか!?まさか!」


「あはは、言う訳ないじゃん♪自分に不利になる様な事して何になるの?」


安祐美が何を言いたいのか分からない・・・


「安祐美?何を言って・・・・」


「私、信一君の事が好きなの」


「へっ?」


「私は中学の頃から、織田 信一君の事が大好き、愛あなたと付き合ってる時でもずっと信一君の事を想っていた」


「うそ・・・そんなそぶり・・」


「それはそうよ、私は愛も大好きだし親友の彼氏を奪うとか小説の中のクズ女みたいな事したくないよ、だからずっとこの想いが冷めるまで胸にしまっておくつもりだったの」


「・・安祐美・・・」


「でも、愛が信一君と別れたって聞いて、抑圧して閉じ込めてた想いは冷める処か激しくなっていて、もう止められないの」


「もう、愛にも遠慮しなくて良いし、私は愛以外は敵じゃ無いと思ってるから必ず信一君と結ばれて見せる」


「・・・・そ、それ・・」


「愛がもう一度、信一君の事を好きになって狙ってくれても良いけど、今は、幼馴染の元彼女と幼馴染の友人という、そんな大差無い土俵だし私も負ける気しないよ?」


「そ、そんな・・私はもう・・・それなら安祐美の事をおうえ」


「応援するとか言わないでよ?別れたとは言え信一君の中には愛がまだ居るの、私は信一君の心の中も全部私で上書きするつもり、だから愛の応援は要らない」


「私との思い出も上書き・・・・」


「男と女が別れるってそう言う事なの、女が好きになって貰えたと判断する基準は、好きになった男の心と体の中から、どれだけ前の女の事を追い出せるかにかかってると思ってるから」


「体って・・・」


「私は本気だよ?信一君とそういう行為も嫌じゃないし、寧ろ夢に見る位、信一君を求めてる」


「・・・・・・」


「今私が愛にこの気持ちを伝えたのは、嫌味でも嫌がらせでも無いよ?親友には正々堂々としてたかっただけ」


「・・・そう・・・判った・・・応援はしないけど・・見てるね」


「ええ、それで良いわ」


安祐美はそう微笑むと荷物を持って教室から出て部活に向かって行った


「まだ一日も経ってないのに・・この変化は・・予想外だわ・・・」


私も荷物を持ち教室を後にして信一の教室に向かう


「あれ?織田君なら先に帰ったよ?愛は今日は来れないからって言ったけど?」


「えっっ?」


「「え??」」


「もしかして・・織田君と瀬川さん・・・何かあったの?」


「え?いや・・・ああ、そうだった信一に今日は先に帰ってって連絡していたの忘れてた!二人ともありがとね、お先にぃ~」


『ねぇあれ・・・怪しいよね・・・絶対、織田君に避けられてるよね?』『うんうん、瀬川さんらしくない言い訳とか・・』


(なによ!?私らしくない言い訳とか!!何も私の事知らないくせに!)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る