第12話 別々の道へ・・運命の歯車は回り出す1/2

♠信一side



「昨日は、色々考えてて中々寝付けなかったなぁ・・・」


しかし言葉と裏腹に眠気は感じない、覚悟は決めたから今更迷っても始まらないテキパキと制服に着替えると同時に【ピピッピピッ】目覚ましのアラームが鳴る、アラームをOFFにしてると


【バタン!】「おにぃ起きないと遅こ・・く・・って・・珍しいぃ~起きてんじゃん!」


「アハハ、偶にはな」


「おにぃ?なんかあった?いつもと様子が違うよ?」


おれは自分の恰好を見てみるが


「ん?どこか可笑しい所があるか?」市江に聞いてみるが


「う~ん・・どこと言われると・・・・まぁ気のせいかな!それじゃ朝ご飯並べるの手伝って!」


「あ~はいはい、わかりましたよ」


市江に手を引かれリビングに向かうと


「あら、早いのね珍しい」「おはよう信一」


「おはよう父さん、母さん」両親への挨拶後に市江は不満な表情を見せるので「ははは、市江もお早う」


「ご馳走さま、今日は早めに学校に行くね、行ってきま――す」


「行ってらっしゃい!」


「ねぇ市江?信一どうしたのかしら?こんな早く学校行くなんて・・・」


「でしょ?私も変だと思うのよね―――」


「そうか?俺には判らんかったぞ?」


そう新聞を見ながら、勝手に話に割り込む父を、母親と市江は白い目で睨んでいた


「へぇ~この時間は人も少ないな・・・」


こんな早朝に学校に向かう事がないので、通学路に人が少ないのは新鮮だ・・取り繕った笑顔で挨拶する事も少なくて意外と快適だった


「次からこの時間に登校しようかな」


学校の中も生徒の数は疎らだった、下駄箱で上履きに履き替え教室に向かう、途中で愛のクラスのドアが開いてるので除くと愛が肘を付いて窓の外を眺めていた


幸い他に生徒は居ないので俺は愛の横に立つと


「愛」


「きゃぁぁ、って信一じゃない・・・脅かさないでよ・・て、珍しく早いのね・・」


「ああ、この時間なら愛が居るかと思ってね・・・」


「そう・・・ちょうど良かった、私、信一に話があるの放課後屋上に来てくれない?」


「あ、ああ分かった」


それだけ伝え聞くと俺は自分の教室に向かった

覚悟は決めたが、愛が何て言うか・・・

しかし、何処かで俺と同じ事考えているんじゃないか?とも思っていた




そして歯車の回り出す、放課後・・・・




「待たせたね・・愛・・」


「私も今来たところ・・・」


俺は愛の居るフェンス際に並んで立ち屋上から景色を見渡した


「この景色は変わらないな・・・・」


「そうね・・・景色は・・・変わらないわね・・・」


「景色は・・・か・・・・所で話って?」


愛は顔だけ此方をふり向くと


「信一、私好きな人が出来たから私と別れて」


表情からは動揺した様子も悩んだ様子も無かった、昨日俺が帰りに見た愛の悩んでる表情は微塵も無く何か吹っ切れた感じだった


「愛、丁度良かった俺も好きな人が出来たから同じ事言おうと思っていた」


俺も、今日伝えようと思ってた事を伝える


両想いって言葉もあるが、こういう場合でも両想いって言うのだろうか?


「そっ・・」


「ああ・・」


暫く無言の時間が二人の間に流れて・・・・俺は愛に右手を差し出した


「愛、恋人として3年間・・有難う・・これからは昔みたいに幼馴染として付き合って行こう」


愛は暫く俺の差し出した右手を見つめると・・・ゆっくりと握手した


「ええ、信一も有難う・・これからはお互いの好きな人に向き合っていきましょ・・幼馴染として応援する」


「フフフ・・・」「アハハハ・・」二人は握手しながらぎこちなく笑い合った





運命の歯車は今回り出す・・・

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