第2話 HSC(ハイスペックカップル)瀬川 愛の秘密

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♡愛side


私は、瀬川 愛、都内の公立高校に通う2年生だ


今私は彼氏の教室に迎えに来てる


「あ、瀬川さん、信一君だよね、ちょっとまっててね」


私に気付いた彼氏のクラスの女の子が声をかけてきて、察してくれたのか入口の近くの男の子に呼んでもらうように頼んでくれている


「信一~今日もお迎えがきてるぞ~」


ドアの傍で待ってると、信一が顔を覗かした


「お待たせ、それじゃ帰ろうか」


「ええ、帰りましょう」


私も女子としては結構背が高いが信一も男子としても結構高身長で並んで歩いても信一の肩と私の頭が同じ位の高さだ


私らが並んで歩いてると他の生徒が廊下の隅に避けて挨拶してくれる


「あ、みんなまた明日」「また明日ね」


信一も私も皆に笑顔で挨拶する、振り返りはしないが私らが通り過ぎた後で


「今日も尊いわぁぁ♡」「やっぱり織田君の横には瀬川さんが相応しいねぇ~」「瀬川さんいい香り~なんの香水かなぁ~」


「「・・・・・・」」そんなギャラリーの声を背に下駄箱で靴を履き替えると


「行こうか・・・愛」先に靴を履き替えた信一が声を掛けて来る


「そうね帰りましょう・・・信一」


信一に着かず離れずの距離で校庭を歩いていると、同じように帰宅中の生徒に此処でも挨拶を受けその都度、笑顔で挨拶を返していく


そう私達 瀬川 愛と織田 信一は恋人同士なのだ


しかも、家が隣同士で所謂、幼馴染同士カップル小学生の頃から夫婦だと周りから揶揄われ、中学生になるといつの間にか恋人同士になっていた

家族も友人も二人が恋人になったと報告しても「え?今までずっとそうだと思っていた」と逆に驚かれてしまった


自分達で言うのもどうかと思うが、客観的に見ても私達の容姿は整っていて本当ならもっとモテても良いはずなのに全くそんな気配もない


「・・・学校での俺達の扱い・・いい加減なんとかならないかな・・」


信一は空を見上げてボソッと呟く


「そうね・・・」私はスマホでゲームの情報を確認していて空返事で返す


「・・・・・」そんな私に信一もいちいち注意しないし多分まともな返事も期待してない


【倦怠期】というものなのか、最近では特に会話が続かない事が増えた


私達は無言のまま帰宅する


「今日はどうするの?」


自宅付近に近づいたので、(家でお茶でも飲んでいくか?)という意味で社交辞令的に信一に尋ねる


「別にいいや」


「そう、それじゃまた明日」


こっちを見る事もなく予想通りの信一の返事に私もスマホを弄りながら挨拶して自分の家に入る


ゲームの公式サイトからの通知に『本日開催!レッドミンク出現確立UPイベント開催!この機会にモンスターをゲットしよう!』


「あ、今日ってレアモンスターの出現確立がUPするイベント日だ!」


洗面所で手を洗い軽くメイクを落とすと、台所でインスタントのコーヒーを淹れてから2Fの自分部屋に向かう


テーブルにコーヒーを置き手早く部屋着に着替えると、髪をお団子にして結び上げてテーブルにノートPCを用意し起動する


目的のアイコンをクリックして立ち上がるまでの間にゲームと連動してるコミュニケーションツールを弄りながらコーヒーを飲んでると


「あ、来たみたい!タイミングバッチリ♪」


チャット欄のキャラクター名に色が付き、ログイン中の表示に変わる


起動したゲーム【エターナル キングダム】をスタートさせる


PCの画面には沢山のアイコンが散らばっていてメインの画面にはラブというキャラ名の金髪の美しい女性エルフが立っていた


部屋の様な所で待っていると奥の方からイケメンの男性キャラが現れる、髪は茶色ぽくて切れ長の目で細身の長身イケメンだ、私の好みでもある


【ノブ―さんからパーティー申請されました】という通知に反射的に【OK】を押すとキャラクターのアイコンにノブ―という男のキャラが追加される


『俺も今来た所だよラブ(^^)ただいま!』


パーティーチャットでノブ―から挨拶がくる、私の顔はニヤけていた


『私も今来た所!お帰りノブー』


『俺達もこうして結婚してもう2年だねー』


ノブ―も憶えていてくれたんだ・・・


『うん( *´艸`)私もノブ―が旦那さんで凄く幸せ!』


『俺もラブが奥さんで凄く幸せ!』



そう・・・私はネットゲーム内に恋人どころか、ゲーム内で結婚して旦那様がいるのだ・・




「あ、そうだ!ノブ―にイベントの事教えなきゃ♪」


私はスマホを開きサイトに書かれてる情報を確認しながらキーボードを叩く


『ねぇ~ノブ―今日レッドミンクが出現するイベントがあるんだけど、私まだ仲間にしてなくて』


するとノブ―のキャラが親指を立ててウインクした


『うん、勿論一緒に行こう!ラブが喜んでくれるから俺頑張るよ!!』


そうチャットが飛んでくる


「あはっ♪ノブ―てば私の事、好きすぎでしょ♪」


私はキャラをそうさしてノブ―にハートのエフェクトの付いた投げキッスを送ると


『うん!ノブーは優しくて頼りになる私の旦那様だね♥』


そう私はこの【エターナル キングダム】で出会った運命の相手、ノブ―に恋をしていた


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