第31話 年下の幼馴染みに癒される朝
♠信一side
「信ちゃん・・・信ちゃん・・・朝だよ?おきてぇ~」「良いから!!ブチュ――!と行きなさい!!」
「え、ええ・・・で、でもぉ・・・」「はぁ・・・優ってば度胸あんのかヘタレなのか私しゃ最近分からんよ・・・」
「うううぅぅ・・それじゃ・・ホッペに・・・」
「ううぅん・・・なんだぁ・・騒がしいなぁ・・・・!?」
耳元が騒がしくて、首を動かす・・【チュッ】突然唇の端に柔らかい感触が・・・
「きゃっ・・・」目を擦り起き上がると俺のベッドに手を付いて口元を押えて顔を真っ赤にしてる優が大きな目を見開いて俺を凝視してる
「ん?あ、お早う優・・・ん?どうした?・・」
「き、き、き、き「ん?ききき?」うううううぅぅ!!」
今日も何やら叫びながら俺の部屋から出て行く優を市江が生暖かい目で見送る、俺も同様に優の出て行った部屋の入り口に目を向けて呟く
「なぁ、妹よ・・・」「なんだ?愚兄」
「朝のこのやり取りは此れからも続くのかな?」「そうだね、優の成長次第だけど、これはこれで面白い」
「なぁ、妹よ・・親友の幼馴染と兄を巻き込んでお前の趣味趣向を満足させるのは辞めないか?」
「まぁ、愚兄よ・・人間諦めが肝心だとは思わないかい・・・」
そう言い残すと市江は俺の部屋から出て行った・・・今日も仕方なく着替えてリビングに向かう
「おはよう・・父さん母さん」「おはよう」「おはよう~信一」
「信ちゃん・・・その・・さっきのキ・・・何でもない!!今日も沢山食べてね!!」
顔を真っ赤にしながらも満面の笑顔の優を見ると何故か心が落ち着いくる・・・優は母さんに教わりながら真剣な表情で料理していた
「はい!信ちゃんお待たせ♪」優が俺の朝食を運んでくれた
「おお、なんか今日は洋風だな!」
「うん、瀬川家特製の卵サンドとサラダサンドのサンドイッチと美野里さんに教わったワカメスープとベーコンエッグだよぉ♪」
目の前には綺麗に三角に切られ断面が俺の方に向いていて、見てるだけで美味しそうなサンドイッチと、いつも母さんが作ってるワカメスープ、それと少し焦げたベーコンエッグだ
俺はまず一口たまごサンドを手に取り頬張る、「美味しいィィ」卵はゆで卵を刻んだ部分とスクランブルエッグの部分が丁度いいバランスで食感も楽しめるそれに
「この粒マスタードが良いアクセントになっててパンが甘く感じるよ!!」そういうと俺の隣で優が手をモジモジしながら喜んでいる
サラダサンドを一口・・「おおお。このコリコリしたのは・・・ピクルスか!?」「うん、正解♪」
サラダは軽くオリーブオイルが掛かっていて香りも一緒に味を楽しめた、シンプルだがりピクルスの塩気で十分味に満足出来た
ふっと一息つくためにあたたかいワカメスープを口に運ぶ・・・「おお何時もの味だ・・ん?少しゴマが入ってる」「うん・・少し香り付けに・・くどかった?」「いや?むしろ香りが良いね」
俺の飲みっぷりを不安そうに見つめていた優は母さんの方を見ると、母さんは親指を立てて頷いていた
そして・・・ベーコンエッグだが・・なにやら卵の白身の周りが真っ黒になっていてベーコンも周りが焦げている、おそるおそる卵を切ってベーコンを一緒に口に運ぶ・・・
苦い・・・しかも塩辛い・・・・塩分多すぎだろ・・・しかし・・・
「信ちゃん・・・大丈夫?・・無理しなくても・・」
「い、いや・・大丈夫!!」そういうと一気に口に入れて苦い辛い苦い辛いを耐え呑み込む・・・
「・・・・塩辛い・・それに焦げてる・・」あからさまに辛そうな表情の優に慌ててフォローしようとする
「そ、そんな事無いよ!優の卵焼き塩が効いてて「ねぇ市江ちゃん!塩加減ちゃんと味見したの!?」・・・うま・・い?ん?」
「え?なに?信ちゃん目玉焼きは、こんなに塩が多めが好きなの?」キョトンとする優に対し
「にゃははは、やっぱ味見しなきゃだめかぁ~どれどれ?って辛っ!」一口で顔を歪ます市江に対し俺は冷たい目で睨みつける
「おい・・てめぇ・・あのクソ塩辛い目玉焼きは、お前の作った目玉焼きだったかぁぁぁ」
「はぁぁだったら何よ?優が作ったとおもって食べた時は旨いっていってたのに私が作ったって分かった途端に掌返して、男らしくない!!」
酷い言い分だ・・・優は俺と市江の揉め事をオロオロしてなだめようとしている、母さんは黙ってパクパクとご飯を食べてる、父さんは相変わらず新聞でバリアして感知しないオーラ全開だ
そんな朝のゴタゴタも何故か楽しいと感じていて、ようやく収まったゴタゴタの後、優と目が合うとニコっと天使の様な笑顔で答えてくれた
「優の笑顔で癒されるよ・・・ホント」
「えっ?やだ・・信ちゃん・・照れるよぉぉ」
「「「行ってきま――す」」」
「いってらっしゃーい~!」
今日も3人で朝から登校する、登校中は優に俺の好きな料理は何かとかお弁当の具材ではいってて嬉しいものトップ10発表とかで市江と優と3人で大いに盛り上がりながら学校に着いた
「あ、信一君お早う」
「おお、お早う石川さん!」
目の前には朝練の途中だろうか、ジャージ姿の石川さんと出くわした
「今日も早いのね?信一君、もしかして何か部活始めたの?」
「いやいや、付き添いで一緒に登校してるだけだよ・・せっかくだから朝に宿題の残りの片づけているけどね」
「へぇぇて、優ちゃんと市江ちゃんじゃない!久しぶりぃぃ」俺の後ろの二人に気付いたのか俺の後ろを覗き笑顔で手をふる石川さん
「安祐美さんお久しぶりです、お早う御座います」「安祐美先輩お早うです!!」
石川さんは俺と優を交互に見比べ「なるほど・・・」と何か納得した様に頷くと
「ねぇ二人とも今から部活だよね?部室行く途中まで一緒にいかない?」
優は俺の方をチラッとみてから
「はい、有難う御座います、市江ちゃん行こう?・・じゃぁね信ちゃん、宿題頑張ってねぇ!!」
そう手を振りながら、石川さんと市江についていって校舎を曲がって見えなくなった
「ふぅ・・・さて宿題の見直しでもしますか・・・」
☘安祐美side & 優side & 市江side
「安祐美先輩?ここまで来たら、おにぃからは見えませんよ?」
そう市江が安祐美に声をかけると、安祐美はその場で立ち止まった
「・・・・ねぇ優ちゃん私と少し話しない?」
美しい銀髪が風になびき宝石の様な青い瞳が優しい光を放ち二人を見つめる
「そうですね・・・その方が良いかもしれませんね・・・」
「市江ちゃんはどうする?」
市江は優の方を見ると、優の顔には不安な様子は微塵も無い・・寧ろ自信にあふれているように見える
「あ、私はパスで・・・それじゃ優先に行ってるね~部長には少し遅れるかもって言っとくね」
そう言うと駆け足でプールのある建物にむかって行った
「それじゃ、優ちゃんそこのベンチで少し話しよ」「はい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます