46、パフォーマンス


 先に。これは夢の話です。


 とある異常殺人犯をスナイプする人、のお手伝いをしました。

 スナイパーは一見するとまだ少女で、けれど腕は確かです。私がスコープを手渡す前に見事殺人犯の頭を撃ち抜いてみせましたから。

 彼女はついさっき冷静に人を射殺したとは思えないほど、殺人犯を罵倒し嘲笑し悪態をつきました。

 怖かったのを隠しているのはバレバレでしたが、私はその虚栄になんと声をかけたらいいか分からず黙り込みました。


 次の日、その殺人犯が生きているという報告がありました。スナイパーの彼女は本当に怯えきってしまって、目に見えて塞ぎ込んでいます。私は気の利いた言葉の代わりに、彼女にマウンテンバイクを買い与えました。

 これでどこまでも逃げられるでしょう。

 不安そうではありましたが、彼女の表情はやや晴れていました。


 その日の朝は大変目覚めが良く、一日中充実感でいっぱいでした。

 時折、夢にはこういうパフォーマンスを披露されるので、恐るべきことです。



 

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