第8話 愛、幼馴染みと、ぎこちない登校
♡愛side
朝、目が覚めて、服を着替えてリビングに降りると優がお母さんの手伝いで朝食を並べていた
「あ、お姉ちゃんお早う♪」
「え、ああ、うんお早う」
「愛、お早う」
「お母さんお早う」
「あれ?お母さん、お父さんは?」
「ああ、お父さん今日から2週間程出張らしくて昨日の夜に出発したのよ」
「システムエンジニアも大変なんだねぇ・・・」
そんな会話を聞きながら相槌を入れご機嫌に朝食を並べる優を見てると
「ん?何?なんか付いてる?」「え?いや・・」「?変なお姉ちゃん♪」
昨日の事は夢だったのかと勘違いしそうな程ケロッとしていた
【ピィンポーン】
玄関のチャイムが鳴る
「あ、市江ちゃんだ!お母さんお姉ちゃん私行ってくるね~」
そう言うと、エプロンを付けてお母さんの後片付けの手伝いをしていた優はお母さんにエプロンを預けるとカバンと荷物を持って玄関を出て行った
ちらっと見えた市江ちゃんがそっと私にお辞儀してくれたので私も頭を下げて返しておいた
「ほら、あなたもそろそろ出る時間でしょ?」
時計を見ると何時も出る時間になっていた
「あ、うん・・・そうね行ってきます~」
私は玄関から出てふと隣の家を見上げる・・・昨日 優から言われた言葉が頭を離れない・・・そんな事を考えてると
「おはよう、愛珍しいな?誰か待ってるのか?」
顔を挙げると信一が立っていた
「おはよう信一、たまには信一と一緒に行こうを思ってね・・」
何か言わなきゃと思って咄嗟に思いついた事を口走ってしまった
「そうか・・まぁ偶には良いんじゃないか?」
まぁ信一ならそんな感じで返してくるって予想はしてたけど、咄嗟の口実も気付かれてはない様で安心した
しかし、帰り道と同じで会話が続かない
「今日は晴れみたいだな」
「そうね・・」
「きのうの宿題終わったの?」
「ああ・」
「「・・・・・・」」
この感じに慣れてしまってるのか、不安にも寂しくも感じない・・私はスマホを取り出し本日のニュースを確認していた
学校が近づくと流石にスマホを仕舞い道行く生徒からの挨拶に笑顔で返して行った
校門から校舎に向かう途中で
「おはようーー信一ぃ」
信一に声を掛けてきたのは同級生でサッカー部のエースの武田 勝君だ私の友達にも密かなファンが居て女子にも人気だ
「おはよう、勝」「おはよう 武田君」
武田君は私らを交互に見ると溜息交じりに
「はぁ~恋愛が充実してる奴は羨ましいぜぇ」
そんな風に見えてるの?私達・・・
「勝は凄くモテるじゃないか、俺なんか全然だぞ?」
フォローのつもりか信一が武田君を擁護する、確かに武田君と違って信一は全くモテない、信一に好意を持ってるとか学校では話しを聞いた事ない
「おい信一・・・一回殴らせろ!!」
武田君は信一の首に腕を回して二人でじゃれてる・・・信一も楽しそうだ・・・私と居る時はそんな笑顔で居ないよね?・・・
「信一・・私先にいくね・・武田君もまたね・・」
何となくその場に居ずらくなりその場を立ち去り自分の教室でゲームの公式ページをチェックしてみる
(はぁレッドミンクのイベント後3日かぁ~期間内に仲間に出来るかなぁ・・・)
そんな事を思って校舎からグラウンドの方を見ると先ほどの武田君と信一の楽しそうな会話のシーンを思い出す・・
『ラブ、今日はログイン出来る時間が分からないので家に着いたら連絡します』
ノブ―からのメッセージだった、私はさっきまでの信一の笑顔を頭から振り払って返信する
『了解!ノブ―今日もレアモン頑張ろうね♡』
その日もいつも通り、信一を迎えに行く
「愛、お待たせ・・・帰ろうか」
「ええ帰りましょう」
相変わらず私達を遠目に見てボソボソと勝手な想像で盛り上がる生徒達に笑顔で挨拶を返す
しかし、人通りが無くなると張り付けた笑顔も消えて素の顔になる
「「・・・・・・」」
そして変わらずの会話の無い無言の帰路、瀬川家の前の十字路で愛がスマホを見ながら声を掛ける
「今日は?どうする?」
「ああ、それじゃ今日はお邪魔しようかな・・・」
「あっそ、それじゃまた明日・・・・え?」
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