48、バク



 夢と食事。

 この二つの話ならいくらでもできる気がする。

 夢は一方的でしょうもないようで、他者に協力を仰ぐことでその荒唐無稽さに物語を付け足すことができるので、話題として実は優秀だ。

 以前友人と、夢で感じた『味』について三時間近く議論したことがある。

 その結末は、全く微塵も覚えてはいない。実にはならずとも、苦ではなくむしろ楽だった時間を過ごしたことは確かだ。

 夢は見た内容以上に、話題に上がった際の着地点がふわふわしている。そこが、魅力的に思う。

 では食事は?

 基本的に、美味しかったという結びが用意されている気がする。

 稀に不味かった、奇妙だったということもあるが、大抵は美味の感動を伝えたいために上がる話題なのだから、「おいしかった」で終わるのはスタンダードだろう。

 そうなると、獏の「夢と食事」の話題はいったいどうなるのだろう?

 少なくとも、汎用性の高い話題がまとめられて、一つになってしまうのは、不便そうだなと思わないでもない。



 

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